★★★★★★★★★★
2002年 91min.
ネタバレ オチは伏せましたよ
グロ映像 満載です。お気をつけを。
敬称略
監督 スティーヴ・ベック
製作総指揮 スティーヴ・リチャーズ、ブルース・バーマン
製作 ジョエル・シルヴァー、ロバート・ゼメッキス、ギルバート・アドラー
脚本 マーク・ハンロン、ジョン・ボーグ
音楽 ジョン・フリッゼル
エップス:ジュリアナ・マルグリース
マーフィー:ガブリエル・バーン
ドッジ:ロン・エルダード
グリーア:イザイア・ワシントン
フェリマン:デズモンド・ハリントン
サントス:アレックス・ディミトリアデス
マンダー:カール・アーバン
ケイティ:エミリー・ブラウニング
この映画、わたし大好きなんですよ。
初めて観たときの衝撃ったらなくってですね、それから数年後に観た2回目も、じつはなぜか内容をすっかり忘れてしまってましてまた衝撃を受けましてね。これほどの衝撃を受けたのに2回目も同じ衝撃を味わえるってのはなかなかないわけでして、わたしの映画人生の中でも「シンデレラ(2015)」と本作の2本だけじゃないかと思ったりもしていますね。で、それからここ数年はほぼ定期的に観ていると、まあそういうわけです。
ジュリアナ・マルグリースがドラマ「ER」とはまったく違う役をしっかり演じているっていうのも魅力ですし、わたし大好きなカール・アーバンも出てますし、ホラーなのになんかCGがめちゃくちゃキレイで、つまり映像美が素晴らしくって。で、最後のどんでん返し的なところがなにしろとりはだ的な衝撃だったわけです。
まあわたしの個人的意見ですけど、本作はホラー映画ファンならずとも、また映画ファンならばゼッタイに、観るべき映画だと思ってますよ。全編90分だから観やすいですしね。
↑オープニングはこうして豪華客船が出てきて、
↑船内ではディナーショーが催されていたりして、
あれ?タイトルのわりにこれって「ポセイドン・アドベンチャー」みたいなんかな?などとは思ってしまいます。音楽もまったくホラー感ないですし。
いやいやでもこれは騙されちゃいかんのですよ。すっかり油断させといて、からの、どん底に突き落とすパターンなわけです。だいたい製作がジョエル・シルヴァーとロバート・ゼメッキスですよ。一筋縄でいくわけがないのですね。とりあえず言っときますけど、このすぐ次の瞬間、開始3分45秒ですっかり度肝を抜かれますよ。まったくムダがないところはもう映画の本質とでも言うべき王道を突っ走ってくれますね。好感すら持ててしまうわけです。
↑このワイヤーがイカンのですよ。
↑なんかが絡まってワイヤーが、甲板でダンスをしている乗客のど真ん中を横断するんです。
そうするとどうなるか。
↑上半身は落ちますし、
↑落ちた上半身は床を這いますね。
↑自分の下半身を元に戻そうとする方もいらっしゃいます。
↑そして船長は、
↑首が落ちる、とまあそういうことになるわけです。
↑ケイティ(エミリー・ブラウニング)はもちろん叫びますよ。
このケイティ役の子は、前年に映画デビューして本作が2作目。まあ演技が上手いです。これで注目されて、ってありましたけど、そらそうやろ、て感じで熱演でした。なんかこんな映画に出て試写会で自分の姿とか観てトラウマになったりしないのか、なんてヘンな心配までしてしまいましたよ。
さて、そしてまたすぐ次の瞬間、舞台は40年後の現在に移りますね。
↑最初の豪華客船とは違いますが。
展開が速いのもすごくいいんですよ。頭がついて行ってないんですけどね、でもそれがまた観客を引き込む手だったりもするわけですね。そんなことせんでもオープニングの衝撃映像ですっかり引きこまれてはいるわけですけれども、そのオープニングのあの事態をいったいなんやと考えさせないところがまたいいわけです。なんならあのオープニング、しばらく観ていくあいだにすっかり忘れちゃってたりもしますからね。思うつぼにハマってしまっているわけですよ。
↑ジュリアナ・マルグリース。「ER」の看護師長キャロル役で有名ですかね。
感じがまったくガラッと変わってますが、この先いったいどうなっていくんや、と思わせるには十分ですよ、この紅一点は。
↑わたしの大好きなカール・アーバン。こちらの方もガラッと変わってますね。
いや、ま、変わっているっていうか、このあとガラッと変わる、てことですかね。「ジャッジ・ドレッド」のドレッド判事から「オールモースト・ヒューマン」へ。ファンとしてはうれしい限りですね。まあドレッド判事の場合は、ほんとにあれカール・アーバンだったのかっていう疑念はぬぐい去れてませんけどね。
