雑食系のABC~人の行動はミステリーか科学か | mitemoのブログ

■ABC殺人事件~並びが突拍子もなく面白い


ミステリーファンならずといえども、アガサ・クリスティーの”ABC殺人事件”はご存知だと思います。
アンドーヴァー(Andover)という場所でアリス・アッシャー(Alice Ascher)夫人、ベクスヒル(Bexhill)という場所でベス・バーナード(Betty Barnard)、チャーストン(Churston)という場所でカーマイケル・クラーク(Carmichael Clarke)卿というように、アルファベット順の場所で同じくアルファベット順に被害者が次々に殺されるというミステリーです。死体の傍にはABC鉄道案内が置かれていましたし、我らが名探偵ポアロにはABCと名乗る人物からの挑戦状。やがてアレクサンダー・ボナパルト・カスト(Alexander Bonaparte Cust)と名乗るセールスマンが自らが犯人であると警察へ自首します。

ABCという並びが突拍子もなく面白く、筋立ての良さにほれぼれします。
ネタばれになるといけませんので、核心は本当の目的を隠すためのカモフラージュとでも申し上げておきましょう。



■ABCモデル~人間の行動のミステリー


一方、人間の行動におけるABCともいうべき理論があります。
「行動分析学」とか「行動科学」におけるABCモデルです。
Aは先行条件のAntecedents,Bは行動のBehavior,Cは結果のConsequencesの意味です。人の行動は、何らかの先行条件(A)によって行動(B)が引き起こされ、その行動の結果(C)によって、再び同じ行動が起きるか起きないかが決定されるという考え方です。
したがって、良い結果が得られると人は同じ行動を繰り返しがちになります。
逆に、悪い結果ですと以後その行動を取らなくなるという、言われれば当たり前のことです。


例えば、就活に適用してみます。
「エントリシートで(A)、突拍子もないことを書く(B)と、面白がられる(C)」X社では、「面談で(A)、突拍子もないことを話す(B)と、さらに面白がられる(C)」ことになります。X社は一般的に革新的な文化があると考えられますが、このあたりが読めるかどうかがポイントです。
なお、面白がられる(C)から突拍子もないことを話すまたは書く(B)のか、面談あるいはエントリーシート(A)だから突拍子もないことを話すまたは書く(B)のか。
一般的には前者が80%支配すると言われています。
結果が次の行動の誘因になると言ってもよいかもしれません。



これに対して、「エントリシートで(A)、突拍子もないことを書く(B)と、白い目で見られる(C)」Y社ではどうでしょうか?
この場合、「面談で(A)、突拍子もないことを話しても(B)、白い目で見られる(C)」おそれがあります。
Y社では、オーソドックスなことを話したほうが無難です。

もっとも、Y社も「若い人との面談では(A)、突拍子もないことを話す(B)と、面白がられる(C)」かもしれません。ありきたりの話で若い面談者は飽きているかもしれませんから。
このあたりは、空気を読むということに他なりません。

ABCモデルがどこまで有効か、いかがでしょうか?


いずれにしろ、人の行動が何によって決められるかという点はミステリーです。
ポアロのような面談者などおそらくいないと思いますが・・・


以上、押さえるべきところはきちんと押さえて、いざというときに頼もしいのが”雑食系”の特徴です。