ホンジュラスマホガニーで製作したコーナーキャビネットの修復」
十数年前に特注でデザイン、製作したコーナーキャビネットを修復しました。
稀少なホンジュラス産の上質なマホガニーを使用して作られています。
部屋の隅にぴったり収まる三角形のキャビネットです。
中には可動式の棚板があって、ちょっとした小物を飾れます。
キャビネットの上部にはアクセントになるアカンサスの彫刻と、面材にも フランス由来のパターン彫刻が入っています。
お客様にはとても気に入ってもらって大切に使われてきましたが、小さな傷は避けられません。
特にキャビネットの下部は床に近いので、どうしても傷がついてしまいます。
今回はキャビネットの下の部分を引き取ってきて、全ての傷を修復しました。
ビフォア&アフターで見てみましょう。
白い部分が塗装膜についた傷です。
元々金色だった真鍮製の取手は、経年変化でくすんだ色に変色しています。
アンティーク家具の取手やハンドルは真鍮製が多いので、よく見られる状態です。
新品の時と比べるとだいぶ色が褪せてきていますが、これは木の表面に起こる自然現象なので、着色をして新品の色には戻しません。
この経年変化による色の変化は、アンティーク家具の価値を決める重要な要素なので、修復する際はこの色を温存する事が絶対条件になります。
自分がデザイン、製作した家具が大切に使われて、自分で修復する機会があることは、とても嬉しくて光栄な事だと感じました。