↑左がマーフィーのガブリエル・バーン、右がフェリマンのデズモンド・ハリントン。
いよいよ話が動き出します。
えと、フェリマンが天候調査をしていたら、自分が操縦する飛行機から船を見つけた、と。どうやら漂流船のようで、
↑こちらがその船の写真なわけですけれども、
それを引っ張ってきてほしいとマーフィーにお願いしにきた、というわけです。まあどうみてもオープニングの豪華客船ですわね。おっ、となるわけです。
なんか海事法では、公海で漂流船をみつけた場合、その船の所有権は船に乗っているものすべてひっくるめてサルベージした人のもの、ということになっとるらしいです。ちなみに「サルベージ:危険に遭遇した船の救助をする、沈没した船の積み荷の回収などをする」という意味ですね、簡単に言うと。で、こんな豪華客船ならお宝もいっぱい乗ってるんじゃないのか、とそういうわけです。
マーフィ的には、見つかった場所がベーリング海峡に近いということで難色を示していたようですけれども、お宝のことでけっきょくその不安はどこかへ行ってしまいました。まあこちらとしては、ベーリング海峡がどうしてダメなのかはよくわかりませんけれども、こうやってマーフィーの反応で、ああベーリング海峡はヤバいんや、と思わせられますから、それはそれでやっぱり脚本の力やなあと思いますね。
フェリマンはサルベージの仲間ではないですが、発見者として儲けの20%を欲しい、ということでしたが、けっきょく最終的には儲けの10%とサルベージに同行する、ということで落ち着いたようです。そこらへんは、まあそらそうなるわな、なんて思ってたんですけれども、観終わってみるとこの「フェリマンも同行する」ってのがミソになってましてね、ああなるほど上手く作ってあるわなあとのちのち感心させられることになったのでした。
観せかたもね、うまいんですよ。船を引っ張りに行って、そのサルベージ船内では和気あいあいとしゃべってるのですけれどもね、実際に観ているこっちはずっとキンチョーしているわけですよ。だってオープニングであんな映像見せられたばっかりなんですよ。わたしさっき、オープニングのことなんか忘れちゃってる、なんて言いましたけど、忘れててもなんかこの得も言われぬ不安感は残っているんですよ。そこがすごいわけです。わたしにとってはその感覚がすっかり病みつきになって、だから本作を何度も観ている、ということなんでしょうね。麻薬みたいなもんなのでしょう、きっと。
↑で、船を見つけて
↑乗り込む、と。
ここらへんも、全然無駄なシーンなくサクサクと進んでいきますから、キンチョー感はずっと続いていて、乗り込むとこなんかほぼキンチョーマックス、て感じでした。
↑で、探索していると柱時計を見つけまして、
↑振り子が止まりますね。
まんま「死霊のはらわた」ですけど、でもイヤミはないですよ。パクリやん、とも
ならないですし、オマージュととらえるのが正解だと思いますね。
↑カール・アーバンが落ちそうになってます。
おちゃらけて船内を歩いていたカール・アーバンが床を踏み抜いて落ちそうになって、それを助けようとしていたジュリアナ・マルグリースがふと目を向けると、
↑ケイティ出て来ました。
タイトルでわかってはいるんですけどね、やっぱりこうしてゴーストが出てくりゃ、こちらも「よしよし、そうこなくっちゃ」とはなります。もっとキンチョーさせてくれ、という感じでしょうか。
ただここらへんから、中盤でちょっとなにも起こらないシーンがあるんですけどね、ただそれも「船の中」っていうのが限られた空間ですから、やっぱりキンチョーは持続されるわけですよ。なんならお化け屋敷的な感覚、とでもいいましょうかね。そもそもそのなにも起こらない時間てのもそんなに長いわけでもないですし、だからスピード感は維持されてますから、ダレることはないです。夜になってタグボートに戻って一休みして、で、朝になって客船に戻ると、もうそっから最後までは次々と災厄がふりかかる、ということになります。
とにかく上手いんですよ。グイグイ引きこまれる、という感じです。全員別々に行動している、ってのも相まって、恐怖でしかないですね。
↑ジュリアナ・マルグリースが何かの声に導かれてドアを開けようとしてます。
まさに「ゴーストシップ」なわけです。
↑で、爆発、と。
そうこうして客船のエンジンを修理して、いざエンジンをかけようとしたら爆発、というわけです。
