★★★★★★★☆☆☆

1964年 102min.

ネタバレ 無いような気がしてます

敬称略

 

 

 監督 ブレイク・エドワーズ

 製作 ブレイク・エドワーズ

 脚本 ブレイク・エドワーズ、ウィリアム・ピーター・ブラッティ

 音楽 ヘンリー・マンシーニ

 

 クルーゾー警部:ピーター・セラーズ

 マリア・ガンブレリ:エルケ・ソマー

 ドレフュス本部長:ハーバート・ロム

 ベンジャミン・バロン:ジョージ・サンダーズ

 エルキュール・ラジョイ刑事:グレアム・スターク

 シュヴァリエ巡査部長:アンドレ・マランヌ

 モーリス:マーティン・ベンソン

 ケイトー:バート・クウォーク

 バロン夫人:トレイシー・リード

 ラファージュ:ダグラス・ウィルマー

 

 

 えと、1963年に「ピンクの豹」て映画が公開されました。原題は“The Pink Panther”、つまり「ピンク・パンサー」の第1作目てことなのですけれども、これが大ヒットを飛ばしまして、じゃあ、ということで本作が製作された、というわけですね。

 

 「ピンクの豹」では、主役はあくまでもデイヴィッド・ニーヴン演じるところのチャールズ・リットン卿だったのですが、製作側の意に反して(かどうかはしりませんけれども)、クルーゾー警部が大人気となりましてね。まあそりゃそうだろ、という気もしないでもないですが、ということでクルーゾー警部を主役にした映画を作ろうじゃないか、というわけですよ。

 

 ので、本作の原題は“A Shot in the Dark”って、「ピンク・パンサー」とはまったく関係ないのですけれども、流れでいったら実のところ「ピンク・パンサー2」ということですね。

 

 邦題では、本作のあと「ピンク・パンサー2」「同3」「同4」「同X」「同5」「ピンク・パンサーの息子」と全8作にわたって続くわけなのですけれども、本作が2作目という位置付けなわけですし、そもそも原題では題名にNo.の数字が当てられたことはありませんで、ちょっと現場も混乱していたのでしょうかね。

 

 ちなみに、そんなこんなで日本では、本作を「ピンク・パンサー」シリーズのスピンオフとして、次回作の“The Return of the Pink Panther”を「ピンク・パンサー2」としておりますよ。

 

 ところで、実はこのシリーズ、DVDはなんと「ピンク・パンサー2」までしか出ておりません。残り5作品は、観たくても観られないのですね。その昔はVHSでは出てたのに、どうしてDVD化されないのか不思議でなりませんが、頼みのスカパー!でも放送されませんから、なにやら著作権問題が絡んでいるのでしょうね。まあ、そうなるともうすっかり我々はお手上げ、ということになってしまいますね。権利が切れるのをひたすら待つほかないわけです。ちなみに、わたし的には「ピンク・パンサー3」が一番面白くって、クルーゾー警部のピーター・セラーズも、クルーゾー警部に翻弄されまくってどんどん窮地に追い込まれていく本部長役のハーバート・ロムも、脂が乗り切っていたころだと思いますよ。大学時代にわたしの下宿で、親友のK野というヤツと一緒に観て、二人でハラ抱えて笑ってました。ザンネンでならないのです。

 

↑ピーター・セラーズ(左から2人目)。ご存じ、クルーゾー警部。

 

 54歳という若さで、心臓発作で亡くなってます。もったいないことこの上ないです。

 

↑ハーバート・ロム(左)。若くてまだ痩せてますね~。

 

 話はもうとにかく笑ってください、という感じなのですけれども、それでも謎解きの部分はしっかり幹として存在してまして、どっちかというとコロンボ的なミステリー、という感じで、それにハチャメチャなコメディが加わって、けっこう楽しめますよ。

 

 ただ、やっぱりこの時代の映画の常、なんでしょうかね、ちょっと長いかなあ、って気はします。のちの15年後くらいに出てくる、ジム・エイブラムズ、ジェリー・ザッカー、デイヴィッド・ザッカーの「フライングハイ」とか「裸の銃を持つ男」とか「ホット・ショット!」というような、全編笑いっぱなし、というわけではありませんね。もちろん先にも言いました、「謎解き」ってのも重要なファクターですから、そちらも進めなくちゃならんのですけれども、それを差し引いてもやっぱりちょっと、長い、と。もうちょっとコンパクトに、せめて90分くらいにまとめてもらったほうがよかったかな、という感じです。そう考えると、2006年にスティーヴ・マーティンが脚本、主演したリブート版は面白かったですね。93分ですからね。まあ、時短の波は映画界にも、ということなんだと、わたしは思いますけれどね。

