みなさん、こんにちは。

国会の方は諸々ひと段落し、地元では、年末に向けて各種行事に数多く出席させて頂いています。

もちろん政局に関しても随時発信させて頂きますが、今回は、先日閉会した臨時国会において、当方が、消費者問題特別委員会の委員として取り組んだテーマについてご説明致します。


・ 消費者契約に関する集団訴訟法

今国会で成立したのは、消費者契約に関する集団訴訟法。この法律により、消費者契約に関して、「消費者団体」が、消費者に代わって被害回復を求める訴訟を提起することができるようになりました。

今までは消費者一人ひとりが請求する必要がありましたが、一人あたりの損害額が小さいため、泣き寝入りする事例がほとんどでした。しかし、この法律により、消費者団体が、多数の消費者に代わって訴訟をまとめて遂行できるようになるわけですから、全体として訴額も大きくなり、泣き寝入りを防ぐことができるので、消費者の保護という観点からはとても喜ばしい結果となります。

とはいえ、良いことばかりではありません。どんな案件でも集団訴訟を提起されてしまえば、かえってビジネスの遂行の妨げになってしまいます。そのため、みんなの党は、この法案の審議の際に、「濫訴の防止」を強く訴え、また、最終的に否決されてしまったものの、独自の修正案を提出したほどでした。

しかしながら、この法案の審議の際に我々が問題提起した「濫訴」の恐れが既に現実化しようとしています。それが今般、社会問題化した「食品表示偽装」の問題です。


・ 食品表示偽装の問題 と 集団訴訟

今年の10月頃から、高級ホテルを中心に、ホテルやレストランでのメニューの記載と本当の原材料とが異なる例が少なくなく、食品への信頼を大きく損なわせる例が数多く続いています。もちろん高級ホテルでの一流レストランで表示が偽装されたら、「それは許せない!」と直感的に判断される方も少なくないと思いますし、自分自身こういう例を見逃すわけにはいきません。

他方、場末のレストランや縁日の屋台で、表示が真実でないからといって、その細かい表示に目くじらを立てていても仕方ありません。
極端な例を言えば、夏祭り定番のかき氷の中で、およそ果物の味とは関係ないシロップについても、単にその「色」から「イチゴ」や「メロン」と称していますが、「イチゴ」が入っていないじゃないかなどと言って、こういうのを禁止しても全く意味がありません。

ただ、先述した集団訴訟を提起できる「消費者団体」が、これは許せない、と思ったものについては、世間的には問題視しても凡そ仕方ないだろうというようなものについても訴訟が提起できるようになってしまう、という事態が起こることになります。
現に、集団訴訟法における審議の際、参考人質疑の中で、いみじくも消費者団体の代表者は、高級店か否かにかかわらず、食品の表示偽装はどんなものでも問題視する旨の意向を明らかにしておりましたので、まさに「濫訴」の懸念が現実化しかねません。


今後、消費者契約に関する集団訴訟法が施行されるまで3年あります。

近時しばしば「コンプライアンスの過剰」ということが言われることもありますが、余り口うるさく言いすぎて、ギスギスした社会にすることは避けるべきではないかと思います。
イチゴ「風」かき氷、メロン「風」かき氷、なんて呼び方を迫られるのは勘弁願いたい、と思うのは自分だけでしょうか。

施行までの間に、何がどこまでセーフで、どこからがアウトか、そういうことについて何らかの議論を深めていくべきなんだろうと思います。

身近な問題ですが、線引きが難しく、解決が難しい問題の一つです。

皆様からのご意見も様々頂ければ幸いです。


衆議院議員 三 谷 英 弘