起・承・転・結の「転」になるわけですね。にわかに具体的な現象として、サルベージ・クルーの身に災難が降りかかってくるわけです。半分過ぎての「転」。時間的にも申し分ありませんよね。これ以上ないやろ、というほどの展開なわけです。
↑ケイティは終始何かを訴えようとしています。
ここらへんも上手いですよ。謎解き要素も絡んできてます。サスペンスホラーの様相なわけです。映画ファンにはたまらんのではないでしょうかね。
先の爆発では、とうとう仲間の一人であるサントス(アレックス・ディミトリアデス)が死んでしまいますが、それによってほかの乗組員それぞれの心の葛藤も描かれていきます。でもそれもまったく面倒くさくなくって、共感は得られると思いますよ。その部分は映画の内容にまったく邪魔になってないわけです。脚本力にも脱帽させられます。それぞれのキャラがしっかりしてるから、イヤミがないからなんでしょうね。いい設定ですよ。
で。
↑ドッジ(ロン・エルダード)と
↑カール・アーバンが
缶詰を見つけて食べます。まあこんなとこで見つけた缶詰を食べるなんてのは、わたし的には気が狂ってるとしか思えませんけれども、実際向こうの連中はどうなんでしょうかね。ガサツなアメリカ人ならないとも言い切れませんけど、フツーに考えたらゼッタイNGではあります。「リバイアサン」だって、見つけたウォッカ飲んでタイヘンなことになってたじゃないですか。わたし、アホやなあ、て思ってしまいましたよ。
↑ほらね。
↑こんなんなってしまいました。
まあカール・アーバンはいい演技してますけどね。
あ、ちなみにロン・エルダード。この方もドラマ「ER」に2シーズンだけ救急隊員のシェパードさんとして出演しておられましてね、ジュリアナ・マルグリースのキャロルといい仲になっておられましたが、私生活でも交際されていたそうですよ。交際していたのは90年代だそうですから、本作の時はもうすっかり別れていたわけですけれども、こうして共演できていたってことは、別れてもいい友人だということなのでしょうかね。本作のセリフでは「恋心を告白できない」なんてのもありましたしね。わたしちょっとほのぼのっとしてしまいました。
↑さてそのジュリアナ・マルグリースですけれども。
ケイティの名前を乗客名簿で見つけまして彼女の部屋を探索にきます。そしたら、
↑こんなん見つけました。
↑一方マーフィーはこんなして船長と話してますし、
↑グリーア(イザイア・ワシントン)は誘惑されとります。
まあこうして一人一人別行動しているってのはホラー映画の王道なのですけれども、さっきも言いましたようにそれぞれのキャラがしっかりしてますからね、間違いなく怖いわけですよ。それぞれに感情移入しちゃってる、というわけですね。
↑そしてとうとうジュリアナ・マルグリースはケイティと対峙します。
わたしずっととりはだ立ってましたよ。
↑さきほど亡くなったサントスは、
↑マーフィーの前に現れます。
なんですかね、はっきりとはわかんなかったんですけど、ここでどうやらジュリアナ・マルグリースはケイティに、マーフィーはサントスに、なにやら事の真相めいたものを聞かされたんでしょうかね。いずれにしても、すぐにここから逃げ出さなきゃならない、ってのは共通した認識となりましたよ。
ただしグリーアは、
↑うたのおねえさんに誘惑されて、
↑飛ばされました。
ああ、いよいよ大団円か、と身が引き締まりますね。まあ、ずっと引き締まってましたけど。
ただ、
↑フェリマンだけにはなにも起こってないわけですよ。
このシーンで初めて気づいたのですけれども、ということはそれがミソか、的なことにはなります。
↑で、とうとうここで真相がわかるのでした。
いや、まあここではその真相は珍しく伏せておきますけれども、なにしろこれがまた衝撃なわけですよ。どんでん返し、というよりは、「転」」のあとにもう一回「転」、という感じですかね。「起・承・転・転」とでもいいましょうか。
もうね、なにしろめっちゃおもろい良質なホラー映画でしたよ。ホラー要素だけでなくって、中盤以降はサスペンス要素多めですけど、キンチョー感は持続されますし、アクション的なところもありますし、いろいろエンターテインメントの詰まったいい映画だとわたしは思います。スプラッター部分以外の映像美を観るだけでも価値はある、とわたしは思います。減点するとこはないですね。★10個でエンディングでした。
今日の一言
「サタンはきっとお怒りのことでしょう」
※こちら(↑)をクリックするとレビューの索引に飛びます。