ロベルト・シューマンのピアノ協奏曲イ短調 Op.54。
このところのお気に入りで
特に第3楽章の後半のピアノソロ、
流れるような旋律が美しく、楽譜を見たくなりました。
8分音符で
ファミ♯ファソラシドソドシラソ(ドファソは♯)
を繰り返すあたりからは
ドラマティックで泣きたくなるくらいの感動があります。
愛聴盤:サー・スティーヴン・ハフ&アンドリス・ネルソンス&バーミンガム市交響楽団
Youtubeでこの曲を検索したら、
ユジャさまの動画がお勧めで出てきました。
ユジャ・ワン氏、
2023年3月リリースのアルバム「アメリカン・プロジェクト」で
第66回グラミー賞「最優秀クラシック器楽ソロ」部門を受賞。
おめでとうございます。
華やかさと
テクニック、表現力を兼ね備えたピアニストの
シューマンはどんな感じかなと思い聴きました。
2019年ウィーン交響楽団、ロレンゾ・ヴィオッティ指揮⬆️
さすがユジャさま、間違いない演奏。
特徴として感じたのは、
シューマンの2つの人格がはっきりと弾き分けされている。
優しく柔らかな内省的なオイセビウスと
活発で激しく強いフロレスタン。
ユジャさまの表情も豹変。
怖いくらいです。
演奏とは直接関係ありませんが、
左手の爪に赤く滲むのは血でしょうか。
本番でマニキュアの取り残しではないでしょうし、
血の滲むような練習の迫力を感じました。
それを見終わったら、
アルトゥール・ユッセン氏がお勧めに出てきたので聴いてみることに。
2019年ハーグ・レジデンティ管弦楽団、ニコラス・コロン指揮⬆️
ユッセン氏の演奏を聴いて、
ホールや録音の良さなのかもしれませんが、
響きが深くて良いなと思いました。
ユジャさんの打鍵は
華奢な体格(細マッチョですが)なのに強く鋭くて
すごいと常々思っているのですが、
重厚さというか響きの深さというのは
体重や骨格が影響するのかなと、
イム・ユンチャン氏の細マッチョな鋭いフォルテのこともあって
思わずにいられません。
(反田恭平氏も演奏のために体重を増やされたそうですし。)
ユッセン氏の演奏のお気に入りはトリル。
ドレミファソラシ♭ソミレ
の
シ♭のプラルトリラーが巻き舌系。
サー・スティーヴンもそうでした。
リズムが良く勢いがあって好きです。
ドイツ語の巻き舌のRを思い起こさせ、
ドイツらしさに繋がるのかなと、ふと思いました。
もう1つのトリル、
第1楽章の終盤に右手で長くトリルしながら、
左手で主題(CHAクララ〜)と弾くところが素晴らしかったです。
この箇所のトリル、
美しく弾くのが難しいというか
なんとなく曲として
まとまりの悪い箇所だなぁと感じるのですが
ユッセン氏の演奏は美しく調和していました。
演奏とは関係ないのですが、
ユッセン氏と指揮のコロン氏のスーツ、
そして管弦楽団メンバー着用のドレスシャツが
お洒落、かっこいい!
ユッセン氏は
どちらかというと
お兄様のルーカスさんと
ユッセン兄弟で演奏されてる動画の方が
よくお勧めで上がってきます。
おひとりで演奏されてるのを見たのは今回が初めてでした。
最後はバレンボイム氏
⬆️1991年ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、セルジュ・チェリビダッケ指揮
これまた間違いない演奏。
バレンボイム氏の正統派で
繊細で正確な演奏。
オーケストラとのバランスは
上記3つの中で一番良く感じました。
(個人的好みではミュンヘン・フィル、ハーグ・レジデンティ、ウィーン・フィルの順番)
特に第2楽章でオーケストラとピアノのかけ合い、
フルートなどとの
ソロ同士のささやき合う箇所のバランスが絶妙でした。
ユジャさんの時は
ピアノがささやき声で話しかけてるのに
アルコールが入って自分の声が大きいことに気づかないまま返事するみたいな(ささやいてないよ〜)、バランスの悪さを感じるところもありました。
(全部じゃないですが)
バレンボイム氏は
ベルリンフィルのヨーロッパ公演ブルーレイでも
何度か指揮とピアノ演奏(+弾き振り)を視聴。
演奏以外で印象に残るのは、
いつも花束をもらうと、
そこから花を抜いて、
コンマスさんや、近くに位置する女性メンバーに渡される心くばり。
(騎士道精神やレディー・ファーストが強くあった時代なので、
今は変わってきていると思いますが)
ベルリンフィルと一緒に仕事をする時は
豪華な食事でメンバーをもてなすこともあったそうで、
気前の良い心の広い方のようですね。
この協奏曲は他にも大勢のピアニストの演奏がYoutubeにあるので、
少しずつ他も聴いてみたいと思いました。
お読みくださりありがとうございました。