★★★★★★★★★★

1983年 91min.

ネタバレ

 ここは話しとかないと、ですね

敬称略

 

 

監 督

 スタン・ドラゴーティ

製作総指揮

 アーロン・スペリング

製 作

 リン・ローリング

 ローレン・シュラー

 ブルース・マクネイル

 ポール・D.・スミス

脚 本

 ジョン・ヒューズ

音 楽

 リー・ホールドリッジ

 

ジャック:

 マイケル・キートン

キャロライン:

 テリー・ガー

アレックス:

 フレデリック・コーラー

ケニー:

 タリーセン・ジャフィー

ミーガン:

 コートニー・ホワイト

 ブリタニー・ホワイト

ロン・リチャードソン:

 マーティン・マル

ジョアン:

 アン・ジリアン

ジンクス・ラスマン:

 ジェフリー・タンバー

ラリー:

 クリストファー・ロイド

スタン:

 トム・レオポルド

 

 

 わたしが大学に入学したと同時にレンタルビデオ屋さんなるものが世の中に普及しだしまして、そら高校時代と違ってバイトもしますから自分の自由になるお金ができた、映画観たくて観たくてたまらない大学生にとってはもう天の恵みとも言えるもので、とにかく借りまくって観まくって、まあだから2年も留年したのですけれども、そんなときに、なんかふとこれおもろそうやなって借りたのが本作でしたのですね。で、これがもうおもろいのなんのって。ということで本作、わたしの中では伝説のコメディ映画、というわけです。

 

 DVDはザンネンながら廃盤になっちゃってるのがイミわかんないんですけども、若きマイケル・キートンはもうキレっキレですし、テリー・ガーはチャーミングだし、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」前のクリストファー・ロイドも出てますし、これ本作、観て決してソンはない映画だと思いますよ。

 

 監督のスタン・ドラゴーティは日本ではほぼ無名じゃないですかね。わたしも本作しか知らないですけど、ずっとコメディ畑の方のようですね。まあ監督作っていっても7本しかないですけど。

 

 で、脚本がジョン・ヒューズですよ。そらおもろくないわけがない、というわけですね。

 

 ということで、いろんな思いを胸に秘めながら今回久々の鑑賞、ということです。

 

↑そうそう、製作総指揮はアーロン・スペリング。

 

 わたしが大好きだったTVドラマ「探偵ハート&ハート」の製作をされていた方です。言われてみればそういう感じの、「探偵ハート&ハート」から殺人事件を取り払ったようななんか懐かしい映画ではあります。

 

↑主役の夫婦の奥さん、テリー・ガー。

 

 本作撮影時で39歳、とってもそんなお歳には見えませんね。ほんとチャーミングです。神様ジーン・ハックマンと仲良しでしたから、ジーン・ハックマンが「許されざる者」でアカデミー助演男優賞を受賞したときにものすごく喜んでたのを覚えてます。2年前に多発性硬化症で亡くなってしまったときはわたしもけっこうショックでした。

 

↑で、旦那役がこの初代バットマンのマイケル・キートン。

 

 もともとコメディアンですからね。いまじゃすっかり性格俳優となってますけど、まあコメディアンから名優になるってのはよくある話で、トム・ハンクスなんかもそうですよね。コメディやられる方はみんな演技力ありますからね。演技ヘタじゃ人を笑わせることなんかはできないわけですよ。

 

 えと題名が「ミスター・マム」ですから、ということはこれこのあとマイケル・キートンが女装とかしてお母さん役になるのかな、じゃあテリー・ガーはどうなるんやろ、なんて漠然と思いながら観てました。

 

↑マイケル・キートン、ご出勤です。

 

 出勤する前は家の中で小さい男の子二人と女の子の赤ちゃんに対応してへとへとになって、て感じです。日本ではなかなかあり得ない光景が繰り広げられてましたけど、アメリカではよくある光景なんですかね。コメディだからデフォルメはあるんでしょうけどね。後ろの席の向かって左の人が若きクリストファー・ロイドですよ。運転してるのは友達ですけど会社では上司、というちょっとだけ複雑な関係なんですけど、ということですから、

 

↑三人はクビにされるという……。

 

 ここで、ああなるほど、職を失って主夫になるってことか、とわかりますよ。いいんじゃないですかね、展開の速さ。そもそも「ミスター・マム」って言ってるわけですし、コメディなんだから出し惜しみする必要もないですしね。

 

