「初めての旋盤加工」 | Classic to Modern デコラティブアート的造形と家具作家の日記

「初めての旋盤加工」

彫刻教室の生徒さんから旋盤加工をやってみたいとリクエストがありました。

送られてきた図面がこちら

 

 

購入したオブジェのための台座だそうです。

メッセージには「レッスン3コマ(1日)でいけそうですか?」とありました。

初めて旋盤でトライするには難しいデザインなので1日でできるか微妙な所ですが、

やってみなければわかりません。

しっかりサポートして安全に完成を目指します。

 

こちらが今回製作する台座に取り付けられるドワーフ・ソーフィッシュ(ノコギリエイ)の

吻の剥製オブジェ。

 

 

全長約27cm。台座はシンプルな30mm角のチーク材(?)です。

現状の台座もミニマムで、コレはコレで良いと思いますが、確かにオブジェの長さに対して

小さく重量もないので倒れやすいですね。

 

今回の台座製作に使用する材料は旋盤加工にはやや不向きですが、工房にあった

ホワイトオークの角材を使います。

 

 

まずはセンターファインダーを使って角材の中心を出したら、旋盤に角材をセットし

円柱状に削っていきます。

 

 

 

 

あらかた角を落としたら生徒さんにバトンタッチ。

図面から直径を読み取って、キャリパーを使って直径の太さまで何箇所か削ります。

その溝を繋げてベースになる円筒にします。均一な太さに仕上げる基本のテクニックです。

 

 

 

図面から形状のポイントになる箇所のサイズを測り、材料に写します。

 

 

 

写し取ったポイントをデザインの直径寸法になるまで削ります。

 

 

寸法通り削り終わりました。

この後は図面を見ながらノミや木工ヤスリを使って図面のデザインになるよう曲線を

つなげていきます。

 

 

 

形が出来た後は回転させながら120番の紙やすりでサンディングをして表面を整え、

余分な部分を切り落としたら旋盤作業は終了です。

 

 

次にオブジェに付いている台座が入る凹みを作ります。

この作業には、ホゾ穴を開けるための工具「角ノミドリル」を使います。

 

 

 

仕上げは平ノミで整えておきます。


次に塗装です。

今回は元の台座に近い色合いのステインで着色します。

 

 

ステインが乾いたらセラックニスを塗ります。

 

 

ニスが乾いたらサンディングスパッドを使って研ぎます。

 

 

仕上げはワックス(ブラック)を使い、ステインでは色が入らないホワイトオークの道管に

ワックスを摺り込むように掛け、ウエスでしっかり拭き上げて完成です。

 

 

 

 

寸分の狂いもなく元の台座が新しい台座に収まっています。

1日で作ったとは思えない存在感と安定感のあるデコラティブな台座になりました。

アンティークの小物も、こんな風に専用の台座や、額と一緒に飾ると魅力が倍増します。

 

 

 

初めての旋盤加工として難しいデザインでしたがアクシデントもなく、希望通り1日で

仕上げることができました。

完成おめでとうございます。

 

 

パティーナ彫刻教室では、生徒さんのリクエストがあればレッスン課題と平行して

修復や額装、製作などの自由課題にも取り組んでもらっています。

 

レッスン見学は随時受け付けていますので、ご興味のある方はお問合せください。

http://www.kurotakimichinobu.com/index.htm