「U君の新たな挑戦が始まります。」
先週U君にお会いした時に、あまり元気のない様子でした。29歳ですべてを手に入れたので、すっかり安定した生活を送っているようでしたが、なにか覇気のない感じでした。それから2日後に、私の妻と友人がU君とランチしたそうです。ちょっとご覧ください。
このランチ会の時に、私の妻に話をしたそうです。
「礼子さん、実は、僕は教える仕事がしたいんです。でも、どうしても踏ん切りがつかなくて・・・」
帰宅した礼子さんが、私にその時の様子を話してくれました。投資銀行で10年目を迎えたU君ではありますが、ここが大きな節目だろうと、私も感じました。
テンプル大学ジャパンのロースクールに通うために、職場の仲間と上司の協力を得て、無事に卒業が出来たのですが、そのお返しをするようにずっと言い伝えてきました。そして、この春には、大きなプロジェクトも抱えていて、先日成功裡に終わったそうです。誠実にずっと貢献して来たU君を見て、そろそろ言わねばならないかなと思っていた矢先でした。
「U君は、40代から50代になった時に、今までの知識と経験を使って、大学の教壇に立つことをお勧めします。あなたはアカデミックな部分が好きだから、きっとうまくいくと思います。そのためにも、大学院は卒業してください。」
そんなことをずっと言い続けてきました。そして、とうとうその時が来たように思います。カリフォルニア州のBar Examに合格するために、同僚や上司が理解と協力をしてきたので、そのためにも「首席卒業」「一発合格」をすることでお返しをしなさい。そして、その後もできたら3年くらい働きなさいとお伝えしました。
「これが、人の道なのですよ。絶対に踏み外さないように。あなたが優秀だから、努力してきたから、こうして首席卒業、一発合格できたのではないです。同僚や上司の理解と協力があって初めてなせる結果です。それを忘れてはいけません。だから、十分にお返しをしてください。」
その言いつけをずっと謙虚に受け止めて来たU君でした。そして、社内でもとても評判のいい社員となっています。今では何も不自由のない生活をしています。そして、その時がついに来たのです。
だから、私の方でいままで貯めていた情報を一気にお知らせしました。
「U君は、アメリカのロースクールで博士号を取りに行かないか?あなたの学業成績なら、フルブライト留学して、JDでもなく、LLMでもなく、SJDという博士号を目指しなさい。それを取得して、ロースクールの教壇に立ってください。」
そう申し上げた時、すでにSJDの学位のことは知っていたようです。ロースクールには、3つの学位があります。
①J.D. (法務博士)
日本でも、法学未修学者がロースクールで取得できる学位です。
②L.L.M(法学修士)
法学修学者がロースクールで取得する修士号です。U君も子の学位を取得しました。
③S.J.D(法学博士)
ロースクールで最高の学位です。
ほとんどの卒業生が、J.D.を取得してBar Examに合格してから、一定の期間実務に就いてから教壇に立つのですが、外国人の法学履修者がアメリカのロースクールで教員になるには、S.J.D.が必要です。そして、これはほかの分野でのPh.Dと同じです。そして、このS.J.D.のコースは、年間数人しか受け入れられない難関コースです。
「U君は、これからS.J.D.を取得して、アメリカのロースクールの教壇に立つことが、人生の第二章となります。」
私がアメリカの大学院入学したのが33歳です。妻がメイクアップアーティストとしてデビューしたのが35歳です。だから、U君がこれからアメリカの大学院に行くことは、珍しくもないのです。
「あなたがここまで辿り着いたことは、私には感動しかないです。そして、あなたを指導して来た者として、教師冥利に尽きます。あなたの学業成績、英語力、そして経済力、それらすべてがあなたの夢を可能にしてくれます。おめでとうございます。」
こうして、U君は温めていた本音を声に出してくれたことで、また新たな山を目指すことになりました。
「あなたは、今の山を下ってはいけません。これからは、尾根伝いにほかの山を目指しなさい。その山は、きっと全く違う環境の山になりますから。」
そして、出会った山は、こうして博士号を目指すという新たな挑戦として目の前に現れてきました。私も1人の理解者として、これからはじっと見守ることにしました。
「出会った時には、英検2級でGPA2.3のU君が、私の元から巣立って、こうして新たな目標を見つけて、今度は自分の力で大空を飛び回ることでしょう。楽しみが増えました。」
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