 

 あとですね、昔の映画って、本作もそうですし、80年代前半もそうでしたのですけれども、劇中に流れる歌に、日本語訳の歌詞の字幕をつけるんですよね。これってわたし的には、まったくのムダ、無用です。ジャマでしかないです。だってこんなのいちいち歌詞の字幕読んでたら、オープニングの大切なとことか、観逃がしちゃうじゃないですか。この時代の映画観るといつも思うんですけれど、こんなん雰囲気が伝わりゃいいじゃん、てことです。それを踏まえての、☆7つとご理解いただければと思います。

 

 と、音楽にケチをつけながら、でも作曲のほうはさすがのヘンリー・マンシーニ、ですね。おなじみの「ピンク・パンサー」の曲、ではないんですよ。おそらく、みんながよく知ってる「ピンク・パンサーのテーマ」は、本作の次の「ピンク・パンサー2」からなのではないかと思いますね。ちょっとまだ観てないのでわからないですが。すみません。まあいずれにしましても、こんな「ピンク・パンサー」の曲を手掛けた人が、まさか20年後に「スペースバンパイア」の作曲するとは、にわかには信じがたいことではあります。聞き比べてみるといいと思いますが、とても同じ人が作曲したとは思えませんよ。すごいことなのですね。

 

 登場人物としては、クルーゾー警部とドレフュス本部長のほかに、シリーズ通して出演してるケイトー役のバート・クウォークがいい味出してますよ。クルーゾー警部の家に住み込み(だと思いますが)で、いつでもクルーゾー警部を襲っていい、という空手使いの設定ですね。まあ、修行の一環なわけなのですけれども、こやつが出てくると一気にドタバタになります。風物詩、ということですかね。観客はこのシーンで一様にほっこり、というわけです。ちなみに「ケイトー」ですが、今回よく考えたら「ケイトー」って「Kato」、すなわち「加藤」なのか、と思い当りました。今ごろか、て自分でも思いましたが、いまさらながら肚落ち、という感じです。「ブラックレイン」でも松田優作の「佐藤」のことを、ダグラスは「セイトー」て言ってましたからね。なるほど、なのです。

 

↑バート・クウォーク。なるほどのケイトーさんです。

 

 ところで、劇中、ヌーディストクラブのシーンがあるのですけれども、ヌーディストクラブて聞くとわたしいつも思うんですけどね。ここの男の人たちって、身体の一部に明らかな変化があらわれたりはしないのですかね。自分も全裸なのだからいいのでしょうか?獣みたいなものなんですかね。発情期にしか発情しない、みたいな。でも発情期なんて人間にはないですしね。どうなんでしょうか。詳しい方おられたら、ぜひご一報をお願いしたいところです。

 

↑ちゃんと隠れるようになってます。男しかいないし。

 

 あ、閑話休題。

 

 さて、ということで、謎解きアリのこのコメディ映画、クルーゾー警部の魅力満載で、途中の間延びはあるにはあるものの、とにかく楽しめる一品でありました。そもそもクルーゾー警部、ドレフュス本部長がいうように、マヌケというわけでは決してないですね。ドジはドジですけれど、どっちかっていうと、本部長のほうがはるかにマヌケですよ。結局最後はクルーゾー警部が勝つわけですからね。まあ、だから長年愛され続けているキャラ、ということなのでしょうね。

 

↑ここはめちゃくちゃ笑いました。

 

↑つくづく惜しい方を早くに亡くしたと、ザンネンでなりません。

 

 めずらしいラブシーンもありながらの、クルーゾー警部を堪能してみてください、ということなのであります。

 

↑よろしゅうございましたね。

 

↑お相手はこちらのエルケ・ソマー。ドイツの方だそうです。

 

 

今日の一言

「ていうか、警察関係者みんなマヌケやん」

 

 

レビューさくいん

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