バーゼル室内管弦楽団 日本ツアー2024

A・オッテンザマー(指揮)X 反田恭平(ピアノ)

大阪フェスティバルホールでの公演感想の続きです。

 

①はこちらです⬆️

 

 ピアノ

前日の別のリサイタルで聴いた

サー・スティーヴン・ハフが使用したヤマハのCFX

そして

この日がカワイのSKーEX

 

そして翌々日に名古屋で聴いた

サー・スティーヴンの協奏曲は再びCFX。

 

ホールや座席の位置が全部違うので、

その影響もあると思いますが、

 

CFXは艶やか

SKーEXはスモーキーで

響きは控え目

柔らかな音色。

 

サー・スティーヴンの曲はリスト、ショパン、シャミナード、ラフマニノフ。

 

反田さんはベートーヴェンなので時代を遡ります。

なのでピアノもSKーEXの音色が合うように感じました。

 

 弾き方

 

これも時代の違いが関係していると思うのですが、

サー・スティーブンは指をフラットな感じで、

反田さんは手を丸くなる形で弾いてらっしゃいました。

 

ショパンが黒鍵を多用するのにフラットな奏法にしたと本で読んだので、

ベートーヴェンだと丸くなるモーツァルトと同じような形なのかなぁと

見ながら思いました。

 

反田さんの演奏をライブで見たのは初めてで、

ここぞという時に、唸り声(?)が聞こえました。

 

ツィメルマンさんの時は鼻歌のような歌声が聞こえてました。

 

ピアニストによって集中した時に出る個性も様々ですね。

 

サー・スティーヴンやカントロフさんは

反田さんと同じく唸り声タイプでした。

 

 前半

 

ファンファーレでコンサートの幕を開ける。

さぁ始まるぞ、という感じが良かったです。

 

オネゲルの「夏の牧歌」は

オネゲルっぽさと夏の雰囲気が漂う素敵な演奏でした。

 

拍手しようとしたタイミングで客席がまだ静かだったので、

フライングしないように焦りました。

 

そしてベートーヴェンの

ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 Op.58

 

ピアノから始まる協奏曲って珍しい気がするのですが、

ピアニストが流れを決めやすそうでいいのかもしれない。

 

(というのも

その翌々日に聴いたラフ3が指揮・オケと

ピアノの流れに違いを感じ最初違和感があったので)

 

このところシューマンの協奏曲など、

オケとピアノが混ざり合うような作品を好んで聴いていたので、

このベートーヴェン第4番のような

交互に演奏し合う部分が多いのは

シンプルで特に好きではなかったのですが、

実際に聴いてみると、

聞き応えのある美しい作品でした。

 

 ピアノ・アンコール

 

 

拍手鳴り止まず、

ソリストのアンコールは2曲。

 

ショパンの子犬のワルツとモーツァルトのトルコ行進曲。

 

お家でお子様に弾いて聞かせてらっしゃるのかなぁと

思いながら聴いていました。

 

2曲目のトルコ行進曲は

個人的には目から鱗、ハッとさせられました。

 

ラシド、ラシドシラソ、、、のところ

私などは楽譜にフォルテと書いてあるから

何も考えず機械的に

ここに来たら力強く弾いていました。

 

ところが反田さんは優しくピアノかメゾピアノです。

 

聴いていると、

トルコの軍隊の行進が遠くから少しずつ近づき、

前を横切って通り過ぎてゆくイメージが頭に浮かんできました。

 

楽譜の指示は大切だけど、

その作品全体のイメージをどう表現していくかは

基本から広げていく上で大事だなぁと

感じました。

 

この公演で反田さんのこの演奏を聴けてよかったです。

 

 

 後半

 

ウィンケルマンさんのジンメリバーグ組曲は

アコーディオン独奏と小管弦楽のための作品。

 

スイス民謡を素材とした6曲で

タイトルが面白くて

「田舎の子には興味がないわ」とか

「パパはアッペンツェラーチーズが好き」など

そのイメージ通り、

愉快で聴いていると笑みが浮かぶ音楽と演奏でした。

 

アコーディオン奏者の

ヴィヴィアヌ・シャッソさんがチャーミングな方で、

(スイス民族衣装風の刺繍の美しいドレスも素敵でした)

ずっと口角を上げて、

作曲者で演奏者でもあるウィンケルマンさんと

笑顔で顔を見合わせながら演奏されてました。

 

シャッソさんはコードがマイナーになる直前から

表情がすごく悲しそうになるのがチャーミングでした。

 

全体的にスイスらしいというか

ヨーデル風なところもあって、

私などは、

映画版チャーリーズ・エンジェルの

ナタリー、ディラン、アレックスの3人が

スイスの民族衣装を着てヨーデル風に歌いながら

アコーディオンを弾く場面を思い出してしまいました。

 

メンデルスゾーンの交響曲第4番イタリア。

 

シューマン夫妻の大好きなメンデルスゾーンで

人柄を知って私も好きになった作曲家で楽しみにしてました。

有名な第1楽章はCMか何かにも使われてましたっけ?

聴くだけで楽しくなります。

 

オッテンザマーさんの溌剌とした指揮と

チームワークの良さそうなオーケストラの雰囲気もあって

元気の出る演奏でした。

 

指揮の横揺れのリズムの取り方は、

ムーティさんを思い出しました。

 

アンコールは

ロッシーニのLa Danza。

タンバリンのリズムはダンサブルだし、

コントラバスはクルクル回ったり、

互い違いに演奏したり、

座って聴いてるのが惜しいほどのノリノリの楽しい曲でした。

 

演奏が終わってカーテンコールも終わった後、

オーケストラのメンバーの皆さんが舞台から去る時も

拍手でお見送りをしていたら、

メンバーの方々が手を振ってくださったので、

観客席からも手をふり返すという、

なんとも和やかな心温まる終わり方でした。

 

スイスと日本の国交樹立160周年で

バーゼル室内管弦楽団初来日ということもあって、

普通の公演以上に、

フレンドリーな雰囲気があったのかもしれません。

 

しばらく前に読んだブラームスからクララに送ったお誕生日の手紙、

交響曲第1番のホルンの主題の元となった

 

山の頂から、深い谷から、何千回も君に挨拶するよ!

 

のフレーズはスイスから送られたので

スイスを少し近くに感じたところへ

この公演。

 

バーゼル室内管弦楽団の皆さんの素敵な演奏と

フレンドリーさで

スイスに親しみを感じられて良かったです。

 

 

お読みくださりありがとうございました。

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