Classic to Modern デコラティブアート的造形と家具作家の日記
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「フィン・ユールN45 ニールス・ヴォッダー製作のアームチェアーの修復」

日本で北欧家具デザイナーとしてとても人気のあるフィン・ユールが

1940年代にデザインしたアームチェアーを修復しました。

 

 

この画像を見て、何となく見覚えがある人も多いと思います。

 

肘掛け周りは曲面で構成されていて部材も細く、部材の接合部分を精密に

作るためには、とても高度な木工技術が必要です。

 

フィン・ユールがデザインしたこの椅子を始めて図面化して製作してのが

ニールス・ヴォッダーで、その後他社がこの椅子を製作する際には、構造的な弱点である部材の細さは耐久性に問題があるとされ、各部材は厚い物に変えられてしまったそうです。

 

そのような経緯から、ニールス・ヴォッダーが製作したN45が一番フィン・ユールのオリジナルデザインをそのまま表現している椅子として、とても価値が高いそうです。

 

お客様が持ち込んだ椅子は、購入時左側の肘掛けの外側が割れて無くなった

状態でした。

 

 

 

その後欠損部を修復してもらったそうですが、修復の仕上がりに満足できなくてもう一度修復できる場所を探して私の工房にたどり着いたそうです。

 

椅子が持ち込まれた時の状態です。

 

 

左側の肘掛けの修復部分を観察してみると、肘掛けの木部の木目と新しい部分の木目がマッチしてなくて、継ぎ足した部分が一目瞭然です。

 

 

肘掛けの裏側を見ると木目の違いはもっとよくわかります。

 

 

修復部分の着色も色が濃すぎて周りの古色とマッチしていません。

 

 

 

実用品としての修理なら、欠損部に木を接着して、だいたい形を同じにして、濃い茶色に着色して色合わせの不完全さを隠すくらいの修理でも良いかもしれません。

 

しかしこの椅子は実用品というより価値の高い古美術品なので、その価値を

高めるような修復が必要です。

 

修復の様子は次回で。

「李氏朝鮮時代の箪笥の修復2」

朝鮮の箪笥の修復の様子です。

まずは真鍮製の金物をすべてクリーニングしました。
主に真鍮磨き剤や、液体のコンパウンドなど、微細で研磨力のある研磨剤で

汚れ落としと艶出しをしました。




この後艶を少し落として古色に寄せるのが通常の処理ですが、とても魅力のある金物なので、最後にワックスで艶を落ち着かせる程度に仕上げます。

次に木部の汚れを落としてから、金物を養生しました。








セラックニス塗装が終わって、艶出しした状態の天板です。



鏡面のように周りの景色が映り込んでいます。
このままではテカテカ過ぎるので、最後にワックスで艶を落ち着かせます。

次に塗装済みの箪笥に外しておいた金物を取り付けていきます。







すべての修復を終えた箪笥です。




予想していた通り、きれいに塗装された木部と真鍮の金物の組み合わせは

とても華やかで、魅力ある箪笥になりました。

もう少しディテールを見てみましょう。







お客様にもとても満足していただきました。

「李氏朝鮮時代の箪笥の修復1」

恐らく19世紀に作られた朝鮮の箪笥を修復しました。

 

朝鮮の家具を修復するのは初めてです。

 

箪笥を引き取ってきた時の状態です。

 

 

 

 

全体に真鍮製の装飾金物が取り付けてあります。

 

元々金色だったのに経年劣化でくすんでいます。

 

木部は塗装の状態が悪く、特に天板面は汚れて塗膜があちこち剥がれています。

 

 

この箪笥の修復は主に2つのプロセスに分けられます。

 

最初にこの箪笥の大きな魅力の一つである装飾金物をクリーニングして、艶を復活させます。

 

 

 

金物のディテールを見てみると、華やかなお花や葉っぱの刻印が入っていて、美しく復活するのが楽しみです。

 

木部は汚れを落として、セラックニスで再塗装します。

 

 

箪笥の側面には美しいケヤキ材の古色が見られます。

 

長い時間をかけて作られた貴重な色なので、カンナやサンディングペーパーで木の表面を削らずに汚れだけを落としてから塗装します。

 

こちらも仕上がりが楽しみです。

 

次回から修復の様子を紹介します。

「ネストテーブルの修復1」

今回は生徒さん所有のネストテーブルの修復を紹介します。

ネストテーブルとは、大きさや高さが異なる数台のテーブルが1セットに

なった家具です。

「入れ子(nest)」を意味するように、使わない時は大きいテーブルの下に収納できるのが特徴です。

 

来客などで飲み物を置く小さなテーブルが必要な時にとても便利で、普段は

一台のテーブルとして使えます。

 

大テーブル

 

中テーブル

 

小テーブル

 

購入から10年程経ち、各天板と装飾、脚部の塗装がだいぶ傷んでいます。

 

赤マル箇所は配送業者がテープを貼ってしまった為、塗装面が剥がれていました。

ウレタン塗装された家具では大丈夫でもアンティーク家具に施されている

セラックニスではNGです。

風合いは最高ですが、定期的なメンテナンスが必要な塗料です。

 

 

作業を始めましょう。

剥離材を使って塗装を剥がしていきます。

 

 

剥離材を刷毛で塗っていきます。

 

少し時間が経つと表面が泡立ち、塗装が浮いてくるのでスクレーパーを使って削ぎ取ります。

 

気持ち良い作業です。 が、この剥離材が皮膚につくと薬品火傷のようになるので薄着の季節は気をつけて作業します。

 

塗装を剥がすと綺麗なウォルナットの突板が表れました。

 

このネストテーブルは3台とも天板には「ブックマッチ」でウォルナットの突板が使われています。

「ブックマッチ突板」とは木材を薄くスライスした「突板(つきいた)」を

本のページを開いた時のように並べ、左右対称の模様(鏡像)になるよう貼り合わせる加工技法です。

 

細かい装飾箇所はスパチュラ(粘土ヘラ)を使って取り除きます。

 

この装飾は当初、金型で付けたエンボスかと思ったのですが全部筋彫りが

施されていました。

 

 

小テーブル脚の塗装を剥がしたところ、以前に修復した跡が出てきました。

懐かしいですね。

 

続きはまた次回に。

 

「マホガニーとバーウォールナットを使った仏壇」

前回紹介したコンビネーションモールディングを使った仏壇がどんな風に

完成したのか紹介します。

 

 

仏壇全体はマホガニーの突板で、扉の表面と、仏壇内部、下部のスライド天板の装飾にバーウォールナットの突板を使いました。

 

 

 

仏壇を設置する空間は西洋のアンティーク家具を使ったインテリアで、既存のモダン仏壇ではなかなかその部屋の雰囲気に合った物が見つけられなかったため、お客様が西洋のクラシック家具のスタイルを取り入れた仏壇をご希望されて、特注製作をすることになりました。

 

塗装はウレタン樹脂製で、鏡面仕上げしてあます。

水や傷に強い塗料です。

 

 

 

裏側の背板もマホガニーで仕上げて、固定するネジも真鍮製を使っています。

 

 

仏壇内部天井にはダウンライトを取り付けてあるので、仏様をライトで照らせるようになっています。

 

 

実際に仏壇を設置してみると、お部屋にあるアンティーク家具との相性も

とても良いとのことで、大変喜んでいただきました。

 

今回の製作は木目の美しい突板(薄板)を組み合わせて、装飾性の高い家具を

作る製作でした。

 

彫刻装飾はありませんでしたが、とても楽しい製作でした。

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