このところスティーヴン・ハフ氏のピアノばかり聴いている。

10数年前にサン=サーンスでどハマりしたのが第一期マイブーム。

現在第二期絶賛突入中。

 

すしざんまい ならぬ ハフ三昧。

 

どこが好きと言い出すとキリがないが、

表現と技巧が素晴らしく、

演奏のバイブレーションが自分にしっくりきて魂に共鳴する。

 

さらに人格者。

インタビューやエッセーを見聞して感じる。

人の痛みがわかる人だし、偉そぶらない。

でも、自分の考えははっきりとおっしゃる。

 

そして博学者。

エッセーを読んでいると、学ぶことが多い。

脳に刺激を受けまくっている。

 

第一期マイブーム時は

曲を聴いて、気に入ったらヘビロテ。

 

現在第二期ブームの聴き方は、

今まで通り、曲から入る以外に、

ハフ氏のエッセーを読んだり、インタビューを聞いて、

作曲家の狙いや意図、背景を学び、

ハフ氏の解釈を知った上で聴く。

 

曲から入っても、

その後解釈を読んで、そういうことか!という時もある。

 

 

チャイコフスキーのピアノ協奏曲のCDは

中村紘子さん(ラフマニノフとセットなので第1番だけだけど)1990年

とハフ氏2010年が家にあるので、聴き比べ。

 

録音年が違いすぎるので比較するのも何だが、

演奏以前に、

中村氏のアルバムは

ピアノとオーケストラのバランスがどうかと思う。

オーケストラが前面に出て、

ソロ以外のところは、「協奏」なのにピアノがあまり聞こえなくて勿体ない。

(そういう狙いのコンチェルトなんだと、後から知ったけれど、

やはりピアノの演奏はもう少ししっかり聴こえてほしいな。。。)

 

中村氏のロマンティックな印象のを長年聞いてきたところに

ハフ氏の第1番。

 

えっ、速っ

 

そしてピアノが入る

 

ザンッ ザンッ ザンッ

(オノマトペー)

 

⬆️アルバムの抜粋集

 

めちゃ元気良くて健康的

ロマンティックじゃなくて、あっさり真っ直ぐ強い

 

へーっ、そうくるかぁ

 

ハフ氏の演奏って

えっ!?

って驚かされる事が多い。

 

以前、ブログに書いたラフマニノフのピアノ協奏曲も

あっさりと速く進んでゆき、

今まで聞いてきたロマンティック系とタイプが違った。

 

それについては⬆️ここに書きました。

 

ラフマニノフの時も驚かされたけど、

ハフ氏の解釈には理由があった。

 

彼が最初に聴いて親しんでいたこの曲は

作曲者ラフマニノフ本人のピアノ演奏のレコードだったそうだ。

 

だから、

その後に他のピアニスト達の演奏を聴くようになって、

違和感を感じたそうな。

彼の演奏は原点に戻るという感じ。

 

そういうわけで、

 

ハフ氏の演奏が他のピアニスト達と違う時には

彼の研究による解釈の賜物で、

それなりの理由があり、

それを知るのも楽しみとなっている。

 

第1番の2分半辺りで有名なあのメロディが来る。

 

鳥肌立った。

 

さざ波が煌めきながら押し寄せるように、

波紋が美しく広がるように体全体を包み込んでくる。

 

この感動

 

中村氏のはオーケストラが大きくて、この部分はっきりピアノが聞こえない。

 

ハフ氏のアルバムは全集なので、1、2、3番とファンタジアも聴ける。

1番が有名すぎて、他を聴くこともなかったけれど、

2番がすごい。1番に負けないくらい名曲だと思う。

特に第3楽章が圧巻。

3番はトリルが長くてびっくりした。

 

グラモフォンのサイト、

チャイコフスキー録音50選で、

ハフ氏のこのアルバムをベタ褒めしてた⬇️

 

This is a great recording, no doubt about that.

って。

(このサイトで、他の演奏者方のチャイコフスキー演奏も少しずつ聴き比べできます)

 

ここにも書かれてるけど、コンサート会場での演奏とは思えないクオリティ。

演奏後の聴衆の大歓声も入っていて、いやもう大騒ぎ。

そりゃ騒ぎますよ、こんなすごいの聴かされちゃ。

 

このアルバム聴いて感じたのは、

サン=サーンスのピアノ協奏曲とタイプが似てるな、と。

 

ワクワクする。

律動感に溢れている。

時にコミカル。

 

ハフ氏のエッセーにある解釈を読むと、

やはりそういう狙いだとわかり、ビンゴ!って気分。

 

チャイコフスキーを、

自己嫌悪の神経質タイプでなく、

子供に愛され、寛容で、

ユーモアたっぷりで楽しいのが大好き、

そんな人が作った曲として表現していたのだ。

(くるみ割り人形に近い感じかな)

 

だからロマンティックなメロディアスなイメージより

楽しい印象が残る演奏になってるんだなぁ。

(阿波踊りの掛け声にしか聞こえない箇所もあったし)

 

第1番の出だしも、お楽しみが始まりますよ〜って始まり方。

 

第2番第3楽章の指の動き見たかったので探したら

2019年チャイコフスキー国際コンクールピアノ部門で優勝した

アレクサンドル・カントロフ氏の演奏が⬆️(第3楽章は37:37から)

 

やっぱこれすごいわ。指が速くて、分身の術みたいになってる。

 

ハフ氏のは第2番第3楽章が⬇️この動画の25分30秒から聴けます。

 

カントロフ氏の演奏を最初聞いた時に、

ハフ氏に似てるなと思った(この曲だけかもしれないけど)。

 

他の動画も探したら、

弾いてる曲が、私がハフ氏のを気に入って聴いてる曲と重なってたので、

(あるサイトのレビューでハフ氏と比較評価もされてた)

今後チェックしてみようかな。

 

でも当分はハフ氏のアルバムを楽しみながら

色んなことを学びたい。

 

あ、蛇足ながら

中村紘子さんは私の世代にはレジェンド。

チャイコはそのピアノが前面に出てないのを今回初めて気づき

(これまでは、そういうものだと思っていた)悲しくて、

感想がうまく書けませんでした。

 

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