夏休みになると母を思い出す。
あらかじめ誤解がないように言っておくが、母は健在で元気にしている。


父は、私が3年生のときに事業に失敗し、離れて暮らすことになり、年に数回しか帰って来れなかった。
私達は実質母子家庭状態になった。


母は親戚が経営する会社に勤めるようになり、まだ小さかった妹を除き、私達兄弟はいわゆる鍵っ子状態で過ごした。


母が1番困ったのは夏休みだっただろう。


母は、短い昼休み時間を削って家に戻り、私達の昼食を作り、一緒に食事を済ませると慌てて会社へと戻って行った。
その後、茶碗を洗うのが私達兄弟の仕事だ。

夕方会社から戻ると子供4人分の夕飯を作り、自分と子供4人分の洗濯をし、私達を風呂に入れ、ダイニングに座りひと息つく。
どこからか安いクッキーやアラレを出してきて、家族団欒時間まで演出してくれた。

「みっちゃんの作るコーヒー美味しいから飲みたいなぁ。」

と、言われ、せっせと粉末コーヒーを淹れ、母親の喜ぶ顔を見ると私は嬉しくなった。
出されたお菓子を食べながらバラエティ番組を見ていると、いつの間にか母は寝息を立てて寝ていることが多かった。
番組が終わり母を起こすと、

「あらっ?お母さん寝ちゃった!」

と、慌てて風呂へ向かった。



当時は何も考えなかったが、今思うと毎日疲労困憊していたことがわかる。
便利なコンビニも無ければ、子供を預ける施設も少なかった時代。


母は、私達の為にどれだけ自分を犠牲にしてきたのだろう…
私には到底出来ない…


改めて母に感謝。