運気うなぎ登り!
「うなぎ玄白」
を経営する
村井三雄
です。
鰻屋さんやりたい方

絶賛募集中!






私が20代から通っている
寿司屋がある


寿し吉



通い出した当時は建物も古く
一見強面の寡黙な大将が
黙々と寿司を握る寿司屋だった




ある日、
少し早めに店を覗くと
カウンターの奥に高校生の男子がいた




遅れて顔を出した大将に

「息子さん?」

と聞くと

「そうそう…」

と少し照れくさそうに答えた





大将は私の激動の時代を
全て知っている




車屋で独立し
イタリアンレストランを開き
パチンコホールにまで手を出し
2億の借金を作り倒産
そして離婚…




私と関わるのを避ける人も多かった時期に
店に顔を出しても嫌な顔一つせず
黙って私の好きな生サバを握ってくれた






私が再婚をし
サラリーマンになり
生活も安定した頃
大将は店を全面改装した




新しい店に顔を出すと
カウンターに
ハンサムな若者が入っていた  

「息子さん?」

「そうそう…」




相変わらず無愛想な大将だが
目が優しく笑っていた





親子でやりとりする新しい店は
一歩後ろに引いた
大将の気遣いもあり
とても繁盛していた








そんなある日、
知り合いから
「息子さんが独立する」
と言う話を聞いた
私も少なからず驚いた




鰻を配達したついでに
大将にそのことを確認すると

「知らない。
本人からは何も聞いていない…」

と、寂しそうな顔で視線をそらした





私もそれ以上その話を
口にすることは無かった




それから数ヶ月後
息子さんの店がオープンしたことを
本人のSNSで知った




大将の気持ちを考えると複雑だが
彼の独立は素直に祝いたいと思い
私は足を運んだ




扉を開けると
真新しい白木のカウンターが
目に飛び込んできた





カウンターは7席
奥に4名掛けのテーブル席が二つ





こんな時期だが
席はほぼ満席だった




まだ慣れない様子も見られたが
大将となった彼は
自信に溢れ輝いていた



さあ、彼の航海が始まりました