クララ・シューマンの伝記で印象に残ったお話は、

前回が

1858年から1860年でした。

 

 

 

ブラームスの曲を演奏して推すクララに、

ブラームスが批判する手紙を書き

クララが深く傷つきます。

 

雲行きが怪しくなったところに

ブラームスは若い娘と恋に落ち婚約。

けれど色々あって解消。

 

クララとブラームスの友愛は危機から脱し、

関係修復へと向かう。

 

それが前回までの出来事です。

 

これからはあっさりとした友情なのかな、と思いきや

1861年の文通では恋愛に近い友愛再燃。

 

1月にハンブルクに滞在し、

ブラームスと一緒に演奏などして過ごすのですが、

クララの日記に、

とても楽しんでいる様子が書かれています。

クララが滞在を終えて離れる時、

お互いにとてもつらかったようです。

 

直後のブラームスの手紙は、

ほのめかしか直球か

微妙なニュアンスで、

 

時々願うのです 

誰か、例えばあなたと

最初に出会った時に戻れたら、と。

一からやり直して

再びあなたと恋に落ちることができるかもしれない。

、、、中略、、、

あなたもそんなふうに思いませんか?

あなたが完璧だと思う恋に落ちることができる人が

もう少しいればいいなと思いませんか?

このハンブルクの地には見つけられないでしょう。

 

抜粋した部分だけ読むと

どストレートなラブレター。

ただ、

その前後の文章で、

新しく出会う人々との気持ちの通じ合いについて書かれているため、

「恋に落ちる」の意味が恋愛か微妙で、

親しい友人への愛ともとれる曖昧さを感じます。

 

クララは返事に

 

ブラームスと別れて帰宅後は辛すぎて、

人と話すのもやっと、だったと書き

ブラームスからの熱烈な手紙にとても喜んでいます。

 

帰宅してからというもの悲しくて、

あなたのことを四六時中考え、

あなたがここにいてくれたらどんなに良いかと考えてしまいます、、、(後略)

 

熱い!

これを恋愛と言わずに何と言いましょう。

でも、表向きはお互い「恋愛」とせず、

友愛、親友への深い気持ちだと、

クララは自分の心を見て見ぬふりをしているようです。

 

ブラームスの

「最初に戻って再び恋に落ちたい」についての返事は、

 

私は大勢の人と恋に落ちるより、

1人か2人の人を大事にしたいのです。

だから

あなたには

もう一度最初から私に恋に落ちてほしいとは思わず、

むしろ、

心から本当に私を愛してほしい、永遠に。

それが一番なのです。

 

1人か2人って、

ロベルト・シューマンとヨハネス・ブラームス???

 

クララの文は心にしみます。

激しい情熱よりも永遠の愛。

 

この一年は2人の心が密な時期で、

 

ピアノ四重奏曲第1番

Op.25は、

第2楽章はクララのことを考えながら作曲したようで、

クララはブラームスへの手紙に、

そのことをとても嬉しいと書いています。

 

ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ

Op.24

これもクララへ捧げられたものだそうで、

その喜びを、

長女マーリエへの手紙に書いています。

 

この曲は「親愛なる友」へ捧げたものだそうで、

この素晴らしいヴァリエーションを書いている間

私のことを思っていてくれたとは

なんという喜びか、あなたも想像できるでしょう。

 

両曲の初演はクララの演奏だとウィキペディアにあります。

 

この手紙は11月で、

この頃までは良い雰囲気なのです。

 

それが12月、

ヘンデルのヴァリエーションをクララが演奏後、

ブラームスは、この曲はもう聴きたくない、

自分の曲が演奏されるのはどれも聴きたくないと言って、

クララを悲しませます。

 

そしてその年のクリスマスから翌年3日まで

他の友人と共にブラームスもクララ・シューマン一家と共に過ごすのですが、

ブラームスは不機嫌で、あまり良い雰囲気ではなかったようです。

 

この辺りから、また2人の手紙には通常運転的な、

熱のひいたやり取りになっています。

 

ブラームスが12月以降不機嫌になったのは、

クララの手紙によると、

彼の作品の評判が願うほど良くなくて落ち込んだようです。

 

クララもブラームスの気持ちに理解を示すのですが

不機嫌なブラームスへの接し方は難しいようです。

 

後年の日記(1866年)に、

1861年の冬ごろに日記を書くのをやめようと考え始めたが、

結局やめられないと記しているのです。

 

この時期のブラームスとのことが影響したのではと考えてしまいます。

再燃した2人の気持ちが、また冷えていった頃。

 

その後もクララには子供に対する心配、

ブラームスとの誤解のやり取りで

再び友情の危機、

そしてブラームスのレクイエムの成功などがあります。

 

夫ロベルトの作品がやっと絶賛される時代にもなりました。

 

続きは後日に書ければと思います。

 

今日届いた紅茶のセット。お茶の時間が楽しみです。

 

お読みくださりありがとうございました。

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