手には多くの関節があり、それぞれの骨を自由に動かし、物をつかんだり捻ったり、色々な作業をすることができます。そして、麻痺になると不自由なので、一生懸命リハビリをして、色々な作業ができるように回復を図ります。しかし、足には同じくらい多くの関節があり、やはり同じくらいの筋肉があるはずです。しかし、意外と色々なリハビリをやっていないように思います。手のようには色々な作業をするわけではないので、足についてはつま先上げとか踵上げくらいのリハビリしかやっていないのです。しかし、足は全体重を支えるので、多くの骨があることには、それなりの意味があると思います。
もしふらついて転んだら、手をついて骨が折れるかもしれないし、肩を突いて鎖骨を折ってしまったりするかもしれません。実際、私は転びそうになって、ガードレールの方を突いてしまいって、左鎖骨を骨折してしまったことがあります。歩いていた時に転びそうになったら、足を送って堪えるはずですが、それは足の外旋などするために股関節や膝の関節が重要です。そういう意味で、股関節周りや膝周りのリハビリは色々とやっています。
ただ身体のバランスを取るためには、足首より先の動きも非常に重要だと思います。というのは私は脳梗塞右半身不随になる直前まで、スラックラインをかなり一所懸命にやっていました。スラックラインというのは平たく言えば、綱渡です。スラックラインで使う紐は平らな紐なのですが、その上でバランスを取るには、膝や股関節の動きでは間に合いません。もちろん大脳で補正しているのでは間に合わないのです。色々と自己流に工夫をしましたが、身体の重心の微妙な動きを感じて、それを足首より先の足の動きで、補正していかないとバランスを取ることはできないことが分かりました。そして、長時間綱の上でバランスを取れるようになるのに3年以上かかりました。
そのような経験から、半身不随になってからの回復のためには、わざわざ不整地を歩いたりすることがありします(もちろんかなり歩けるようになってからですが)。そういう時に小石を踏むと、足首で堪えたりする必要があります。また、親指や小指で堪えたりする場合もあります。そのために働いている筋肉は、足の土踏まずや甲にある多くの小さな筋肉群だと思います。脳梗塞以前にやっていたスラックラインで身体のバランスを取る時でも、それらの筋肉群がかなり働いていたことは感じていたので、その感覚を感じながらやっているのです。
そういう筋肉を鍛えるのにどんなことをやれば良いかを考え、とりあえず足のグッパーをやっています。健常側のグッパーよりは麻痺側のグッパーがいささか遅いのですが、麻痺側の足でもグッパーができるようになってきました。また両足を同時にやると、健常側の足につられて麻痺の足もかなり早くできます。
次回は、「閑人閑話 その120(神経細胞は刺激を受けないと死ぬ?!)」です。