講座の生徒さんから、
「お稽古バッグは必要ですか」
「どんなお道具入れに書道用具を入れたら良いですか」
というご質問を頂きます。
書道を始めたばかりでしたら、身の回りにある使えそうな
収納用品で十分に代用することができます。
生徒さんの実例をご紹介しますと、持ち運びに使用する
お稽古バッグは、ブリーフケース、キャリングバッグ、
トートバッグを使っている事が多いようです。
下敷きや半紙は、チャック付のA3のクリアケースや、
クリアファイルに入れています。
私はというと、以前は京都に行った際に桐の箱を
オーダーメードで誂えたり、籠巾着、和装小物のお店で、
硯が入るような道具入れを買ったりしていました。
また、筆巻きのひもが緩んできますと、筆が落ちてくる
ことがあり、筆巻きの素材が竹を使っていることもあって、
バッグに傷を付けてしまうため、筆巻きはちりめん布で巻いています。
しかし、道具に対してひとつずつケースを増やしていくと、
嵩張ってしまい、次第に持ち運びが不便になってしまいましたので、
今は、かさばらず、何度も繰り返し使うことができる"風呂敷"に
落ち着いているのですが、風呂敷は、日本文化と先人の知恵が
詰まっている優れものではないかと思います。
"包む"ということは、言わば"慎む"ということではないでしょうか。
日本の書道以外に、和の布である風呂敷をひとつ見ても、
"美意識" "知恵" "心"といった日本人の感性が
秘められていることに気がつきます。
規格大量生産ではなく使い捨てることがない風呂敷を通して、
人がいかに豊かに暮らしていくかという想像力においても、
日本文化の価値観や美意識を見直してみることが
不可欠なのではないかと思っています。