1950年代の事件
現在 89歳くらい(2016年現在)
◎警察官が…!
1954年2月17日の新聞に以下の記事が載った。
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持ち逃げ警察官 競輪の金 ジープで護送中
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記事によると経緯はこうだ。
当時の公営ギャンブルであった競輪の売り上げ金を
群馬県の太田市役所に運ぶ途中、
警備にあたっていた警察官が持ち逃げしたという。
金額は約900万円であった。
その手法は、運ぶジープを運転していた警察官(27)が
わざと溝におとす。
そして周りが降りて押し戻したタイミングで、
ジープを走らせた。
残った人たちは置いてけぼりになった。
この警察官は勤続8年の巡査部長で、
来月には警部補試験を受けることになっていた。
27歳で巡査部長?
どうも巡査部長というのは

こういうイメージが強いが、
本当は20代でなる人が普通にいるらしい。
しかし警察官が公務中に金を盗むとは、
結構すごい。
もちろん警察官が犯罪を犯すことはあり得るが、
こんな大っぴらにやることはないだろう。
大体、警察官は犯罪捜査をよく知っているので、
裏をかいたりするものじゃないのか?
まあ裏をかけと言っている訳じゃないが。
そして彼の所属する警察署長は
「21日付で懲戒免職にした」
と述べ、恐縮しきりだった。
まあそうだろうなぁ。
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署長 大変ご迷惑をおかけしました。
署長 21日付で懲戒免職にしました。
署長 もちろん責任を痛感しています。
署長 しかし真面目な警察官でした。
署長 来月には警部補試験を受けるはずで、
署長 もちろん受けさせません。
署長 というか来れないでしょう。
署長 来たら逮捕しますし、
署長 私の責任?それはまあ…。
署長 もちろん責任は痛感しております。
署長 市民の皆さまに申し訳ない気持ちで一杯です。
署長 でも…それとこれとは違います。
署長 大体、私が盗ったわけではありません。
署長 900万円も…正直羨ましいです。
署長 物価から考えると、今の10倍ですから。
署長 いやいやこっちの話です。
署長 まあ責任云々言ってもしょうがないでしょう。
署長 早く捕まえることですよ。
署長 他人ごとに聞こえる?それは気のせいです。
署長 私は責任を痛感していますよ。
署長 痛いほど感じているんです。
署長 もしかしたら左遷されるかもしれませんからね。
署長 まさに痛感していますよ。
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◎警察官捕わる!
そして2月25日以下の記事が載った。
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持ち逃げ警察官 三島で捕わる!
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群馬県太田市から静岡県三島市まで逃亡してていた。
その間、ジープを乗り捨てて、
ヒッチハイクしながら逃げたそうである。
そして取り調べを受けた警察官は、
犯行理由に対して、
「それだけは聞かないで欲しい!」
と述べている。
いやいやっ、
それ聞かないと取り調べにならんだろう。
まさか取調官も
「なら…聞かない!」
とか言わないだろうなぁ。
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署長 ええ!聞きましたよ。
署長 犯行動機を。
署長 でも…教えてくれないんですよ。
署長 それだけは聞かないで…って。
署長 それじゃあ聞く訳にはいかないでしょう。
署長 仮にも元警察官ですよ。
署長 つまり我々の仲間です。
署長 いかに懲戒免職になったとはいえ、
署長 その事実は消せません。
署長 少し時間をかけようと思っています。
署長 そうすれば、話してくれるでしょう。
署長 何っ?甘い?そんなことはないですよ。
署長 でも当人が話したくないんですよ。
署長 じゃあ仕方がないでしょ。
署長 もちろん責任は痛感していますよ。
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その後、警察官は
「夢中だった」
「札束を掴みたかった」
「あまりの大金にびっくりした」
などと証言。
突発的な犯罪であることをアピールした。
何だ!
結構喋っているじゃん(笑)
◎計画的?
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署長 これは突発的ですね。
署長 魔がさしたとでもいうべきか。
署長 皆さんにもあるでしょ。
署長 大体、目の前で車を動かしますか?
署長 計画的ならありえないでしょう。
署長 計画的とは考えられません。
署長 これは突発的です。
署長 だから現金も4万円しか手を付けなかったのです。
署長 それほど責めるケースではないでしょう。
署長 もちろん責任は痛感していますよ。
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確かに突発的な犯罪だと思われていた。
多くの目の前で車を盗めば、カモフラージュしようもない。
咄嗟にやったのだろう。…と。
しかし…
そうではなかった。
逃走用に背広の上下を制服の下に着ていたこと、
署内にいる愛人に犯行をほのめかしていたこと
まとまった金で商売をしたかったこと、
から計画的な犯行であると
結論づけた
しかし…それにしては杜撰な計画だな。
そして結構あっさり捕まった理由は…
金額があまりにも多かったからだ。
当時の900万円は
現在では1億円に相当する。
あまりの金額にビビってしまった。
それが実情だった。
まあ小心者こそ大胆な行動をするようだが、
今回のケースは
あまりにも杜撰で、あまりにも情けない事件だった。
こんな奴が警察官を続けるよりは、
ここで懲戒免職になって
良かったのかもしれない。
それこそが市民のためである。