☆☆☆☆☆☆☆☆☆

1995年 100min.

ネタバレ 内容があまりにもありふれすぎてて……

敬称略

 

 

 監督 ブラッド・シルバーリング

 製作総指揮 スティーヴン・スピルバーグ、ジェラルド・R・モーレン ほか

 製作 コリン・ウィルソン

 脚本 シェリー・ストナー、ディーナ・オリヴァー

 音楽 ジェイムズ・ホーナー

 

 キャット・ハーヴェイ:クリスティーナ・リッチ

 ジェイムズ・ハーヴェイ:ビル・プルマン

 キャリガン:キャシー・モリアーティ

 デイブス:エリック・アイドル

 ラッグ:ベン・スタイン

 ヴィック:ギャレット・ラトリフ・ヘンソン

 アンバー:ジェシカ・ウェッソン

 アメリア:エイミー・ブレネマン

 

 

 わたし本作、観たことなくってですね、クジ引いてネットで調べましたらこれ、あ、スピルバーグなのね、でした。やっぱり「トランスフォーマー」から続くよなあなんて思ってましたら、音楽ジェイムズ・ホーナーて……。つい先回この人の話をしたばかりで、まあ相変わらずわたしのクジ、そういう関連性のある映画を引くんだよなあ、なんて思いましたよ。

 

 映画としてはなんか面白そうだし、スピルバーグだし、ビル・プルマンだし、ということで、観たいなあてずっと思ってたんですけど、けっきょく初観となりました。

 

 なんかね、予告のCMでダン・エイクロイド(う~ん、どうもこの人の「エイクロイド」呼びが違和感なんですよねえ……。もともと「アイクロイド」って呼んでましたし、発音的には「ア」と「エ」の中間音ですからね、「エ」は違うよなあ、て思います。実際の発音を表記すると「ダナァェーイクロイド」て感じですからね。ま、いいですけど)が出てましたから本作はすっかりダン・エイクロイドの映画やて思ってましたけど、実際はビル・プルマンなんですね。まあそうなると、やっぱりそれはそれで観なアカンわな、となりました。

 

↑こういう出だしはいかにもなスピルバーグ感ですよ。

 

 監督は知らない人だなあと思いましたら「シティ・オブ・エンジェル」の人だそうで、じゃあジャンルがファンタジーならはずさないかもね、ということではありますよ。まあ本作のほうがデビュー作ですけどね。

 

 さて。

 

 お父さんの死でばく大な遺産相続と思っていた娘のキャリガン。

 

↑こちらの右のお方ですね、キャリガンのキャシー・モリアーティ。

 

 でも古いボロ屋敷しか相続できないってなって、怒って遺書を火に投げ入れたら、

 

↑あぶりだし。

 

 海賊たちが屋敷のどこかに宝物を隠した、ということのようですよ。

 

 「グーニーズ」っぽいな、とはなりました。まあそうなるとスピルバーグ感満載やん、となります。

 

↑なかなかにヴィランぽくっていいです。

 

 フェイ・ダナウェイに似てるな、と思いました。子供向け、なんですかね。

 

↑手の包帯が燃えてるのに気づいてないという。

 

 まあ、こういうギャグをかますのも、らしいっちゃらしいです。

 

↑開始10分も経たずでキャスパー、でてきましたよ。

 

 こうして出し惜しみしないのもいいです。「ぼくキャスパー!」て言われとりました。

 

↑で、ダン・エイクロイド。

 

 ああ、そういう感じね、です。“ Who you gonna call? ” て。まあ、うん、まあ、かな、と。ちょっとまだここでは本作の方向性はわからないでした。まあ10分ですからね、まだ。ただ感じとしてはやっぱり「ゴーストバスターズ」と「ホーンテッド・マンション」かな、ではあります。

 

↑で、ビル・プルマン。死人の精神分析医、だそうです。

 

 なんやそれ、て。ちょっといろいろムリはありそうやなあ、とはなりました。

 

↑キャスパーはかわいいんですよ。

 

 完全にディズニーキャラですよね。こういうアメリカのキャラがこんなにかわいいってのはちょっと驚きではありました。

 

↑ビル・プルマンは自分の特集を組んだテレビに出とられるのですけれども。

 

 ここでわかったのは、この人がちょっといかがわしい霊能者で、でもって幽霊を鎮める、てことですね。ふんふん、なるほど「死人の精神分析医」か、です。

 

↑娘のクリスティーナ・リッチ。

 

 母親の死後、父親の仕事の関係であっちへ引っ越したりこっちへ引っ越したりとふり回される娘なわけですね。で、これがキャスパーとかかわってくる、とそういうわけです。

 

↑お父さんは男前です。のちに「インデペンデンス・デイ」で大統領になります。

 

