先日、レイトショーで「エクソダス 王と神」を観てきました。

話しの内容は、要はモーゼの「出エジプト」に至る経緯をこれでもかというくらい綺麗な映像にしてあるもので、聖書の知識の有無に関わらず楽しめる内容となっていました。
(逆に聖書の知識があると、些細な違いが気になって楽しめないのではないかと思います。)

ただ、そこで感じたのが、窮地に陥ったときの「神」は残虐だ、ということ。聖書に書いてあることなのでネタバレでも何もないのですが、神は、ヘブライ人(ニアイコール、ユダヤ人)を救うために、様々なあの手この手でエジプトに危難をもたらし、結果、多くの方を殺害していきます。
殺される側(エジプト人)は、当然やり返そうと思って、もっとヘブライ人に厳しい弾圧を行い、反面「神」も益々災害をエスカレートさせる。このようにどんどん事態は泥沼化していきます。

これは人間の性(サガ)なんでしょうか。あれから既に数千年の年月が流れていても、これだけ文明が発達しても同じことが行われているなというのが、正直な印象でした。

もちろんISILを擁護するつもりは毛頭ありません。その他のテロ組織の言い分に耳を傾けるつもりもありません。
ただ、窮地に陥った側が残虐な行為を行い、それを神の名を借りて正当化するのは、時代を超えた人類普遍の原理なんだろうということを率直に感じた次第です。

この映画は一見すると聖書信仰に基づく映画ですが、もしかしたら相当アメリカに対して批判的なメッセージも込められているのではないかと感じたのも確かです。
海外(特にアメリカ)での評価が余り高くないのは、自らを絶対的正義と考えたい方々にとって、この映画は、一番痛い部分をついているからかもしれません。

また、八百万の神に守られている日本における「神」の概念と中東辺りの「神」とは、その意味合いが相当違うように思いました。政府の掲げる「積極的平和主義」も良いですが、これだけ数千年にわたって宗教を巡って殺し合いが続いている地域に首をつっこむのは相当の覚悟がいるということも同時に痛感しました。

様々な意味で宗教等が騒がれている昨今、そういう意味でも見ておいて損はない映画だと思います。


前衆議院議員 三谷英弘