今、参議院議員選挙の終盤にさしかかっている。様々な公約を掲げていろいろな人たちが立候補している。公約の中には常識的に考えて奇妙なものも散見されるが、一応、国民の関心を集めている事項が取り扱われている。

 そうした中で非常に不思議に思うのは、国民の関心が高く、国民の大多数が改革を望んでいるテーマを取り上げる候補者が皆無であることである。そのテーマとは、畏れ多いことであるが、皇室にかかわる事柄である。

 国民は現在、今上天皇の後継者がどなたになるか、重大な関心を抱いている。今の天皇に天皇の後嗣となるべき男子がいないからである。我が国の代表的な情報誌である「文藝春秋」最近号が「『愛子天皇』大論争」としてこの問題を取り上げたのも、このことに対する国民の関心の高さを示している。

 皇室典範には、第1条において「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」と定めている。したがって、現行の法律の規定では、男系男子しか天皇になることができないのである。

 男女平等の考えが定着し、日本社会の隅々までこの公準ともいうべき原則が行き渡っているのに、日本国の象徴である天皇の資格要件が男子に限定されているのはいかにもおかしな話である。そして、男女平等の原則に最も敏感であるはずの女性国会議員でも、この問題について一様に沈黙を貫いているのは不思議と言うほかない。

 皇室典範は法律である。法律の良し悪し、あるいは法律の不備について、最も責任を持つべきは国会議員である。その国会議員の選挙において、女性差別の規定を温存している皇室典範に無頓着であることは許されない。

 世論調査によれば、女性天皇を容認する人たちは国民の過半数を占めている。筆者は、「愛子さま天皇」を標榜する候補者であれば、その公約だけで当選間違いなしと推測していたが、これを敢行する候補者がいない。何とも不思議な参議院議員選挙である。