1987年 110min.

★★★★★★★★★★

ネタバレ:ありますとも。

敬称略

 

 マイケル・J・フォックスの、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に並ぶ出世作、ですね。おねがい

 

↑われらがマイケル、なのであります。

 

 予告編で、「マイケルはやっぱり、コメディが似合う!」なんてやってましたけど、同感です。素晴らしいコメディ作品が出来上がりましたよ。なんならわたし、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」より本作の方が好きだったりもします。

 

 ヒロインもいいじゃないですか、ヘレン・スレイター。めちゃめちゃかわいいですよね。さすがの「スーパーガール」ということでしょう。コメディには美人が欠かせないのでありますね。

 

↑超絶美人です。ラブ 子のお方がミニスカ履いて空を飛ぶのですね。

 

 にしても1980年代ってほんとにハリウッド全盛期ですよね。ちょっとここからハリウッド映画の歴史に軽~く触れときたいと思いますが、興味ない方は読み飛ばしてってくださいね。そう大した話でもないです。m(_ _)m

 

 で。

 

 1980年代ってのは、間違いなくハリウッド全盛期だとわたしは思ってます。でもそれは、1980年に入る5年前からの布石がありましたよね。

 

 1975年 ジョーズ

  監督:スティーヴン・スピルバーグ

  音楽:ジョン・ウィリアムズ

 

 1976年 オーメン

  監督:リチャード・ドナー

  音楽:ジェリー・ゴールドスミス

 

 1977年 スター・ウォーズ

  監督:ジョージ・ルーカス

  音楽:ジョン・ウィリアムズ

 

 1978年 スーパーマン

  監督:リチャード・ドナー

  音楽:ジョン・ウィリアムズ

 

 1979年 エイリアン

  監督:リドリー・スコット

  音楽:ジェリー・ゴールドスミス

 

 ね、わたしこれ書き終わって、自分で「う~ん、たしかに」って言っちゃいましたからね。ニコニコ スティーヴン・スピルバーグ、ジョージ・ルーカス、リチャード・ドナー、リドリー・スコット、ジョン・ウィリアムズ、ジェリー・ゴールドスミス。ハリウッドを代表するスーパースターが70年代後半で芽を出し成長して、いよいよ80年代で花開いた、ということなんですよ。

 

 そこで1980年代です。

 

 1980年

  13日の金曜日、シャイニング、地獄の黙示録、フライング・ハイ

 

 1981年

  レイダース 失われた聖櫃《アーク》、ブルース・ブラザーズ、勝利への脱出、キャノンボール、狼男アメリカン、プライベート・レッスン、ハウリング、死霊のはらわた

 

 1982年

  E.T.、ブレードランナー、ランボー、遊星からの物体X、愛と青春の旅立ち、ポルターガイスト

 

 1983年

  フラッシュダンス、アウトサイダー、48時間

 

 1984年

  ゴーストバスターズ、グレムリン、インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説、フットルース、ストリート・オブ・ファイヤー、トワイライトゾーン、炎の少女チャーリー、スーパーガール、若き勇者たち

 

 1985年

  バック・トゥ・ザ・フューチャー、ターミネーター、グーニーズ、ネバーエンディング・ストーリー、ペスト・キッド、フライトナイト

 

 1986年

  エイリアン2、コマンドー、エルム街の悪夢、バタリアン、ハスラー2、コブラ、死霊のえじき、ヒッチャー

 

 1987年

  勝利への旅立ち、スタンド・バイ・ミー、フルメタル・ジャケット、プラトーン、アンタッチャブル、ザ・フライ、リーサル・ウェポン、バトルランナー、エンゼル・ハート、スリーメン&ベビー、サボテン・ブラザーズ、クリッター、摩天楼はバラ色に

 

 1988年

  ロボコップ、グッドモーニング,ベトナム、ウォール街、ヘル・レイザー、ミシシッピ・バーニング、ヤングガン、ヒドゥン、ウィロー、危険な情事、追いつめられて、チャイルド・プレイ

 

 1989年

  ダイ・ハード、レインマン、バットマン、告発の行方、メジャーリーグ

 

 1990年

  プリティ・ウーマン、ゴースト ニューヨークの幻、いまを生きる、トータル・リコール

 

 とまあこんな感じで、ね、すごいでしょ、なんて自分のことのように自慢しちゃったりしてますが、なにしろすごいのですよ。照れ

 

 あ、もちろんこの羅列は有名どころしか載せてません。もっとわたし的にはたくさん紹介したい映画があるのですが、それやっちゃうとあまりにマニアックになり、いつまでたっても終わらなくなってしまいますので、断腸の思いで割愛いたしたのでありました。ほんとは「リンク」とか「死霊のしたたり」とか「ガバリン」とか「デルタフォース」とか「ミスター・ベースボール」とか...。て、ね、キリがなくなっちゃうのです。笑い泣き