 ジョン・ヒューズの作品てみんなそうなんですよ。ムダなところ、ダレるところがいっさいなく、だから全編もだいたい100分以内におさまってるんですよね。小難しい話もないですし、ほんとに観やすいんですよ。こういう人がね、どうしてそんなに早く亡くなっちゃうのかってそれがもう悔しくてザンネンでなりませんね。

 

 でマイケル・キートン、家に帰ってテリー・ガーと

 

↑どっちがさきに職を見つけるか賭けよう、て。

 

 アメリカらしくていいじゃないですか。じっさいこんな夫婦はいないでしょうけど、とにかく明るくおもしろくが感じられる本作は楽しいしかないですよね。まったくイヤミもないですしね。

 

↑子たちの反応もまたかわいくって。

 

 ほのぼのホームコメディです。こういうので洗練されてのちに「ホーム・アローン」ができるんやなあとなんか歴史に触れられた感じすらしましたよ。

 

↑もちろん賭けはテリー・ガーの勝ちですね。

 

 小気味いいです。ずっと笑顔ですよ、こっちは。

 

↑でここから主夫としてのすったもんだがはじまる、というわけですね。

 

↑テリー・ガーは初出勤です。

 

 昔広告代理店で働いていたからと、大手の広告代理店に就職したというわけなのですけれども、クライアントのツナ加工会社の売り上げが落ちていて、それを回復させるためにいい広告を造らなきゃいけないってことで連日の会議、

 

↑そこへテリー・ガーが放り込まれた、という流れですよ。

 

 でもね、ここまでまだわずか20分にも満たないんですけど、そんな中でもテリー・ガーの人として、女性としてのしっかりぶりがちゃんと出てますから、観ているこちらはなんの心配もしないわけですよ。なるほど、ここでテリー・ガーが機転を利かせてすばらしいアイディアを出すんやな、て。先が読める、というよりも、そう想像できて、だからこの先の展開にとてもワクワクする、ということなんですね。あーあ先読めちゃったよー、じゃなく想像させて期待感を抱かせてって演出はもうさすがとしか言いようがないですね。

 

 それと並行して、突然主夫になったマイケル・キートンは買い物にも行かなくちゃならなくって、子供連れの買い物もそら大騒ぎですよ。いやいや、実際こんなことにはならんやろ、とは思うんですよ。でもね、いやひょっとしたらあるかもな、っていう絶妙なところの小事件を起こさせて笑わせるわけですよ。まったくムリがないんですね。コメディ映画っていったらやっぱりパロデイかむちゃくちゃのドタバタかってイメージじゃないですか、アメリカって。それをなんか敢えて違うところから責めたなって感じで、ものすごく好感持てますよね。

 

↑生理用品を買うところのシーンはめっちゃ笑いました。

 

 やっぱマイケル・キートン、いい演技してますもん。

 

↑で、そこでこの美魔女と遭遇、となりますよ。

 

 テリー・ガーのおともだちだそうですけど、バツイチなので、おっなんか風雲急かな、なんて思わせられますね。そういうとこも絶妙なタイミングですからね、ちょっとずつ新しい笑いが入ってきて、まったく飽きさせないわけですよ。

 

 対照的にテリー・ガーはすっかり会社の救世主になってましてね、そもそもあれほどのチャーミングさですから、

 

↑社長自ら出社のお迎えにリムジンですよ。

 

 ロン・リチャードソン社長のマーティン・マル。

 

↑そらマイケル・キートンも

 

↑こうなりますって。

 

 めっちゃ笑いましたよ。まったく外さないですよね。

 

 要するになんですかね、大人だけど大人になりきれてない子ども、みたいなことなんでしょうか。どこからどうみても大の大人が子どものようにやきもち焼いたり癇癪おこしたりして、そのサマがおもしろいということなんでしょうかね。ジョン・ヒューズ自身がそういう人だったのかもですね。だから愛されていた、てそういうことなのかもしれません。

 

↑子どもたちとの洗濯シーンも笑えましたね。

 

 ここらへんから若干有名どころのパロディ入ってきます。そういうのはジョン・ヒューズにしては珍しいので、なかなかに貴重なのかもです。

 

↑ここもね、おもろいんですよ。

 

 なぜか息子がチリソースを作ってるんですね。子供がチリソースってのもおかしいのに、マイケル・キートンに掃除機のありかを聞かれて、

 

↑「あっち」って言ってかき混ぜてたスプーンで指すわけですよ。

 

 そりゃチリソースも飛び散りますよね。なんかほんと細かい所まで行き届いていて、感心すらしてしまいますね。しかもですよ、マイケル・キートン、言われて物置へ取りに行くんですけど、その物置の扉は

 

↑ちゃんとチリが飛び散ってるんですよ。

 

