ブラームスとクララ・シューマンの友情は

恋愛レベルから距離感のある時期まで

何度か波が見られる、ということで

以前

ブラームスの婚約時期や

引退勧告などについて書きました。

 

今回は

クララがブラームスに

結婚相手として女性を紹介していたという話です。

 

ブラームスの伝記、

Johannes Brahms

LIFE AND LETTERS

 

STYRA AVINS

(手紙の選択と注釈)

 

に書かれていました。

 

 

 結婚を勧めた時期

 

 

伝記によると

女性を紹介したのは1868年9月4日の手紙。

(内容は本にはありませんでした)

スイスの出版者のお嬢さんだそうです。

 

彼女は結局別の人と結婚し、ブラームスとは友人であったようです。

 

これ以外にも

クララの伝記にあった1870年3月6日の手紙に

 

蓄えもできたのだし、

伴侶を見つけて家庭を作ってはどうかと勧めています。

 

1つ目の手紙の時期は、

ブラームスがクララに引退勧告的な手紙を書いて

友情の危機となった頃です。

 

1867年ごろからこの手紙の時期は

ブラームスの気分のムラが激しく、

クララが参ってしまい子供達ににも悪影響を与えると心配していた頃です。

 

オイゲニーの回想記に書かれた

ブラームスの気性とクララの反応を読むと、

状況が想像できます。

 

クララは人気ピアニストで

幼少期からファンも多く

多くの人に愛されて育ち、心優しい。

(ブラームスはクララを天使のようだと書いています)

 

ロベルトとの生活で

気分のムラや作曲中の気難しさを理解し、

落ち込ませないよう気を配ってきたので、

ブラームスの複雑な性格にも寛容な心で接していました。

 

オイゲニーがいうには、

母クララは

音楽家の気難しさは理解できたけれど、

ブラームスのような

落ち込んだ時に人に当たる態度には慣れていない。

(八つ当たり?)

愛されて育ち繊細さや純真さの残るクララは

自分に向けて言い放たれる言葉に傷ついていたようです。

 

(オイゲニーは、

人は愛する人にこそキツく言ってしまう

誰しも思い当たるのではと記しています)

 

1867、8年のブラームスの態度に

クララはお手上げだったか?

 

妻がいればブラームスも幸せになって

穏やかになると考えたのでしょうか?

 

個人的な印象を書きますと、

結婚相手を紹介する時点で

クララに恋愛的な気持ちは一旦ほぼ消えたな、と感じました。

 

2つ目1870年の手紙は

クララの娘ユーリエ結婚後のことです。

 

前年の7月にユーリエの婚約が決まった時、

ブラームスに直接伝えたところ、

全く予期していなかったようで

かなり動揺していた、と

クララが日記に記しています。

 

オイゲニーはユーリエと仲が良く、

彼女にちっちゃな親友と呼ばれ、

婚約者となった人との恋バナ的な話も聞いていたようですから、

クララも日記に書いていたように、

ユーリエはブラームスを恋愛対象とは見ていなかったと読み取れます。

 

一方のブラームスの想いはどうだったか。

 

クララからは

彼がユーリエを恋愛対象と見ていたと感じなかったけれど、

その後のブラームスの様子から

(無口になる、

アルト・ラプソディというブラームス自身を表現したような悲しい作品をブライダルソングとして作る)

好きだったのかしらと思い始めたようです。

 

オイゲニーの考えるところでは、

クララがユーリエと一緒にハンブルクへブラームスに会いに行った時に、

意識し始め、

婚約直前にブラームスが家に出入りしていた時

ユーリエを見る目が少し違っていたのを感じ取っていたようです。

(それが何かということは書いていませんが)

 

ブラームスがどこまで本気で恋していたのか、、、

 

ユーリエは美しく、思いやりがあり

顔立ちはクララに似ていたと言います。

(髪の色は違いますが、写真を見ると似てる感じも)

 

クララが1868年に結婚相手を紹介した時、

それならユーリエちゃんの方が、、、なーんて思ったか思わなかったか、

誰にもわかりませんが、、、。

 

クララにとっては、

自分の娘がブラームスの恋愛対象!?と考えた時に、

自分の年齢や立場を

改めて意識したかもしれません。

 

そんなこんなで、

ブラームスのショックを受けた様子を見、

さらに

アルト・ラプソディを聴いて

曲と詩に

彼の苦悶を感じ取り

深く心を揺り動かされたクララが

妻を得て暖かい家庭を築いてほしいと手紙を書いたのもわかるような気がします。

 

この手紙に対してブラームスは

部屋が寒々として云々には笑っちゃいました、と軽く返しています。

 

stay fond of 

your Johannes.

 

で手紙が終わります。

 

これは私の深読みとも思えるので

流していただきたいのですが、

 

“僕を好きでいてください“

 

という言葉が

なんとも言えない雰囲気をかもし出しているなぁ、と。

 

アガーテだったり、ユーリエだったり、

恋というかパッションというか

そういう気持ちは何度かありつつも、

クララを別次元に愛していて、

色々あっても僕を見離さないで的な気持ちがあるのかなぁなどと考えてしまいました。

 

ゲーテの「冬のハルツの旅」からの断章(アルト・ラプソディ)

 

クララが日記に書いたように、

曲自体も、歌詞となったゲーテの詩も

ブラームスの嘆きが表現されて

痛々しいほどです。

 

(ブラームスとクララの友情については

日記や手紙を読んでの1個人の感想と

ご理解いただければ有り難く存じます。)

 

お読みくださりありがとうございました。

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