 亡くなった奥さんの霊がまだ現世に残っている、と思ってるらしい、です。まあそうやわな、となります。

 

 音楽はすごくいいんですよ。さすがのジェイムズ・ホーナーやな、てなります。でもね、なんかこう内容が、ありふれすぎているというか、先読みできるというか、なんですよ。ええ~、これスピルバーグなん?て感じでずっと進んでます。

 

↑この屋敷を見てクリスティーナ・リッチ、

 

↑「スティーヴン・キング」て。

 

 う~ん、う~~~ん、です。この屋敷見て「スティーヴン・キング」は違うやろ、なんですよ。わたしもキングの作品は読んでましたけど、たしかにこういう屋敷が出てくる話もあるにはありましたけどね、でもだからってキング直結にはならんわけですよ。ちょっと違うよなあ、なんです。

 

 えと、それでちょっとわたしここでわかんないことがあるんですけどね。

 

 えと、それまでの父娘の会話で、この二人は目的をもってメイン州の「フレンドシップ」って街へ車で向かっている、ってんのはわかってるんですね。で、娘が、2年で9回も転校させられてるのにゴーストには遭遇したことなんかないってことにキレて、車を停めて父娘の会話が始まったわけですよ。けっきょく父のビル・プルマンは、今回のメイン州の仕事でゴーストに会えなかったらもうおしまいにする、って言いまして、それならと娘もナットク、停めていた車を発進させたんですよ。で、

 

↑車、Uターンするんですけどね。

 

 へ? て。いやいやそこでUターンて、じゃああんたら今までどこへむかって走ってたの? てなりません?いやちょっとそれどうなの、となってきました。

 

↑で、ヴィランがインチキ霊媒師を呼んだ、となりました。

 

 ヴィランことキャシー・モリアーティが相続した家にキャスパーと3人のおじさんたちのゴーストがいる、ということで、それを払ってもらおうとビル・プルマンを呼んだ、という構図ですね。そしたらビル・プルマン、完全に払うには何年(years)もかかる、とか言い出しまして、それを聞いたヴィランは、daysはconceivable、weeksはmaybeだけど、monthsはnoでyearsはforgetだそうですよ。ちよっとした英会話的要素も含めながら、だからやっぱり、ああ子供向けなんや、となりました。

 

 でもね、でもやっぱりものはスピルバーグなわけですよ。80年代のスピルバーグってったら、子供向けと思わせといていざ蓋を開けると、観た子供はみんな泣き出すぞ、くらいな話にしでかしてましたので、ここはそれやっぱりそういう展開を期待したいですよね。そう思って観進めました。まあ「ホーンテッドマンション」感はずっとあるんですけどね。そのうち「セーフティーバーはわたしがあげる」とか言い出しそうでしたよ。

 

↑クリスティーナ・リッチはめっちゃかわいいです。

 

 当時15歳だそうで。「アダムス・ファミリー」に出てましたね。あんま印象ないですけど。

 

 こっから恐れていたことが次々と起こります。すなわち、先が読める、と。あ、ていうか、話がありふれすぎてて展開がわかっちゃう、ということですね。王道っちゃ王道なんですけど、それよりもなんかザンネン感が強くなってしまいます。なんでですかね。よくわかんないですけど、王道なのに入り込めない、というわけです。

 

 最初のキャスパーとのコンタクトは娘のクリスティーナ・リッチでした。で、その娘の「ゴーストがいた」って話を信じないのが父親のビル・プルマンで、でも

 

↑キャスパーを見つけて、

 

↑叫ぶ、と。

 

 いや、王道じゃないですか。よくあるパータンなんですよ。でもね、なんかもうどこもかしこも違和感しかないわけですね。そもそもキャスパー、あんなにかわいいのに怖いってのがおかしいじゃないですか。ディズニーキャラですよ。怖いわけがありません。

 

 でわたしここでハタと思い当たりました。えとね、この今のビル・プルマンがキャスパーみつけて叫ぶとこ、なんかねギャグがおもろないんですよ。いえね、たぶんここは子供たちは爆笑なんだと思います。でもいっしょに観に来た親は失笑、だと思うんですね。

 

 子供向け映画ならそれでもいいのでしょうけれど、そうじゃないですよね、きっと。子供にはカメオでダン・エイクロイドとか言ってもわからんじゃないですか。あのシーンはまさしく大人向けですよ。それなのに、なわけです。全編ちりばめられているコメディ要素がどれもこれもほんとにおもんないんです。わたしたいがいこういうのは好きだったはずなんですけどね、でもここまで徹底されてしまうと、ねらいすぎやわ、てなっちゃうんですよ。スピルバーグにしてはやらかしたな、なわけです。

 