 ビックリですよね。

 

 じつは前のシーン、テリー・ガーの初出勤のとこなんですけどね、直前のシーンは

 

↑こんな大雨だったんですよ。

 

 で、です。テリー・ガーが会社のエレベーターに乗ったとき、

 

↑エレベーターの外側に水滴がついてんですよね。

 

 まあたしかにほんとに雨が降った日だったのかもしれないですよ。でも車が大雨だったのは明らかにスタジオ内ですから、そうなるとエレベーターに水滴がついていたので車のシーンも雨降らせたのかもしれませんよね。いずれにしてもちゃんとそうやってつじつまを合わせてる、てことなんですよ。そういうことできない映画人、多いですからね。ほんとに感心してしまいます。

 

 さて、で、戻りますけど、チリのとこのシーンでは

 

↑テレビの修理屋さんと

 

↑害虫駆除業者さんと

 

↑ボイラーの調節屋さんが

 

 すったもんだの騒動に巻き込まれますね。

 

 ドタバタ劇になりますけど、ここはちょっとしたパロディを交えてるのでずっと笑ってられます。

 

↑いい表情しとられますね、マイケル・キートン。

 

↑テリー・ガーはこんな感じです。

 

↑マイケル・キートンはこんなふうですからね、

 

 一見すると両極端のような気もしますけど、見てくれこそ違えどやっぱり疲れの度合いはふたりとも変わらないわけですよ。そういうところをちゃんと全編通じて観せてくれてますから、この家族が自分の友だちの家族みたいに思えてめちゃめちゃ応援したくなるんですね。

 

 いや、いまここでマイケル・キートンがやっていたことをテリー・ガーが毎日やっていたかっていったらそうじゃないですよ。わたしだってこんなことにはならんですよ。洗濯くらいできますしね。でも、だからこそマイケル・キートンなんですよね。マイケル・キートンだからこそなんか応援したくなっちゃう、て寸法なわけですね。まさか数年後にこの方がバットマンになるとは思いもしませんでしたけど、なにしろいい役者なわけです。

 

 さて、もちろんマイケル・キートンだってなにもせずに毎日家事だけをして過ごしてるわけではないですよ。ちゃんと就職活動もするんですけど、いった先では

 

↑こんなこと言われるわけで、

 

 若干観てるほうは心配になります。こういうところの流れもなかなか絶妙のタイミングですね。このまま主夫で終わってしまうのか、はたまたまた仕事に戻れるのか、戻れたとしたらテリー・ガーはどうなるのか、って。ちょうど半分終わったところですから、よく計算されてますよ。

 

 そうこうしてると

 

↑社内運動会に駆り出されました。

 

 もちろんマイケル・キートンはマーティン・マルになんか負けてたまるかってことで俄然張り切っちゃうんですけど、でも社会人としてはやっぱりそれはマズイわけですよ。相手は社長ですからね。社長が勝つための運動会なわけですから、一女性社員のだんなが勝っちゃったらそれはよくないわけですよ。だからまたここで心配が増幅される。

 

 まあ結末としてはマイケル・キートンは最後の障害物競走で一騎打ちとなってぶっちぎりのところでわざとコケて、てなるんですけど、そこはそれジョン・ヒューズですからね、しっかりとマイケル・キートンをカッコよく描きますから、負けたとしてもこちら(観ている我々も含めたマイケル・キートンの家族)は溜飲が下がることとなりましたよ。ずっと流れてる「炎のランナー」のパロディ曲もなかなかにすばらしい演出効果でした。

 

 とはいえマイケル・キートン、いろいろありすぎて

 

↑こんなんなってしまいました。

 

 やっぱり不安は煽られますね。笑えるんですけどなんかもやもやが残ってる、みたいな、こう、なんでしょ、かゆいところに手が届かない、みたいな感じで観ることとなりますね。フツーのコメディじゃないってのはさすがのジョン・ヒューズですね。

 

↑夜な夜なカードゲームにいそしんで、なんかヤバい雰囲気にもなります。

 

 でも、なんですよ。けっきょくそんなここで不倫とか夫婦の仲が悪くなるとか、あるわけないんです。ここまでがここまでだからあり得ないってことはわれわれ観客が一番よくわかるわけですよ。じゃあこれどうやって打開するのか、てことが興味になりますよね。そもそもマイケル・キートンのやきもちにしたってテリー・ガーを心から愛してるからじゃないですか。

 

↑こうして言い合いもしますけどね、

 

 これはこのあとの絆の深まりに欠かせないシーンなわけですからね。それはわれわれが一番よくわかってるんですよ。ていうか、わからせられてる、てことなんですね。おそるべしジョン・ヒューズ、なわけです。

