昨日は硬い話で頭を使ったので、

ピアノ話で軽く休憩。

 

苦手だったフランツ・リストをこのところ聴いている。

音楽は私にとって癒しなので、

抽象的、難解、コードが不協和音などは苦手。

 

ここでまた、スティーヴン・ハフ氏登場。

彼のエッセーで、リストの偉大さを知り、

曲の解説を聞いてるうちに、

一度ちゃんと聴こうと心を入れ替えた。

 

ショパンがピアノの美を最大限に表現したならば、

リストはピアノの能力を最大限に発揮させた。

 

音楽の発展に貢献、

現代音楽の先駆け、

現代のコンサート形式、

指揮や楽譜なし演奏、

スタインウェイのようなタイプへとピアノを進化させたり、

公開レッスンを始める、など影響は数知れずという。

(NHKのクラシックTVでもリストの貢献を確か言っていた)

 

ピアノの背景を最近まで気にしなかった私には、

知らなかったことばかり。

 

軽やかなショパンと

重厚なリスト。

 

2枚所持するハフ氏のリストのアルバムのうち、

今回はLiszt Sonata、Ballades and Polonaises (hyperion)

 

2つのポロネーズ

第1番:憂鬱なポロネーズの名前通り、

出だしで滅入る。

でも、我慢して^^;聞いていると、軽やかでテンポ良く楽しめる。

 

ポロネーズ第2番と次のバラード第1番は

春にぴったりの曲。

外からウグイスなど鳥のさえずりが聞こえる中、

トリルが重なり合って、心が躍る。

2番に合わせて、

庭で鶯が鳴いて曲と競う。

 

バラード第2番 ロ短調。

これは、

このアルバム最後の収録曲のピアノソナタロ短調と

同時期に作られたそうだが、

全体像が似ている。

 

これ聞いた時、

 

ああ、この曲、今の私の心だわ

 

と思った。

 

リストって人の心模様を巧みに表現してるのかと思う。

 

不安が渦巻いたと思えば、

嬉しい出来事でふと気持ちが安らぐ。

ホッとしていると、

ジワジワとまた心配事が起こり悶々とする。

しかし、それも長く続かず、

心躍る瞬間がやってきて華やぐ。

でも、

完璧な幸せは一瞬で、

底から少しずつ不協和音が迫ってくる。

 

明暗が螺旋のようにぐるぐると織り込まれて

曲が構成されている。turblent。

 

曲を聴いて癒されるわけではないが、

共感というか精神状態と共鳴するので

何度も聴きたくなる曲。

 

次は、

ソナタの前に子守唄 第1稿、でひと息。

穏やかで眠りを誘う。

 

締めは、

ピアノソナタロ短調。

 

感情や状況の不安定感、乱高下を

モチーフを巧みに組み合わせて、

変化がバラバラにならないようつなぎ合わせている。

 

最初聴いた時の印象は、

抽象的で掴みどころがわからず難解。

30分越え。

就寝時に聞くと途中で寝てしまい、

最後まで辿り着いたのは何度目に聴いた時だったか。。。

 

クララ・シューマンの否定的な感想を読んだ時、

 

それよそれ。

 

最初は思わず共感した。

 

それまでの曲調の整った音楽とは違い過ぎるから、

音の組み合わせとか、固定観念を捨てないと、

正当に評価できないかも。

 

心は真っ白にして、

理性で曲の構成を考察する。

 

ハフ氏の詳細な解説を聞いて、

曲の愛で方がわかった気がした。

 

芸術なんだから、嗜好なんだから、

感性なんだから、

本来、

頭を使わず、分析せず、

心の思うままに楽しめばいいのだろう。

 

ただ、

私は、絵画も音楽も抽象画やモダンなのは不得意なので、

普段は避けがち。

娘や夫は比較的モダンな方が好きみたい。

 

感性の違う人たちの芸術も、

食わず嫌いはやめて、

解説を読み聞きしながら接してみると、

いいなぁ、素晴らしいなぁ、って思えてきて、

少し、世界が広がった気がした。

 

今ではソナタロ短調が、

懐かしい音楽にさえ聞こえてくるから不思議。

 

スティーヴン・ハフ氏がリストについて語る⬆️

 

にほんブログ村 音楽ブログ 音楽のある暮らしへ
にほんブログ村