学校帰りに、友人の早紀と河川敷で談笑。

猛暑だ。もちろん二人とも片手にガリガリ君。

「タモリってさ」と唐突に早紀が言う。「いいともの最終回に何すんだろね」

私に聞くなよ。でも何すんだろ?

「泣きながら、やめたくないよー、とか言うかな」

言うかも。

いろいろなことが想像可能だが、グラサンをステージの上に置いたまま去っていくという、伝統的なスタイルがベストであるように思える。世に言う、百恵ちゃん型。

「でもさ」と、ここで早紀。「いいともが終わるのって、タモリが死んだ時ぐらいじゃね?」

夕暮れが私たちに問いかけている。日に照らされた川面がなにかを訴えている。

頬をなでる風が私にこうささやく。

「タモリは死なないよ」と。

地球はまわる。いいともは終わらない。

地球はまわる。私たちの話はくだらない。

マイク・タイソンとデートしてる夢をみた。

喫茶店を出た後、二人でゲーセンに行った時に、タイソンが目をつけたのは「太鼓の達人」

もしや、と思えば案の定。太鼓を拳で、右、左、右、左。ジャブジャブ、フックフック。

集まるやじうま。

すいません、すいません、と周囲に謝る私の口調を、タイソンがつたない日本語で真似て「スマセン、スマセン」とくりかえす。そして彼一人で大爆笑。

これは手に負えんと思ったところで夢が終了。

もっと強くならねば、決意を新たにする私であった。

いじめを克服するためにボクシングジムに通うことになった。

「うちは女の子をとってないんでね」というオーナーをなんとか説得して、ようやく入門を許可してもらった。


自宅からバスで15分。ジムというにはあまりにも貧相で、設備も脆弱。

ジムでの練習初日。五十代後半と思われるトレーナーは私に言った。

「おまえはミリオンダラーベイビーという映画を見たか?」と。

私が見ていないというと、「おまえはまさにあの女だ」と言われた。

だから、私は見ていないと言ったではないか。

日本語が通じていないのではないかという不安が脳裏をよぎった。


今日わたしは5キロのランニングの後、ひたすらサンドバッグを叩きつづけた。

私が何度かいいパンチをくりだすと、トレーナーが「おっ、いいぞロッキー」とわけのわからぬことをほざいた。

あの日、あんたが言った「まさにあの女」とはスタローンのことだったのか?

失礼な。私はたしかに不細工だが、しゃくれてはいない。


そんなわけで、私は今日も強くなった。

求人誌を買いに本屋へ。

ゆったりとしたクラシック音楽のかかる店内。

午前中だからか、落ち着いた感じの女性の姿が目立つ。

ああ、大人の雰囲気だわ、と一人満足していると、向こうの方から子供の声が。

「ちんちん、ちんちん」と言いながら、二人の小学生が走りまわっている。

これだから、お子さまは・・・。

しかし、私はもう成熟した人間。こんなことでいちいち腹をたててはいられない。

夏休み中の子供よ。お前達はなんてガキまるだしなの・・・。

と、すっかり上からの目線で、その状況をやりすごす。

しばらく、いろんな雑誌を立ち読みしていると、背後に何者かの気配が。

振り向くと、さっきの小学生二人が立っている。そして私に面と向かって、こう吐き捨てる。

「チンチン、チンチン」

なんだ、お前達は。私に何を期待している。

それを言ったら、私が喜ぶと思ったのか。そんなにハレンチな女に見えるのか。

それとも、私に同じことを言って欲しいのか?

答えに困っているうちに、子供達は笑いながら走り去っていった。

私はなにをすべきだったのか・・・。

答えはいつも空にある、となにかの歌の歌詞にあった。

書店を出て、空を見上げると、そこには眩しい太陽が。

太陽は私にこう言った。

「チンチン、チンチン」

空耳だろうか。