 

↑さあ始まりましたよ。

 

↑修羅場です。

 

 もちろんこれは夢オチですよ。早い段階でそれもわかります。ていうか、わかるようにできてます。でも夢オチでも、マイケル・キートンがそれを見るってことはやっぱり罪悪感を感じてるってことですよね。だから観ている我々は、ああやっぱり、て、よかったねー、てなるわけですよ。もうこれぞジョン・ヒューズ、なわけです。

 

 ということでマイケル・キートン、

 

↑ヒゲを剃り落として一念発起、です。

 

 ここはずっと「ロッキー」のテーマが流れてます。じつはここまでにパロディとして映画音楽を使ったのはこれで3曲めなんですけど、前2曲の「ジョーズ」と「炎のランナー」は若干似せた曲、て感じになってたですけど、この「ロッキー」だけまんまでした。どっちかっていうと「炎のランナー」のほうが20世紀フォックス作品ですから、同じ配給会社の本作とは問題なさそうなんですけどね。まあいいですけど。

 

 このあとテリー・ガーは、クライアントのツナ会社の社長に認められることとなりますよ。広告が弱いから売り上げが落ちとるんや、なんとかせんかい、とことですね。で、テリー・ガーの提案を向こうの社長が痛く気に入った、というわけです。

 

↑まあこの笑顔なら世のおじさんはみんなメロメロでしょうけどね。

 

↑ツナ会社社長、大喜びです。

 

 笑い方がおもろすぎて、わたしもしばらく笑いが止まりませんでした。

 

 で、そのCM撮影にテリー・ガーはロスへ飛ぶこととなりますよ。まあハロウィーンパーティーのその日に急きょですから、

 

↑マイケル・キートンも必死で止めようとしますけどね、

 

 でも仕事ですからね。どちらの気持ちもわかりますからここはほんとにもどかしいですけど、これがラストへの布石となってきますからガマンのしどころという感じですかね。

 

 実際その後マイケル・キートンは

 

↑元の会社に呼び戻されることとなりましたよ。

 

 マイケル・キートンたちをクビにしたことで売り上げが落ちたから呼び戻せ、という上からのお達しだそうですよ。ここからちょっとマイケル・キートンが、相変わらずのおトボケシーンも加えながらカッコよく描かれていきますから、ラストへ向けての観どころになってきました。

 

↑ここはサイコーに笑えました。

 

 このあとテリー・ガーはロスでCM撮影している際にマーティン・マルに食事に誘われます。もちろんテリー・ガーは家族を愛してますから断りますけど、今度はマイケル・キートンが

 

↑カード仲間のシングルマザーたちに連れ出され

 

↑楽しんでおられます。

 

 これもね、フツーだったら余分なシーンやないんか、てなるんですけど、こんなシーンのわりにこれマイケル・キートンの心情がものすごくよくあらわされてるんですよ。ほんとスゴイですよ。脚本力ていうかそのアイディアの深さに感動すらしてしまいました。わたし、マイケル・キートンが目をそらしながらこの男性ストリッパーにお金を渡して、いや、どこにしまったかは言わなくていい、てとこは一番好きなシーンです。

 

 勘違いマーティン・マルは

 

↑こんなしてテリー・ガーの部屋に忍び込みますね。

 

 まあ社長ですから、これまでもこうしてわがままに育ってきたのでしょうけれども、ここはさすがのテリー・ガー、スカッとさせてくれましたね。まあとりあえずわたしは

 

↑このシーンでいろいろドキドキしてしまいました。

 

 ということで、このあとはすべてが当たり前のようにおさまってハッピーエンドですよ。ジョン・ヒューズの名を全米に知らしめた最高の映画です。このあともジョン・ヒューズの真骨頂ともいえる、コメディを絡めた人間模様の映画は次々と名作として公開されていきますから、ほんともったいない方を亡くしたという気がしてなりませんね。まだご存命なら今年で76歳。亡くなってからの17年でいったい何本の名作が世に送り出されたんだろうと思うと、残念でなりませんが、こうしてちゃんと名作は残っていきますから、やっぱり映画ってすごいなと改めて思う次第です。

 

 なにしろおもしろくて楽しくて愛にあふれている本作、ゼッタイに観てソンはないと思う珠玉のコメディ映画です。

 

↑ラスト、花の行方にご注目です。

 

 めっちゃ笑えます。

 

↑もうこの家族、大好き。

 

 

今日の一言

「いや、たしかに『泣かせるコピー』だわ」

 

 

レビューさくいん

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