ようやくインタビューの続きです。

 

オリジナルはこちら⬇️BBCのラジオ番組です。

 

今日は19分付近からのパートです。

40分ほどの番組ですから、

あと半分。

 

というものの、

番組の流れのまま

インタビュー⑧までブログを書いても芸がないので、

この回でまとめたいと思います。

 

問題のあったチェサムズ・スクールを去り、

王立ノーザン音楽大学へ進んだサー・スティーヴン。

才能が開花し

BBCの若手音楽家のコンテストのピアノ部門で優勝します。

4年学んで卒業。

ジュリアードで2年間学ぶ奨学金を得ました。

 

イギリスのマンチェスターから

アメリカのニューヨークへ。

 

良い意味での、

かなりのカルチャーショックを受けたと言います。

 

当時のニューヨークは

治安が悪かったけれども、

ジュリアードで学ぶのも楽しみだったし、

ワクワクしたそうです。

 

サー・スティーヴンにとっては、

自分らしくいられる、

居心地の良い場所でした。

 

イギリスでは、

自分がゲイであることは隠していました。

カミングアウトしたら、

皆にどんな目で見られるか、

拒絶されたらどうしよう、

そんな恐怖がつきまとっていたのです。

 

イギリスは日本より多様性に寛容なイメージもありますが、

法改正される1967年まで同性愛行為は犯罪。

(オスカー・ワイルドやアラン・チューリングも逮捕されてますよね。

チューリングへの対応については、イギリス政府が2009年に謝罪しているようです。)

 

 

サー・スティーヴンが生まれた1961年、

自分がゲイだとなんとなく気づいた5歳ごろは、

同性愛が犯罪とみなされた時代。

イギリスにいる間は誰にも言えなかったようです。

 

81年のニューヨークは同性愛にオープン。

 

サー・スティーヴンも

ありのままの自分でいられたそうです。

 

とはいえ、

当時、エイズが広がり始めた頃。

数多くの友人・知人が亡くなったそうです。

自分はワイルドな生き方をしなかったので、

難を逃れたのかもしれないが、

自分も死んでいたかもしれないと思うそうです。

 

自由なジュリアードでの2年を終え、

イギリスに帰ることは考えにくく、

そのままドクターコースへという時に、

ナウンバーグ国際ピアノ・コンクールに軽い気持ちで応募。

応募テープの録音も適当、

オーディションもお喋りの合間に抜けて。

 

その気楽さが良かったのか、

リラックスして実力を発揮し、優勝。

 

21歳で、

一夜にして人生が変わり、

一気に大人の世界、

プロピアニストへ。

 

一流のオーケストラと次々協演。

それまで、

デビューなど考えもしなかったから、

協奏曲のレパートリーがなく、

1年目に7曲も習得する羽目に。

 

マネージャーや会計士もつき、

レコーディングも。

 

それからずっと今まで、

メリーゴーランドに乗ったまま

世界中で演奏旅行し続ける人生。

 

サー・スティーヴンは非常にレパートリーが多いですが、

一番つながりを感じる作曲家は誰かと尋ねられ、

 

(リリースしたアルバム、

うちにはCDアルバムが30枚以上ありますが、

全コレクションにはまだまだ遠い。。。)

 

1つに絞るのは難しい、

ブラームス、ショパン、リスト、ドビュッシーなど、

と答えてらっしゃいます。

 

これからしたいこと、

 

今まで通りのことを続けたい、

演奏したい、より良く、

これまで通り、

小説もエッセーも書いていきたい

作曲、

オペラや協奏曲も。

 

インタビューのトピックとして、

最終回は

宗教とピアノと同性愛

 

と書いて、抜けている宗教の部分は

ここでまとめますね。

 

サー・スティーヴンのお家は

キリスト教でもプロテスタント(おばあ様は大のカトリック嫌い)ですが、

チェサムズの作曲の授業で

エルガーのゲロンティアスの夢に出会ってから、

カトリック教徒になります。

 

自分のことばかり考えていたのが、

例えば電車で隣に座っている人が幸せだろうか、と

気にかけるようになったそうです。

 

ジュリアード進学前に、

音楽の道へ進まず、

司祭になろうと相談の手紙も書いたほど熱心だったようですが、

イメージへの憧れが先走っていたこともあり、

まずはジュリアードで学んでから、

改めて考えなさいと諭され、

あきらめます。

 

ずっと不思議だったんです。

 

カトリックはゲイを認めないのに、

なぜ敢えてカトリックを信仰し、

司祭への道を考えてらしたのか。

 

今回のインタビューでその理由の1つがわかりました。

 

ゲイでありながら、

イギリスの地元では、

それを隠さないと拒絶されるかもしれないと

恐怖を持ちながら過ごす日々。

 

あの女の子かわいいね、といった話題、

彼女は?結婚は?といった質問、

 

これを問題なくやり過ごすには、

カトリックの司祭(結婚禁止)になるのが

周囲を納得させる良い逃げ道だったそうです。

 

 

以前のRough Ideaというエッセーにも

ゲイについて書かれている箇所があり、

当時の、

自分を押し殺して生きようと

無理に頑張ってらした辛さや悲しみを感じました。

 

 

先日

フランシスコ・ローマ教皇が、

ホモセクシャルは「罪 sin」だが「犯罪 crime」ではない

ゲイであることを犯罪とするのは不当であると言明しました。

 

カトリックとしては、

この発言さえ今まで難しかったと思うので、

犯罪ではない、と言うことが一歩進んだと言えるのかもしれません。

 

 

宗教に関しては、

私は非常に興味があり

(人の心や行動に良くも悪くも多大な影響を与えるという観点から〜)

高校や大学で講義も取りましたが、

特定の信仰はなく、

(むしろ強い勧誘に何度か会った経験もあり、1つの宗教への信仰には抵抗があります)

宗教について語る難しさも感じます。

(強い感情を持たれる方も多くいらっしゃるので。)

 

宗教を信じても信じなくても、

人の幸せを願い、より良い生き方を目指し、

信仰がある人ない人、

お互いを認め合える、

いろんな違いを違ったまま受け入れられる認め合える世の中が

全ての人にとって生きやすい世の中だと思います。

 

サー・スティーヴンのエッセーRough Ideaの前書きを読むと、

同様の考えをされているように感じました。

このように書かれています⬇️

 

'聖書の話やゲイのカトリックの話など

人によっては読みたくない場合はセクションが分けてあるので、

読まずに避けてくだされば、

お友達のままでいられます。

(We can remain friends.)'

 

この文を読んで、心が温かくなったのを覚えています。

 

 

 

サー・スティーヴン・ハフの

プロピアニスト・デビューまでのお話は、

今月発売されたばかりのご著書がありますので、

ご興味のある方はこちらをどうぞ⬇️

 

Amazonは、なぜかハードカバーが4月11日発売になっています。

Kindleなら即購入可でした⬇️

Enough by Stephen Hough

 


⬆️最近聴いているエルガーのバイオリン協奏曲とソナタです。

 

 

長くなりました。お読みくださりありがとうございました。

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