ブラームス
ヴァイオリン・ソナタ 第2番 イ長調 作品100
今回は第3楽章です。
音を歌の歌詞のように解釈し
ブラームスが作品に込めた想いを探ります。
趣味の考察で
大まかなチェックとなっており
専門家のアナリーゼではありません。
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第2番
楽譜では基本的に
青マーカーをヘルミーネ
黄マーカーをクララ
赤マーカーをユーリエ
緑マーカーをフェリックス
紫マーカーを歌曲旋律
としました。
後で気づいて書き換えたり、書き足したりで
抜けなどあると思いますので
おおよその確認にご利用ください。
第3楽章
主題
主題となる冒頭の旋律について
解説は見つかりませんでした。
第3楽章15小節に出てくる
『5つの歌曲 作品105
第2曲 まどろみはますます浅く』
の旋律(後掲)と似ており
意識して合わせたように感じます。
全体の流れ
第3楽章は
ヘルミーネの持ち歌2曲
『5つの歌曲 作品105』
「第2曲 まどろみはますます浅く」
「第4曲 墓地にて」
の旋律を使用。
同時に
『9つの歌曲と歌 若き歌 第1集 作品63』
「第5曲 我が恋は緑」(フェリックス・シューマン詩)
も使用。
作品105の詩は死や癒し・救済に関係、
ユーリエ音型やクララ音型も入っており
また
フェリックス詩の歌曲もあるため
ヘルミーネよりシューマン家の印象が強いです。
主題など同じ旋律を
少しずつ変奏した繰り返しが多いため
余計にそう感じます。
参考文献の解説にありませんが、
ベートーヴェンの
「悲愴」第2楽章に似た旋律で
ブラームスの
「ピアノ・ソナタ第3番」
第2楽章冒頭とも似た旋律があります。
ピアノソナタ第3番第2楽章は
ブラームスがシューマンに出会う前の作品で
「若き恋」という詩の一節が標題。
フェリックス詩「我が恋は緑」
と同じく若者の恋がテーマ。
同時に
旋律の似た「悲愴」第2楽章は
大きな悲しみの中の癒し。
「墓地にて」の詩のように
子を亡くしたクララのように
残された者の悲しみの癒しと共通。
この旋律の存在が
若者の恋と悲しみの中の救いをまとめ
楽章の統一感を強くしています。
(個人的考察)
クララ音型の下降音は
音型の由来である
バッハのマタイの受難曲の旋律でもあるので
第3楽章は二重の意味合いも強い気がします。
音型・旋律
第3楽章冒頭、
主題にユーリエ音型ミレドシ(赤マーカー)
この後も20小節、63小節に繰り返し登場⬇️
⬆️紫マーカーは「第2曲まどろみはますます浅く」に合わせた旋律
12小節と74小節から
ベートーヴェン「悲愴」第2楽章冒頭+
ブラームス「ピアノソナタ第3番」第2楽章冒頭
に似た旋律(紫ライン)
その中に
ユーリエ音型ミレドシオクターブ(赤マーカー)+
クララ音型ドシララ(黄マーカー)和音を含む⬇️
⬆️15小節後半から
「第2曲まどろみはますます浅く」旋律(紫マーカー)使用
歌曲「まどろみはますます浅く」の
ソナタに用いた旋律(紫マーカー)⬇️
ソナタ12−15小節の旋律と似ている2作品は
1:ベートーヴェン「悲愴」第2楽章冒頭⬇️
⬆️悲しみの中の救い
2:ブラームス「ピアノソナタ第3番」第2楽章冒頭⬇️
⬆️若者の恋
31小節からのピアノは
「墓地にて」を取り込んだ旋律⬇️
歌曲「墓地にて」ピアノ部分⬇️
85小節から
ヴァイオリンは
フェリックスFファで始まるアルペジオ
ピアノは
クララCドのオクターブ
繰り返しの導入で
フェリックス詩の「我が恋は緑」旋律(緑マーカー)⬇️
⬆️「我が恋は緑」旋律にピアノは6連符
(連符はクララ作品に多くみられる)
「我が恋は緑」(緑マーカー)の後
ヴァイオリンは
クララ音型(黄)とユーリエ音型(赤)系
ピアノは3連符が続く⬇️
ユーリエ音型、クララ音型系旋律の後
「我が恋は緑」を連符での変奏⬇️
112小節から主題変奏
転調で明るく
楽章冒頭でユーリエ音型だった旋律は
クララ音型に(115小節)⬇️
変奏後、
ピアノ「墓地にて」旋律で
一瞬暗い曲調になるが
再び
主題で明るく戻り、
ユーリエ音型を4回繰り返しエンディングへ⬇️
感想
ヘルミーネへの想いがこもった作品に
クララ音型やフェリックスの旋律があるのはなぜ?