 

 なんか84年あたりから、タガが外れちゃったかのようにすさまじいほどの供給量なわけですが、作品を見てみてもわかるようにアイディアがあふれまくってましたね。コメディも恋愛もSFもホラーもアクションもなにもかもがまんべんなく、世にあふれ出てきた時代だったのですよ。

 

 わたし、1966年生まれですから当時はちょうど大学生です。1984年は高校三年生でしたが、1985年になると突如としてビデオが普及しだしまして、大学生になると同時にアルバイトを始めて、稼いだお金を全部映画につぎ込むという生活を繰り広げましてね、そうなると必然的に学業はおろそかになり、なんと2回も留年したんですよ。笑えますよね。ガーン でもそのおかげで1990年まで学生やれたもんですから、上記の期間、そう、ハリウッド全盛期をなんとお金と時間のありあまる大学生として過ごすことができて、だから年間300本視聴なんてことにもなってしまったわけですね。最盛期は386本観ましたよ。公開されたアメリカの映画はほぼ全部、加えて過去の映画をビデオで、と。まあこれでよく卒業できたなと思うわけですが、わたしの人生においての七不思議でもあります。

 

 で、本作の1987年が、これがもうほんとに一番すごい年なのじゃないかと思うほど、映画にあふれた年でありましたね。実際、日本での公開作もこの年がピークだったのではないかとも思いますよ。

 

 そんな中でこの「摩天楼はバラ色に」はまったく負けてない、なんならわたし、一番輝いた作品じゃないかとさえ思うのです。照れ

 

 ようやくここから本題に入ります。笑い泣き

 

 なにしろですね、よくできた話なんですよ、これが。ドタバタではありますが、最後にはちゃんとまとまって、ものすごくスカッとさせてくれます。こういうところが、日本映画が追いつけないところなんだよなあ、とつくづく思ってしまいますね。ショボーン

 

 いやもちろんですね、実話ならこんなこととてもじゃないけどできないでしょう。それはわかってますけれど、それをやれてしまうのが「映画」なんですよ。現実ではやりたくてもできなかったことをやって成功して、それを観客が観て自分のことのように疑似体験できとても幸せな気分になれる、これぞエンターテインメント、ってわけです。それが完璧に再現されているのが本作なのですね。もう、映画の中の映画、と言っても過言ではないとすら思いますね。プンプン

 

 まあまあ、そら最初っから奇跡の連続ではありますよ。遠い遠いはるか向こうの血のつながってない甥を、大企業の社長が把握していたってのは驚きですしね。

 

 しかもこの会社、その社長のワンマン経営で、考えられないほどのパワハラ企業です。今の世だったら間違いなくつぶれてしまいますよ、こんな会社。ところが、社長がこれだからなのか、社員はみんな、二人を除いていい人ばかりで、ってところでマイケルの持ち前の笑顔でもって人たらしされていく、ということなんですね。そういうもっていき方もとっても自然でなんの違和感もないです。

 

 あ、ところでですね、わたし工学部の土木工学科出身というバリバリの理系だもんですからよくわからないのですけれども、大学で経済学を専攻していると、みんなこうしてこのマイケルみたいに、いろいろ書類を見てはその不手際とかがわかるものなのでしょうか。いくらマイケルが大学では優秀な成績だったという設定だとしても、いずれにしても大卒一年目ですよね。う~ん、ビミョーなところでありますが、まあ映画ですからね、それはそれでヨシとしましょう。ウインク

 

 コメディ部分も、ていうかこれがこの映画の核なんでしょうけれども、まあ秀逸ですよ。マイケルがマーガレット・ホイットンと深みにハマる瞬間のシーンはもうハラ抱えて笑いますね。口は禍の元、とはこういうことですね。でもってそこからの「ジョーズ」のパロデイへの移行が最高のコメディなのであります。

 

↑ちょっとしたマイケルの言葉でコウフンしたマーガレット・ホイットンはプールでマイケルを襲うのです。この間ずっと「ジョーズ」のあの音楽が流れてましたよ。わたし爆笑してました。

 

↑で、こうなりました。秀逸です。爆  笑

 

 監督のハーバート・ロスは、決してコメディ監督ってことではないんですよ。なんならどっちかってったら、社会派監督といってもいいくらいで、そのキャリアの中でコメディ映画って本作くらいじゃないかな、と思います。それでこの演出なわけですから、やっぱりこの人も、アメリカ映画史において、80年代が生み出した天才、ということなのかもしれませんね。なにしろ突然挿入されるドタバタ劇も、まったく違和感ないんですよ。なんならとっても効果的に入ってくるんです。いえね、前回紹介した「フレッチ 殺人方程式」(フレッチ 殺人方程式 | みたたの日常と映画ざんまいそしてディズニー! (ameblo.jp))でも言いましたけど、どうしても観たばっかりなので比較しちゃうんですが、「疾風ロンド」(疾風ロンド | みたたの日常と映画ざんまいそしてディズニー! (ameblo.jp))とは雲泥の差なのです。日本映画、今の時代でも80年代のハリウッドにすらとうてい足元にも及ばない、ということの露呈となってしまうのでした。

