いよいよ私、みたに英弘の地元、目黒、世田谷で区議会議員選挙が佳境を迎えています。

今回の選挙に関しては、東日本大震災によるエネルギー不足を勘案して、選挙カーを使わない作戦を取る陣営もあり、そういった決断をされた陣営については心から敬意を払います。

しかしながら、他方で、選挙カー自体が悪であると決め付けるような運動(「No選挙カー運動」というらしいです。)が従来から根強く存在することを知りましたので、これについて若干コメントしたいと思います。

No選挙カー運動とは、選挙期間中にスピーカーを載せた自動車を走らせて、名前の周知行為を行うようなことを行わない、そして選挙カー使用に関する公費負担を求めない運動のことで、最近はどうやら候補者の中でこの運動が流行っているようなのです。

しかしながら、パッと見たら、近時のエコの風潮にも合致するように見えるこの運動。実は、極めて大きな欺瞞があるのです。

今の公職選挙法、実は、特定の団体や組織の支援を受けた候補者が極めて有利な制度になっています。

例えば、選挙期間初日に行う「公営掲示板へのポスター貼り」一つ取って見ても、選挙区内数百点在する公営掲示板に、一つ一つ自分の手でポスターを貼っていかなければならず、大きな組織や組合をバックにした候補者が圧倒的に有利な仕組みになっています。

そして、現行の公職選挙法においては、インターネット(Twitterの更新やメールの送付)を使うことが禁止されているだけでなく、街中に自分のポスターを貼ることすら厳格な制約を受けているため、新人候補者は、自分の政策どころか自分が立候補していることを有権者に知ってもらうことだけでも極めて困難です。

この点、公職選挙法が認めている「選挙カー」は、少なくとも多くの人の耳に届く音声を出すことができ、また、自分の名前を大書した看板がついた自動車を様々なところに運ぶことができることから、自分が立候補していることを有権者にお知らせするという意味で、新人候補者にとっては、極めて有効なツールであることには間違いがありません。

このような状況下において、「選挙カー」を使わないということは何を意味するのか。

組織を持たない新人候補者は自分の存在すら知られることなく選挙期間が漫然と経過していく一方で、大きな組織、大量の組織票に守られた候補者だけが、その存在感を発揮し、選挙戦を勝ち残っていくということになりかねません。
そして、その結果生まれた議員は、極めて残念なことではありますが、自分をしっかりとバックアップしてくれた組織への恩返し、簡単に言えば、自分の組織への利益誘導を行っていくことになります。

それによって生じる壮大な予算の無駄遣い。
これは、選挙に選挙カーを使用する費用(数十万円)とは明らかに桁が違う規模のものなのです。

口先ではエコを標榜して選挙カーを使わないと言いながら、その裏では組織票に頼って選挙戦を戦い、その結果、壮大な無駄を生み出し続ける。
果たして、このどこが「エコ」なのでしょうか。

私、みたに英弘は、大きな組織に、そして組織票に守られた候補者が、その口先で「選挙カーを使わない!」ということは、全くもって偽善に他ならないと考えています。

だからこそ、私個人としては、選挙カーを使わないことによる「コスト」よりも、自分がしっかりと当選することによって、組織票に守られた議員がその組織に利益誘導することによって生じる「財政の無駄遣い」を削減していきたいと考えています。

だから、現状においては、単なる「No選挙カー」運動自体に「No!」を、それ以上に特定の組織や組合の組織的な支援を受ける選挙運動にこそ「No!」を突きつけていきたいと考えています。

どうぞ、今後とも宜しくお願い致します。


みんなの党 東京都第5区支部長/弁護士

みたに英弘



追記

ちなみに、今後公職選挙法が改正され、インターネットの使用が解禁等された場合には、選挙カーを使用しないという判断をするかもしれません。
また、選挙カー使用による国家(地方自治体)への負担(公費負担)が気になるということであれば、公費負担の申請を行わなければ良いだけの話です。多くはないですが、選挙カーを走らせたとしても、公費負担を求めない議員も存在するのです。