マリオの不滅のメロディたち(1)前史とキンテート・ルパイ時代① | ふぉるくろーれ夜話/mitaquenaのブログ 

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仕事をリタイアしてから始めたケーナの演奏をきっかけに、思い出したり思いついたりした、主にフォルクローレに関するよしなしごとを綴ります。

[Las melodías inmortales compuestas por Mario P. Gutierréz]

1_Prehistoria y Quinteto Rhupay «Folk Music of Bolivia» (1969)

Mario Gutiérrez era fan de Elvis Presley de niño y se unió a grupos de música Argentinos durante sus años escolares. Más tarde fundó Quieto Rhupay (Ruphay) en Octobre, 1968. Su primer álbum, «Folk Music of Bolivia» (1969), fue en muchos sentidos bastante innovador, al introducir la música del Altiplano en forma de «Estampa».

 

[シリーズ投稿] マリオ・グティエレスの不滅のメロディたち

1_前史とQuinteto Rhupay "Folk Music of Bolivia"(1969)

 

(1)前史

Mario Porfidio(Porfi"rio"とするはずが、誤記のまま出生届が提出されたらしい) Gutiérrezは、1945年3月26日に、エストゥディアンティーナ楽団の演奏家だった父と、プカラニ村(ラパス県ロス・アンデス郡)出身のアイマラ族の父母を持つ母との間に、ラパスで生まれた。

少年時代のマリオは、エルヴィス・プレスリーの大ファンで何枚もレコードを持ち、ロック熱の後には、アルゼンチンのZamba熱にとりつかれたという。母は息子たちが音楽に興じるのを嫌ったが、14歳で母の裁縫箱をボンボ代わりに叩き始め、15歳からギターを弾き始め、すぐに上達した。

彼は彼にとって最初のコンフントであるTropilla de Acharal(アルゼンチン音楽のグループ。1965年にこのグルーブでアリエル・ラミレス、ハイメ・トーレスと会っている)に参加した後、Las Voces del Inti Huasi, Pusi, Taricunaを経て、1968年10月にQuinteto Rhupay(Ruphay)を創設した。(以上、María Antonieta Arauco M. "El Jach'a Uru"による)

 

(2)Quinteto Rhupay "Folk Music of Bolivia"

(1969年7月10日発売/ボリビアLyra盤 ※以下本シリーズ記事でディスク情報は"El Jach’a Uru"による)

「キンテート(五重唱/奏)」時代の3枚のアルバムのうち、最初の1枚。

60年代のボリビアのアンデス音楽として、画期的なアルバムである。

 

【写真】ジャケ表

 

【写真】ジャケ裏

写真左から、おそらくは、Agustín Mendieta, Omar Hoyos, Gover Muñoz, Hery Cortez, Mario Gutiérrez。 

 

本譜では、キンテートの名の下に、当時は野卑・下賤と蔑まれていたアルティプラーノの山村の先住民たちの民俗楽器、シーク、チャランゴ、ケーナ、タルカ、モセーニョ等々を多用し、スペイン語歌詞のコーラスを織り交ぜて、伝承曲及びオリジナル曲を奏でている(3年前まで、ガウチョスタイルでアルゼンチン音楽を演奏していた人たちが、この変貌ぶり。背景には当時のボリビアでのアルゼンチン音楽ブームの終息があったようだが、それにしても殆ど信じられない)。

 

聴きどころは多いが、まずはA1(Acuaelera Altiplanica アルティプラーノ水彩画/伝承曲)とB1(Fiesta en El Pueblo 村の祭り/マリオ作曲)に配された"Estampa Tradicional"形式の組曲だろう。

この2曲は、アンデス音楽における"Estampa"形式(アルティプラーノ各地の祭礼音楽をダイジェストで切り取って、メドレー仕立てにすることで、アルティプラーノの音風景を描写した組曲)のごく最初期の事例である。Estampa形式は、見聞きする人の心を奪う美しさがある反面、フルバージョンでは単調で冗長にも感じるアウトクトナ音楽を、移り気な聴衆を飽きさせずに聴いてもらうには、素晴らしい「発明」だった。録音時間に制約のあるレコードのみならず、コンサートでも踊り等ビジュアルの要素を取り入れやすく、ウケを取りやすい。実際に、その後現在に至るまで、数え切れないグループがEstampa形式での楽曲を制作している所以である。

 

次に、A5のZUMAPUNI(Sumac Puni スマック・プニ)も、本譜がおそらくほぼ初出だろう。シークの力強い音色を堪能できる本曲は、70年代に多くのグループが、レパートリーに取り入れた。

 

最後に本譜のマリオの曲の中から、B5のIllusionに注目しておきたい。

まだMuyojという形式名は生まれておらず、Cuecaの枠内での作曲だが、後年の"Muyoj"形式のマリオの曲の先駆けのような作品のように聞こえる。

 

全体として、ファーストアルバムからオーパーツじみた名盤!と言ってしまってよいと思う。

今から55年も前にリリースされたとは思えないほど、アンデス音楽のアルバムとして完成度が高く、今でも(今こそ)聴くに値する。

本譜は長らく希少盤だった(中古市場で出ても軽く2万円程度していた)が、今はYOUTUBEにアップロードされており、誰でも気軽に聴くことができるようになった。

下にリンクを貼付しておくので、未だお聴きになったことが無い方は、ぜひご一聴されたい。

【曲目】

A1 ACUARELA ALTIPLANICA Estampa Tradicional D.R.

A2 WACA WACA Danza Mario P.Gutiérrez-Tradicional

A3 PROMESA DE AMOR Sicuri Mario P.Gutiérrez

A4 AROMA DE BAILE Ritmo Moceño Mario P.Gutiérrez

A5 ZAMAPANI Sicuri Tradicional

B1 FIESTA EN EL PUEBLO Estampa Tradicional Mario P.Gutiérrez

B2 CACHARPAYA DEL INDIO Sicuri Nicolás García

B3 TU AUSENCIA Huayño Cacharpaya Mario P.Gutiérrez

B4 CACHARPAYA DEL SOLDADO Huayño D.R.

B5 ILUSION Cueca Mario P.Gutiérrez