 

 おじさん役のリチャード・ジョーダンもいい味出してましたね。大企業の社長でパワハラおやじ、しかも部下と不倫しているという、トンデモない下司野郎ですが、ラストのシーンはなかなかに魅せてくれましたよ。ああ、こんな自信満々の人でもこんな顔になるんだ、って観ていてなんかナットクできましたからね。途中、屋上で部下たちとジョギングしているシーンがありましたが、実はこの方、この映画の6年後に脳腫瘍で、57歳という若さで亡くなっちゃったんです。ザンネンでなりませんが、57歳じゃ、わたしもあと1年ですよ。健康にはほんと気を付けなければ、と観ていて思ってしまったのでした。

 

↑けっこうな男前ではありますね。

 

 さて、そうこうしてますと40分を過ぎまして残り1時間。ここからいよいよわれらがマイケルの逆襲の開始ですよ。もうそれだけでワクワクしますね。おねがい

 

 わたし実はただいま56歳にして、生涯最後の転職活動中でありましてね、おかげさまで様々なところからとってもいい話をいただいておりますので、順調に再就職できるのかな、と思っておりますが、実際のところやっぱりこの年齢になるとなかなか再就職の口はないわけでして、だからじつはこの映画は、のっけからとても身につまされているのでありました。だからこそのマイケルの逆襲にはワクワクする、というわけですね。

 

 なにしろもうマイケルの魅力が満載なわけですよ。ふつう、スーツ着ているというだけで、だれか見たこともない若造に話しかけられて、ああもフレンドリーにしゃべることができるのか、できるわけないだろ、って思うんですけれどもね、でもやっぱりマイケルならアリかな、とも思っちゃうんです。そこが人柄というかなんというか。いやま、映画なんですけどね。でもそれがわかっててもそう思ってしまうほど、マイケルの魅力が全開なわけですよ。マイケル・J・フォックスありきの、マイケル・J・フォックスの映画、というわけです。

 

↑いやいくらなんでもそれではごまかせんやろ、的な。笑い泣き笑い泣き笑い泣き

 

 さらにマイケル、恋に対しても積極的でしたね。高嶺の花だろうが、身長が高かろうが、スーパーガールだろうが、臆することなく猛アタック。でもってスーパーガール陥落。いいじゃないですか。もう拍手もんですよ。二人がついに恋に落ちるところはもうわたくし56歳のおぢさん、年甲斐もなくキュンキュンしてしまいましてね、「うひゃあ、めっちゃかわいいやん」て思わず言ってしまいましたとさ。

 

↑観ているこっちがキュンキュンなのです。ラブ

 

 ラスト近くになってきますと、マーガレット・ホイットンがどんどん魅力的になってきますね。こういうのは女優あるあるでもあるんですが、それに呼応するかのようにマイケルもどんどんかっこよくなってくる。で、自然とこちらも笑顔になってくるわけです。

 

↑そもそもおキレイな方です。

 

 そんな中での、パーティーのシーンと、ちょっぴりすれ違っていたヘレン・スレイターとの再会のシーンがもうたまりません。

 

↑チョーかわいいのですよ。もう「かわいい」しか言ってませんけど、かわいいもんはかわいいんです。

 

 そこからの夜のお屋敷でのシーンも最高ですよ。もうイエローの“OH YEAH”て曲が最高に盛り上げてくれるんですよ。この曲、監督がよっぽど気に入ったのか、劇中2回も流れますからね。そんな中でヘレン・スレイターが悶絶級にかわいいときたら、なんかもうこれ観ていてこの気持ちをどう整理つけたらいいのか、という状況に陥ってしまいました。恥ずかしながら、すみませんことでございます。で、その夜のシーンの最後にヘレン・スレイターが泣くところでは、誠に申し訳ございませんがわたくし、キュン死してしまったのでありました。

 

↑多くのおぢさんがキュン死することでしょう。

 

 いやあもうなにからなにまでエンターテインメントですよ。ハリウッド全盛期の名にふさわしい名作コメディです。これを観ずしてハリウッドコメディのなんたるかは語れない、いや語ってはならない、と思う最高傑作でありました。

 

 色褪せませんね~。

 

 

今日の一言

「やっぱマイケルにはコメディが一番似合う!」

 

 

レビュー さくいん