■チェーン店のノウハウ
この道を究めた人は、物事を非常に具体的に表現することができます。
例えば、サイゼリアの創業者正垣泰彦さんにとっては、”おいしい料理”というのは、次のとおりです。
①ルック(見た目)②アロマ(食前の香り)③テイスト(味)④フレーバー(食後の香り)⑤プライス(価格)という要素に因数分解して説明します。
また、”健康な料理”というのも、カロリー、塩分、糖分、脂肪分という4つの数値に置き換えることが可能だといいます。
その結果、お客さまに満足していただいたかどうかは、「客数」という数値に置き換えて考えてきたとおっしゃいます。
これだけでなく、仕事の指示についても、具体的です。
”テーブルをきれいに拭く”というのでは抽象的すぎるので、「布巾をテーブル上で左右に4回往復させること」と定義しているそうです。
あるいは、”皿洗いのしかた”についても、「ライス用の皿は、左手で持って、右手でスポンジを3周まわす」
外食フランチャイザーのノウハウといったものは、一つ一つ見ますと当たり前です。
しかし、仕事の仕方について、具体化されたものが集積されたとしたら、その威力はすごいと思います。
チェーン店でアルバイトされている人は、こんなところのノウハウを学ぶとよいと思います。
■形容詞「早い」「きれい」を具体化する
実は、このように仕事の内容を具体化し指示・依頼することは、グローバル時代の仕事に役に立ちます。
例えば、国外で外国人と仕事をする場合、「この文書をできるだけ早くきれいにコピーをしておいてください」では、絶対ダメです。
外国で仕事をなさった方に聞くと、次のようなことを言います。
「できるだけ早く」というのは、5分以内なのか、1時間以内なのか、午後5時までになのかを具体化しないと、こちらが期待するとおりに出来上がってきません。
いわんや「時間があるときで結構ですから」と言った途端、もうコピーは出来上がりません。
これが世界標準で、日本での仕事のしかたが、ある面で特殊なのかもしれません。
また、「きれいに」も、写真があるので明るめにとか、左肩の端をクリップ止めしてとか具体的にしないと、新入社員と同じ状態の出来のコピーになります。
たかがコピー、されどコピーです。
このように、今後は、阿吽の呼吸は通用しません。
しつこく、これでもかというほど、具体的であることが重要になると考えます。
以上、押さえるべきところはきちんと押さえて、いざというときに頼もしいのが”雑食系”のノウハウです。