モッキンバード
ここは場末のBAR M&N
ジングルベール♪ジングルベール♪鈴がー鳴るー♪
街を彩るキラキラ輝いたクリスマスイルミネーションを浮足立った恋人たちが腕を組んで歩いているのを、「若いって良いわねぇー。」と他人事の様に見つめているみつ。
それを見てねねが興奮して、
「にゃんと、クリスマスイルミネーションの中に、1つだけピンクの電球があって、それを見つけると幸せになるにゃんだってよ!?」
とふんふんと鼻息荒く説明している。
「別に、そんなの見つけなくても、ねね、あんたと一緒ならいつでもどこでもハッピーよ!」
そんな嬉しいことを言うみつにゴロにゃんとすり寄るねね。
しかし、そこに邪魔をする様に誰かが来店した
チリンチリン♪
「はぁ~、世の中ジングルベルなんて言ってるけど、こっちはシングルベルだよ…。」
オタクっぽい姿格好のシンペイはぼやく。
「何にゃん!?振られたにゃんか?落ち込むにゃって!!ねね様のお腹にもふもふするかにゃ?今にゃら1モフ1ちゅるちゅるにゃんよ!!」ここぞとばかりにちゅるちゅるを請求するねねにみつは、それを制止しようと、
「あっ…!ねね!またそうやってちゅるちゅるをもらおうと企んで…。良い子にしてた時だけだって約束でしょ!?」
「チッ!!にゃんだってもー!!」小さく舌打ちをするねね
そんなこんなをしていると…
チリンチリン♪また誰か来店した。
「ふぅ…今日は、独り身にはキツい日ね…。嫌になるわ。」
いかにもお高く留まったお局風の、パンツルックスのスーツを着こなしたユウナが、ため息をつきながら来店した。
「何にゃ?何にゃ??今夜は、迷える子羊が二匹も来るにゃ!?ラム肉は美味しいけど、食べられない人間はいらないにゃ!!」突拍子もないことを言うねねに
「まあまあ、ねね、この人達の話を聞こうよ…。」ねねを鎮めるみつ
シンペイは顔を曇らせて静かに話し始める…。
「僕は、彼女のことが大好きだったんです。でも、好きすぎて、彼女のことが心配で、浮気しないか彼女に無断で彼女の部屋まで行って、彼女を待ち構えたり、電話を一日に何回もして、でも、最終的には無言電話になってしまって…。」
「それって、つまり、立派なストーカー行為にゃん。」ねねがズバリと言うと
「え゛っ!?僕はそんなつもりは…。」焦って驚くシンペイにねねは、
「つもりが無くても、向こうが嫌がってれば、立派にストーカーだし、犯罪にゃん。」
で、そっちのユウナさんは?
「私は…7年付き合った彼氏がいたんですが、結婚の話を切り出したら、結婚は、まだ俺には早いし、重荷なんだ。って…。それで、先月別れました。」更に深いため息をつきながら言うユウナ。
そこでまた恋愛スペシャリストのねねが、
「そんなに付き合って結婚の覚悟もないなんて、軽い男だったんじゃないにょ?
愛のショーミキゲンは、7年って誰かさんが言ってたけど、(今くしゃみした人、そこのあなたにゃん!)本当に愛し合ってたら、年月なんかカンケーないと思うにゃん。」
みつは、シンペイとユウナ二人の意見を聞いて、二人の気持ちをこう例えた。
「二人とも、相手を愛する気持ちは沢山あるのよね。そこで、コップに例えたら、コップ一杯の愛を一気に全部ダーッて相手に与えちゃってるから、そんな量の愛を与えられた相手は、持ちきれなくて、一気にドン引きしてしまったわけ。」
「二人とも、もうちょっと加減を知ろうよ?」とみつ。
「悪い例で言えば、相手に対して、私、あなたのことを愛してるー。あなたも私のこと愛してるって言ってー!とかって、愛を強要していない?」疑問を問いかけるみつに
「ギクッ!?」二人とも驚く。
「それより、愛してるよー、私もー。の方がシンプルだし、気持ちが伝わっているような気がしないかしら?」とみつ。
「愛って、多ければいいってもんじゃないにゃんね。」とねねもフンスと鼻息を吹く。
「一緒に美味しいご飯を食べてながら、美味しいねってほっこり微笑みあう、それだけでも幸せじゃん。」と微笑みながらみつ
「ねねとみつは、いつもそうにゃんよ!」ピースサインを作るねね
「そうね、わたしもねねも、お互い好き同士で、家族だもんね!!」キュッとねねを抱くみつ。
「それはそうと、案外あなたたち気が合いそうなんじゃないの!?」とみつが意外な提案すると
えっ!?とシンペイとユウナ
「ちょっと、シンペイにゃん、ボサボサの髪の毛をそろえて、無精ひげをそったらそれなりに決まるにゃんかもよ?ねえねえ、ユウナにゃん、元はいいんだから、少しお化粧して、フェミニンなワンピースでも着てみたら似合うかもよ?スタイリストねねのアイディアはここまでね。それから先は二人で頑張って。」ガッツポーズを作ったねねに不思議そうな顔のシンペイとユウナでしたが…。
「まあまあ、それはさておき、カクテルを準備しますから、それを飲みながらお互い仲良くなりなさいよ…。」
みつはカクテルを準備し始めた。
材料…テキーラ…30㎖
グリーン・ペパーミント…15㎖
ライムジュース…15㎖
作り方…シェイカーにテキーラ、グリーンペパーミント、ライムジュースを入れ、シェイクして、カクテルグラスに注ぐと…
モッキンバード25度中口の出来上がり。
「どうぞ。」
グリーンペパーミントの爽やかさとライムの酸っぱさが特徴的。
モッキンバードの言葉は、似た者同士。
気が合う仲間と一緒に飲みましょう。