「ツールボックス」 | Classic to Modern デコラティブアート的造形と家具作家の日記

「ツールボックス」



 

これはイギリスの大学で家具の勉強を始めた一年目に、学校の機械加工の実習で製作したツールボックス(工具入れ)です。

彫刻が入っていますが、これは課題には含まれていません。

大学のカリキュラムには彫刻が含まれていました。その時初めて彫刻を体験しましたが、特別上手いわけでもなく、とても悔しく思いました。

大学の一年目が終わり夏休みに入りましたが、一時帰国する予定は無く自由な時間ができました。

自分の大学一年目を振り返って、彫刻が上手く出来なかった事に不満があったので、目の前にあったシンプルなパイン材のツールボックスを彫刻で埋め尽くしてみようと思いました。

その時自分が持っていたのは木工用のノミ数本と彫刻刀が2本で、複雑な彫刻をするには道具が足りません。

なので様々な彫刻パターンを調べて、手持ちの道具で彫れる幾何学模様を見つけて、夏休み中にせっせと彫りました。

大学の二年目に塗装の実習があったので、マホガニー風に着色してウレタン樹脂塗装をしました。



この経験が生かされてその後は彫刻が得意科目に変わり、今に至っています。

話は変わって、彫刻教室の生徒さんの中にこのようなツールボックスを作って彫刻を入れて、自分の彫刻を収納してみたいという方がいました。

私が用意した課題を全て終わらせていて、自由課題に挑戦するところまで経験のある生徒さんだったので、ボックスを製作するところから彫刻、塗装までやってみました。

完成したツールボックスです。




 




アンティーク調の塗装も彫刻と良く合っていて、とても良い作品になりました。

イギリス時代の事を懐かしく思い出しながら指導しました。