 こんなシーンもありますよ。鏡を見ているビル・プルマンを脅かしてやろうと鏡に映る顔を次々とゴーストが替えるのですけれども、

 

↑クリント・イーストウッドにしてもそう、

 

↑メル・ギブソンにしても同じく。で、このシーン最後は

 

↑「デーモン・ナイト」ですか。

 

 やっぱりこれ、遊びすぎちゃう?てなってしまいました。

 

 違和感のもうひとつは、ゴーストに関してです。

 

↑ビル・プルマン、ゴーストと闘ってますけど、

 

 ゴーストって質感ないですよね。幽霊ですよ、幽霊。幽霊って見えるけどさわれないじゃないですか。魂なわけですからね。なのに本作じゃ、さわれるし物持てるしのやりたい放題。これでは幽霊でなくオバケ、妖怪の類なわけです。もうほんとこれ、よくわかりません。

 

 いえね、キャスパーたち、かわいいのはかわいいんです。いろんなレビュー見ても、どれもこれも絶賛ですよ、本作。「ホッとする」なんてレビュー、わかりすぎるほどわかります。でもやっぱりどこをとっても「狙いすぎ」の感は否めなく、それがどうしても鼻についちゃうんです。

 

↑ここのシーンもギャグのつもりなんでしょうけど、もうわたしハラが立ちましたよ。

 

 これ、亡くなった奥さんに会わせてやるっていって出てきたのがこいつなんですね。もちろん観ていて、まあそうやろなっていうのはありましたよ。でもここ、感動的な感じであおりにあおっといてこれですよ。笑えんです。悪趣味の極みなわけです。

 

 娘が転校先になじめなくって、クラスメイトのスケ番(古っ!)ににらまれて嫌がらせされるってのも定番だですけどこれもやっぱりイヤな気しかしないんです。

 

↑スケ番はこやつです。

 

 なんかハロウィーンのパーティー会場を、自分ちの別荘から一転してゴーストの棲むお屋敷に替えられたことをねたんで

 

↑このかっこつけブサイク男子にパーティーにパートナーとして誘わせるんですよ。

 

 で、誘われたクリスティーナ・リッチは

 

↑こんなにかわいく喜んで、って。

 

 でもだからこれイジメじゃないですか。拒絶感しかないですよね。

 

 ここまで50分、もうほとんどがわたしにとっては裏目に出るということになってしまいました。

 

 ほかの人のレビューでは、ラストは感動!とか言ってましたけど、だいたいこうなるんやろ、ってのはもうわかりきってますし、要するにこれ全部読めちゃうんですよ。

 

↑ふたりでしんみり話してます。

 

 キャスパーが人間だった頃のことを全部なにもかも忘れてしまっていて、なんでだろ、って話をしてるんですね。で、結論としては、キャスパー曰く、幽霊になると人間界とかかわりなくなるからだ、ってなるんですけどね、じゃあ、ってクリスティーナ・リッチが、亡くなったママはわたしのこと忘れちゃったのかなあって言いますとキャスパーは、忘れてないよゼッタイ、って言うんですね。これもう矛盾しかないですよね。なんの説得力もないわけです。

 

↑で、これは生前のキャスパーが持ってたおもちゃなんですけどね、

 

 これ見てあろうことかキャスパー、人間の時のことを思い出してしまう、と。いやそんな簡単なことでええん?ですよね。設定がゆるすぎです。

 

 で、ラストは、キャシー・モリアーティもビル・プルマンも死んでゴーストになってしまい、でもキャスパーも人間に戻りたい、と。キャスパーのお父さんは発明家で、幽霊が人間に戻れる装置を開発していたのですけれども、今になっては戻るために必要な薬は一人分しかなく、ってなりました。じゃあラストはどうなるか、なんて即、想像がつきますよね。

 

 ネタバレしますけど、キャシー・モリアーティーはそのままゴーストのまま、キャスパーも人間に戻りたかったけど譲ってお父さんが人間に戻る、と容易に想像がつくわけですよ。はたしてその通りになりましたね。

 

 わたしが子供心を忘れてしまった大人になり下がってしまったのでしょうか。もう自己嫌悪も含めて「う~~~ん」しかなくなってしまいました。

 

 まあひとことで言うと、おもんない、です。先は読めるわ、嫌悪感はあるわ、悪趣味だわ、ギャグはつまらんわ、やりすぎだわ。簡単に人間に戻れるし、パーティーのくだりなんかまったくもって余分でしかないです。これでなにをどうして感動しろというのか、ですよ。

 

 ひとつ、ですかね。クリスティーナ・リッチがあまりにかわいいので、のひとつですから、映画の内容はまったくカンケーないです。ザンネンでした。ま、意見には個人差があります、ですけどね。

 

 

今日の一言

「宝物にはかわりないですけどね」

 

 

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