退陣を表明した安倍首相が去る2月10日の自民党大会において、民主党政権時代を「悪夢」の時代と揶揄し、同時に「最低の宰相」、「最悪の宰相」を輩出した時代とも言っている。
筆者は「最低・最悪の官房長官」が存在した時代であった、とも付け加えておきたい。
東日本大震災で東京電力の原子力発電所が被災した際、時の官房長官は、国民に対しては「安全である」と説明しながら、自分の家族を沖縄に移動させたからである(ここでは元官房長官の説明に沿い、「避難」に代えて「移動」という言葉を使う)。官房長官と言えば、内閣の要である。最も質の高い情報が集まるポストであり、その立場を利用して得た情報に基づき、一般国民は置き去りにし家族を移動させたという事実について、国民は忘れてはならない。
当時の民主党の流れを汲む立憲民主党は、国民民主党などと合流し、まだ名前が決まっていないが新党を立ち上げようとしている。この新党の代表選挙に有力候補として立候補しているのが、家族を沖縄に移動させた元官房長官その人である。
家族を大事にするということは、政治家であっても当然に遵守すべきモラルであり、人間として恥ずべき行為ではない。しかし、国民には、「安全である」と言いながら、一方では家族を移動させたことについては、国民が理解し、納得できる形で説明する必要があろう。
自民党の総裁選挙とほぼ同時期の今月10日、立憲民主党と国民民主党などの合流新党の代表選挙が行われる。我が国政治の資質向上のためには、健全野党の存在が必要不可欠である。我々国民は、自由民主党の首班指名とともに、野党の代表者が誰になるかも関心をもって見守る必要がある。