という疑問で調べ始めたら
ユーリエ音型と個人的に考えている旋律が多くて
最終楽章の終わりまで来た時の本音は、
えっ、待って、これユーリエがメイン???
と、
これでもかと繰り返される“ユーリエ音型“に
しばし呆然としたのでした。
全くの見当違いか
本当にそうなのか?
思わぬ方向に進んだので
お付き合いくださった皆様に
ご意見を伺いたいような
伺いたくないような気持ちです![]()
ミレドシをユーリエ音型と推測した根拠は
過去記事に書いておりますので
ご興味ある方はご確認ください(関連記事にあります)。
1872年にユーリエ(長男は1877年)逝去
1879年にフェリック逝去で
1886年に『ヴァイオリン・ソナタ第2番』や
『5つの歌曲 作品100』作曲ですから
なぜこのタイミングという疑問もあります。
1880年ごろから
クララとの関係に距離感ができても
ブラームスの心の奥に留まり続けた想いでしょうか、、、?
さらに後年になりますが
1889年1月のクララの日記に
ブラームスと一緒に
“ユーリエに献呈された“
『シューマンの主題による変奏曲 変ホ長調 作品23』(1861年作曲)
を連弾したとあり、
クララによる注釈から
何年経とうと
2人にとって大事な存在である
ユーリエ(同じくフェリックスも)への想いは
リアルだという印象も持ちました。
ヴァイオリニストを目指していたフェリックスをイメージして
Google AIで画像生成しました
作品全体
作品に使った歌曲名は解説にあるものの
具体的な情報は
(どの旋律を何小節目に使用したか)
ほとんどなく
見つけるのにとても苦労しました。
ヴァイオリン・ソナタだけでなく
関連歌曲全てに目を通してチェックするのは
チャレンジングで勉強になりました。
この作品は親しみやすい旋律で
シンプルな作品に聴こえるのに、
いくつもの歌曲を取り込みつつも
絶妙に組み合わせ
1つのまとまった曲に仕上がっていることに驚きました。
ブラームスは名アレンジャーですね。
エリーザベトが
この作品を“抱擁“と表現したのは
最初、
フレンドリーな曲調と
ブラームスのヘルミーネへの愛情を
言っているのかと思いました。
けれど
フレンドリーな温かさと
ヘルミーネや彼女の歌声への愛と同時に
亡くなった子ども達や
悲しむクララへの愛と抱擁を意味したように思えました。
第2楽章に追加する予定の推測を
ここに書きます。
第2楽章の静かなパートは
子守歌風にも聴こえ(個人の感想)
これは
亡くなった時にユーリエのお腹にいた赤ちゃん
(ユーリエはキアリーナと呼んでいた)
への鎮魂でもあるように感じました。
ユーリエの長男もこの頃には夭折していたので
その子の鎮魂もあるかもしれません。
(幸いにも次男のロベルトは無事成長し、
今もご子孫がご健在のようです)
前の記事
関連記事
ミレドシをユーリエ音型とした根拠を書きました⬇️
ユーリエまとめ
クララ音型について
フェリックスについて
お読みくださりありがとうございました
























