『市民団体』ほにゃらら・・・名刺に堂々とそれを謳い
ご丁寧にも漢字20個以上の長々した肩書を持つ方と会うことになった。
先方の「こちらは3人で伺います。」という言葉もあり
手狭な事務所は避け、近所のホテルのラウンジを約束の場所に。
久々のWebサイト制作。
これまで電話による打ち合わせだけで顔を合わせたことはない。
電話だけなら往復で10回は話だけはしているらしい。
内容を聞けば、それなりの規模のもの
予算を聞けば、当然、それなりの金額にもなる。
しかしながら、
積極的なアプローチ(=営業活動)などするはずもない私とウチの会社。
理由は簡単である。
どれだけもっともらしい活動を掲げていたとしても
どれだけ仰々しい肩書であったとしても
私が市民団体とカテゴライズされる人たちを好きになれないから。
「どうせ、他の制作会社に決めるだろ?」と見込んでたわけで。
そんな意に反し、先方から正式な発注があった。
正式に依頼されても気が進まない。
「じゃ、もう一回断るチャンスを与えよう!」
とばかりに、最近の業界相場を無視した金額をふっかけてみた。
またまた意に反し「OKです。」と即答。
最近になりウチのスタッフも皆多忙を極めてることもあり
胡散臭さも多分に残ってる。
打ち合わせには私が行くことになった。
そんな経緯の後、
約束のホテルに出かけようとすると、大社長のユウ君が
「Mitsさん!ジャスミン連れてってください、勉強で!」
知ってる人は知ってる久々登場のジャスミン。
彼女はこの4月から正式にウチの会社に入社している…アホな女だ。
どうやらユウくんとジャスミンの間では昨日から練られた作戦らしい。
Mitsが交渉の途中でキレちゃうかもしれないから。という危惧の元。
時間には厳格な私。
待ち合わせでは絶対に相手を待たせない。
これは17歳のころからの信条。
この日も約束の14時、その30分前には到着。
もちろん、相手はまだ来ていない。
ラウンジで冗談半分にジャスミンに言ってみた。
「ビールでも飲むか?」
言葉なく、眼だけでそれを否定するジャスミン。
仕方なく頼んだコーヒーが無くなる頃、
時計を見ると既に約束の時間3分前。
それらしい人物は現れない。
もう一度ジャスミンに言ってみた。
「ビール飲んでもええんと違うか?」
今度は目を合わせることも無く完全スルー。
仕方なくコーヒーをおかわり。
14時30分ころ、2杯目のコーヒーも無くなる。
丁度そこにホテルのウェイターが声をかけてきた。
「失礼ですが、○○のMits様ですか?」
「お待ち合わせの方がお越しです。」
気のせいだろうか?
私の隣から、「チッ」という舌打ちのような音が聞こえたのは確か。
「いや~、申し訳ありません。遅れて・・・。」
代表とそのスタッフ女性2人に
お愛想の言葉を出そうとしたところでジャスミンが口を切る。
「いえ、大丈夫です。」
「○○のMitsと、私ジャスミンです。この度はよろしくお願い致します」
いつの間にかこの場を仕切ってる女。
「じゃあ、早速ですが契約書を作ってますのでご確認いただいて」
このタイミングで相手代表が言う。
「今日も暑いですね~。」
「不謹慎ですが、私ビール頂いてもイイですかね?」
「・・・」
それまで仕切っていたジャスミンの反応がない
大きめの目を更に開き、眉は釣り上がってるし・・・。
私が代わりに答えておいた「どうぞどうぞ!」
相手スタッフの女性が言う。
「その前に、少々お願いがあるんですけど・・・」
「金額を少し下げていただきたい。」
「それから、支払期日を完成後の3ヶ月後にして頂ければ幸いです。」
「ご契約内容はお電話で再三の念押しをさせて頂いたはずですが」
「この機にそれを言われてもそれを飲み込むことは出来かねますが・・・。」
「それを承知で申し上げています。」
私の顔色を見ることも無く、
私に回答を求めることも無く主張を続けるジャスミン。
しばらく放置して、ジャスミンと相手スタッフのやり取りを楽しむ私。
ようやく
ジャスミンが横にいる私の顔を見たとき・・・
どうやら、それが「私これからキレます!」の合図だったようだ。。。
「私ども金額的にも内容も誠意を示しているつもりです。」
「事前におっしゃっていただければ、検討の余地もありました。」
「それを今になって言われることに困惑しています。」
と、私に言わせれば100点満点の受け答えかと思った瞬間・・・
「だいたいですね~30分近く遅れて来られて簡単な言葉だけで 」
「しかも交渉の場でビールって???」
「おかしくないですか???」
「もしかして、うちを下に見てますか?」
大きなため息の後、ジャスミンが言う
「これだけの値引きと支払い延期となると、もう一度損益計算せねばなりませんので1日ほどお時間ください。結論は明日にでもご連絡します。」
ときっぱり。
慌てた相手代表が「Mitsさんも同じご意見ですか?」
「95点くらいでしょうか?」
「付け加えるとしたら・・・答えを持ち帰らなくても、この場で今回は御縁がなかったと言うべきだったでしょうか?そこだけですね!」
「でも、彼女がそう言ってますんで明日中にはご連絡いたします。」
既に帰り支度を始めているジャスミン。
そしてウェイターを呼び一言
「すいませんが、伝票分けてください、コーヒー4杯とその他で・・・」
「それでコーヒー×4の領収ください。」
相手に意思を伝えるには十分すぎるほどの怒りに満ちた声。
足早にホテルを去るジャスミンの後ろをついて歩く私。
途中の商店街でも何かの怒りがおさまらないのだろう
舌打ちとため息の「はァ~~」を繰り返す女。
その横で笑いを堪えるのに必死な私・・・
あまりに繰り返す「はァ~~」に、不謹慎にも妙に艶っぽく聞こえたわけで…
商店街の一角で急に立ち止まるジャスミン。
最近出来たばかりのスタンディングBarの前で
「ビール飲みたいんですよね!1杯だけ飲みましょう!私が奢りますから・・・」
実に頼もしい。
こういう気骨な女であることを改めて知った。
1杯と言う提案に対し
「3杯奢ってくれるなら付き合ってやるよ!」
と我ながら洒落た答えを返しておいた。
この女
もっと大きいステージで仕事ができるはずなんだが・・・
成長が早すぎる女。