「アンブッシュマーケティング」という言葉をご存じでしょうか。

日本語でいえば「便乗商法」。今行われているオリンピックのような大きな行事のときに必ず問題となる商法のことをいいます。

「オリンピック」という単語やロゴ、さらには商標登録されている「がんばれニッポン!」などという言葉を無関係の第三者がビジネスに使ってはいけないというのはよく知られた話ですが、それ以外に、

・ TOKYO 2020 ●●●●●●
・ ●●●リンピック
・ 祝・東京五輪開催
・ 2020 スポーツの祭典
・ 目指せ金メダル
・ ロンドン、リオそして東京へ
・ 2020へカウントダウン

といった言葉を使うこともアンブッシュマーケティングととられる可能性があると注意喚起がなされています。
※ 参考: 「大会ブランド保護基準」
https://tokyo2020.jp/…/copyrig…/data/brand-protection-JP.pdf

何でそこまで目くじらを立てるの?と言われそうですが、これは当然のこと。各カテゴリーの企業から多額のスポンサー料を集めなければオリンピック開催のための費用は捻出できません。
ちなみに、東京オリンピックでは合計4000億円(一説には4500億円)ものスポンサー料が見込まれています。

※ 参考: 「五輪スポンサー料トヨタ2000億円拠出 高いか安いか」
http://mainichi.jp/articles/20160801/dog/00m/020/000000c

そういう巨額の費用を出すスポンサーを満足させることは、大会運営上不可欠のことであり、一部批判の声もあるようですが、資本主義経済の下では、当然のこととして理解しなければなりません。
※ 参考: 「オリンピック応援禁止令?--ツイート禁止通知と『アンブッシュ』規制法の足音」
http://japan.cnet.com/news/business/35087137/

しかしながら、同時に、その批判というか指摘の中にも理解すべき点があることも事実です。
というのも、東京オリンピックでは、開催費用が当初の3000億円程度という試算を遥かに超え、2兆円から3兆円規模になるとも言われており、大規模な公的資金の投入が避けられない見通しとなっています。

※参考: 「五輪総費用 公表なし 不足分は税金追加投入」
http://www.tokyo-np.co.jp/…/…/201602/CK2016020602000143.html

となると、誰が東京オリンピックの最大のスポンサーなのか、ということは改めて真剣に考えなくてはなりません。

言うまでもありません。
最大のスポンサーは、「納税者」に他なりません。

であれば、皮肉でも何でもなく、スポンサーたる「企業」に対して満足できるようなオリンピックを運営することにそれだけ一生懸命となるのであれば、当然ながら納税者にとってもできるだけ満足度の高いオリンピックに仕立て上げる。

そのことが、これからの東京オリンピック開催に携わる全ての方の責務となるはずです。

今回、都知事選挙を経て、小池百合子新都知事が誕生しました。小池新都知事に対しては様々な立場から様々な意見はあろうと思いますが、少なくとも一点期待できることは何か。

それは、組織や団体ではなく、ひとえにしがらみのない有権者の方々の支持を背景に選挙戦を勝ち抜くことができたがゆえに、納税者目線で、東京オリンピックを開催するために全力を尽くすことができること。

何のためにいくらが使われるのかをガラス張りにして、不要なものは削り、また(巷ではあるといわれている)「オリンピック利権」を貪る方々に退場をしていただきたいと心から思います。

それができなければ、小池新都知事が誕生した意味はありません。
しかし、他方でそれができる方だと考えています。

4年後の東京オリンピックの成功を心から祈念する立場から、一都民として、彼女の手腕に期待しています。