カシスソーダ | 春永昼猫のブログ、小説

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カシスソーダ

若葉茂るころ、カラオケ仲間のカイトとマリンは学校の噂のカップル。
カイトは男らしく格好よく、マリンは美人で皆にやさしい。
しかし本人たちは、お互いに仲良くはしているけれども、お互いに付き合うとは何か分からないし、二人ともお互いを男と女として意識したことはない。

「ねーねー、カイト、私、悪いけどあなたのこと、魅力的だけど、男として意識してはいないのだけど、いつかはあなたと恋人にならなくちゃいけないのかしら?」

そんなマリンの言葉にカイトは、

「僕も、マリンのことが魅力的で好きだよ。でも、特に女として見たことはないなぁ。」

二人とも、二人の関係を壊したくない。そんな二人が訪れたBAR M&N、

チリンチリン♪

「いらっしゃいませ~、何にいたしましょうか?」

マスターのみつが笑顔で迎えるも、カイトもマリンも浮かない表情で

「みつさん…男と女って、必ず異性として好きにならないといけないのですか?」と、
マリン。

「そうねぇ~。私も男の人を男性と意識したのは、丁度あなたたちの頃だったわね。でも、恋愛に関しては、私よりねねのほうが詳しいかもね。」とみつ。

「恋愛スペシャリストのアタシを読んだかにゃ?」

出窓で今夜の猫集会のために念入りに毛づくろいをしていたねねが、シュタッと出窓より降り、軽快なステップで歩き、またシュッと俊敏にバーカウンターに飛び乗った。

ねねは、二人にこう言った。

「二人とも、今は無理に恋人として意識しにゃくても大丈夫にゃんよ。二人とも、自分のことを大切に思ってくれる誰かや守ってあげたい誰かを大切にしたくなった『その時』が来たら、恋人になりたいと告白するといいにゃ。」

みつも、「お二人とも、男としても女としても魅力的ですし、仲良しさんですから、お互い良い関係でいられると思いますよ。」と。
安心したカイトとマリンは、「このままでも大丈夫なんだね。」と言いあいました。
「それでは、『あなたは魅力的』という意味のあるカシスソーダをお作りしましょうね。
とみつは言い、準備を始めた。

材料…カシスリキュール…45㎖
   ソーダ水適量

作り方…氷を入れたグラスにカシスリキュールを注ぎ、冷えたソーダで満たして軽くステアする。

カシスソーダ7度中口の出来上がり。

「どうぞ。」

ゴクッ…。カシスの香りが豊かでさっぱりしたのどごしが良い。

誰でもその人それぞれの魅力があるので、お互いに良い所を見つけて褒め合いましょう。