1950年代の事件
現在 85歳 くらい(2015年現在)
◎大学は出たけれど!
昔は就職状況が良かったという話を幾つか書いてきたが、
当然、そうじゃない時期もあった。
1952年9月26日の新聞夕刊に以下の記事が載った。
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大学は出たけれど ひしめく就職戦線 巣立つ12万名
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「大学は出たけれど」とは1929年の小津安二郎の作品で、
昭和初期の就職難を描いた映画である。
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記事はその題名にかけて、当時の就職難を指摘している。
特にこの時期は戦前の旧制大学と
戦後の新制大学の卒業生がダブルため
通常より多くの卒業生が就職口に殺到した。
戦後の新制大学の卒業生がダブルため
通常より多くの卒業生が就職口に殺到した。
そこで求められるのは成績より縁故、
つまりコネがものをいった。
しかも友人の父親が重役というだけではダメで、
一緒についていって、
「こいつを頼む!」
くらい言わないと効き目がなかったようである。
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面接官 なに、これ?
面接官 紹介状?
面接官 だからどうした。
面接官 わが社の重役?だから何?
面接官 君のお父さんがそうなの?
面接官 ああ、友人の父親ね。
面接官 じゃあ無理じゃない。
面接官 大体、紹介状だけじゃね。
面接官 本気じゃないってことでしょ。
面接官 本気なら、一緒に来るでしょ
面接官 手紙一つなら、義理でやってるんでしょ。
面接官 まあ重役も付き合いがあるから。
面接官 一緒に来るくらいじゃないとダメでしょ。
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という状況だったようだ。
◎赤い学生はお断り!
当時の就職難の中で、
企業側が気にしていたのは思想だった。
つまり共産主義的な思想の持ち主かが重要だった。
当時は共産主義者が暴徒化して、治安も不安定だった。
そのため企業はそういう学生が入らないよう注意していた。
例えばこういう話がある。
ある会社の面接で重役が
「わしは毎日素晴らしいごちそうを食べて、
自動車を乗り回し、まあ楽をしているが、
下のものは給料も低いし、生活も苦しい。
こんなのは矛盾していると思わんか?」
そこで「ええ、そうですね」と言えば、不合格になる。
露骨な挑発である。
質問された学生はシドロモドロだった。
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重役 私は毎日贅沢している。
重役 自動車にも乗っている。
重役 仕事も楽だ。
重役 それでいて給料は高い。
重役 それに引き換え、下のものは給料が低い。
重役 仕事は苦しいのに。
重役 君はどう思う?
重役 矛盾しているとは思わんか?
学生 はい、そう思います。
学生 それこそ資本主義の矛盾です。
学生 まさに搾取の構造です。
学生 資本家を叩きのめすべきです。
学生 そのためには革命が必要です。
学生 日本もソ連、中国に続きましょう。
…という主張を
必死で抑えて
必死で抑えて
学生 そっ…そうは思いません。
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◎支持政党の答え方!
そして当時は支持する政党なども聞かれている。
現代では問題になると思うが、当時は当然だったようだ。
当時は自民党がない時代なので、
保守政党は自由党だった。
保守政党は自由党だった。
もしくは三木武夫などがいた
改進党も保守に含まれる。
改進党も保守に含まれる。
対して、左派政党は良くない。
間違っても共産党なんて答えてはならない。
だから支持政党を聞かれたら、
保守的な自由党もしくは
改進党と答えなければならない。
改進党と答えなければならない。
しかしそれだけでは正解ではない。
つまりあまりにもあっさり答えると、
真実味がないと思われるので、
ちょっと頬を染めて、恥ずかしそうに答えた方が、
真実味が出てくる…そうだ。
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面接官 君の支持政党は?
学 生 自由党です(キリッ)!
面接官 不合格です。
学 生 えええっ?
面接官 君の支持政党は?
学 生 えっ?(意表をつかれたように)
学 生 そっ…それは…!
学 生 そっ、そのー
学 生 何といいますか…!
面接官 どうした?答えられないのかね。
学 生 いっ、いやっ…そうではないのですが…。
学 生 どういったらいいのか…。
学 生 じっ、実は…。
学 生 じっ…自由党です(ポッ)!
面接官 合格です!
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ここまでせんといかんのか?
まあ就職面接には、なりふり構っていられないが、
支持政党を言うのも大変だなぁ。
東京大学の学生課長は
「赤い学生お断りが、
学生を委縮させている」
と主張している。
対して私立の方はどうかというと、
早稲田大学の就職課長は
「足元を見ろ!
とにかく妥協しろ!」
随分現実的だなぁ(笑)
国立に対して、私立は
思想の自由と
就職の不自由をわけている!
就職の不自由をわけている!
そうである。
就職の不自由
なるほどね!
受かるためには、
手段を選ばずか!
最近の85歳の奴らは!