1970年代の事件
現在 81歳くらい(2016年現在)
◎権利の主張!
日本では基本的人権が認められる。
色々な諸権利が認められる。
生存権や幸福追求権、などの基本的なことから、
日照権や嫌煙権といった比較的新しい権利もある。
権利!
これは人類が勝ち取ってきたのである。
軽々に否定してはいけないものなのである。
1970年代に、ある権利獲得のため、
戦った男がいた。
1977年9月2日の新聞に以下の記事が載った。
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盗む権利うそぶく!ハングリー泥棒
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記事のよると経緯はこうだ。
東京で無職(42)の男が捕まった。
彼は泥棒の常習犯。これまで12回捕まっているが、
黙秘を続けていて、いつも微罪で逃げ切っていた。
今回は盗品が発見されたので、御用になった。
因みに「ハングリー泥棒」とは、
盗みの時に必ず、食料を食べていくため呼ばれた。
現場は冷蔵庫とかに食料が散乱していたそうだ。
随分、腹ペコなんだなぁ。
この泥棒はなかなか変わっていて、
「盗む権利」ということを主張している。
「盗む権利」とは何か?
彼によると、
世の中の財産は公平に分けられるべきであり、
不公平に分けられているのはおかしい。
本来分けられるはずの財産を取り返すのは、
正当な権利である。
ということである。
そしてこうも言う
泥棒をしたともしないとも言わない。
立証は警察の仕事である。
と言って、証言を拒否している。
随分ポリシーのある泥棒だ。
確かに、立証の責任は警察および検察にある。
しかし証拠の盗品が出てきたにもかかわらず、
否定するのは無理があるだろう。
犯人は、警察がどっかから持ってきて置いた、
と主張する。
たっ…確かにそうしたこともあるなぁ!
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犯人 黙秘します。
犯人 やったともやっていないとも言いません。
犯人 盗品?警察が置いたんでしょ。
犯人 俺は知りませんよ。
犯人 指紋?だからどうしました。
犯人 以前ついたものかもしれませんよ。
犯人 食べ物?まあ腹は減りますよ。
犯人 もちろん俺が食べたんじゃないですが、
犯人 泥棒も腹が減るんでしょう。
犯人 俺じゃないですよ。
犯人 でも…世の中不公平ですよね。
犯人 平等のはずなのに、
犯人 財産は不公平じゃないですか。
犯人 だから盗むことも正当化されます。
犯人 盗む権利です。
犯人 財産を平等化するためです。
犯人 大体、金持ちがいるのがおかしいのです。
犯人 あいつらが盗んだんですよ。
犯人 それを取り返してなぜ悪いんです?
犯人 悪い訳ないでしょ。
犯人 それを批判する人がおかしい。
犯人 これこそが民主的ですよ。
犯人 金持ちが悪いんです。
犯人 だから盗みは正当化されます。
犯人 もちろん俺が犯人とは言いませんよ。
犯人 立証するのは警察ですから。
犯人 でも盗むことも正当化できるんです。
犯人 とにかく黙秘します。
警察 随分しゃべるなぁ!
犯人 言論の自由です。
警察 …………………………!
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どうやら本当に、
こう言ったそうである。
「盗む権利」とは、
随分、自分勝手な主張だなぁ!
◎プロの側面も!
しかしこの泥棒はプロだった。
泥棒にすべてを捧げていたのだ。
彼は42歳で独身だった。
それは妻子を持つと、弱気になるから。
ということである。
決して、モテないからではない。
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そしてアルバイトなどもせず、
泥棒一本で暮らしていた!
それこそはプロの矜持というものだろう
昼は3級の腕前の将棋を指し、
夜は泥棒といった生活を繰り返していた。
将棋を指しながらも、
どの家に王手をかけようかと
考えていたのだろう。
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無職 うーむ!この陣形は!
無職 少し難しいなぁ。
無職 この家はまるで穴熊だな。
無職 それならこっちは中飛車でいくか?
無職 振り飛車という手もあるなぁ。
無職 とにかく正面からは難しい。
無職 一度相手の陣地に入らなければ、
無職 少々迂回することも必要だ。
無職 庭に入って体制を整えて、
無職 アッと角道に気をつけねば、
無職 どこから狙われているかわからない。
無職 こっちは大丈夫だと思っても、
無職 意外に見通せたりするものだ。
無職 まあ相手は守備に力を置いているから、
無職 攻撃はしないだろう。
無職 こっちが捕まることはない。
無職 しかし何も取らないで帰ることは、
無職 泥棒の名折れだ。
無職 必ず攻略してやる。
無職 少々、長考になってもいい。
無職 千日手にさえならなければ、
無職 ようし読めた!
無職 これでチェックメイトだ!
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まあ本人にポリシーがあっても良いが、
泥棒にポリシーを持たれるのは、
周りに迷惑だろう。
ガンガン盗まれていくのだから。
それに盗む権利と言っても、
単なる泥棒だろ。
じゃあダメだろう。
口だけ達者な奴には
困ったものだ。
因みに権利とは、
公共の福祉とのバランスで認められる。
この泥棒は、
公共の福祉を乱していることを
自覚すべきだ。