私の場合、2回の脳梗塞を経験していて、1回目は失語症、2回目は右半身不随でした。ただこれは主な症状であって、実は細かく言えば、色々と不調はあるのです。脳梗塞前と後で明確に変わったことを列挙してみると、下の表のようになります。

 

 1回目の脳梗塞では、失語症に関係することでも色々な種類があって、歌を歌うときに、メロディと歌詞が同時に思い出せないなど面白い現象がありました。ただ失語症と関係ない症状としては、身体がとても冷えるようになったということがありました。この症状は2回目の脳梗塞でも同じように起こりました。

 

 

 本当に色々なことが起こったのは、2回目の脳梗塞の後です。暗がりの恐怖、虫の恐怖、異常にびっくりするようになったこと、涙もろくなったこと(感情失禁)、それにある種の声に嫌悪感を襲われることなどです。以下列挙して、簡単に説明してみたいと思います。

 

  1. 暗がりの恐怖: 部屋の電気を消して部屋を出る時など、一瞬暗がりになることがあります。半身に麻痺があると、転ぶのではないかという感覚から、恐怖を感じるのではないかと、自分を納得させていました。ただ転ぶのではないかという感覚から脱するには、腰足をリハビリでしっかりさせるしかないと考えていました。実際、最近はリハビリがかなり進んだせいか、暗がりに対する恐怖感はかなり軽くなったように思います。
  2. ムシの恐怖心: 子供の時など虫がたくさんある環境だったので、虫を嫌うという事はありませんでした。1回目の脳梗塞の後でも、特に問題なかったのですが、2回目の脳梗塞の後、ムシ一般に苦手になりました。私はプランターで柚子を育てているのですが、アゲハの幼虫が現れることがあります。そんな時、自分では取ることができず、家族を呼んで排除してもらいます。論理的には変なことですが、脳梗塞の高次機能障害ではないかと思います。
  3. びっくり: 例えば、後ろから声をかけられたり、触られたりすると、異常にびっくりしてしまいます。動物の反応にこのようなことがありそうで、脳梗塞によって、動物的になったのかなと思うことがあります。手に何かを持っている時など、取り落としそうになります。
  4. 感情失禁: これは分かりやすいですが、要するに涙もろくなりました。そういう人は少なくないと言われますが、ちょっと異常なレベルです。それと脳梗塞の前と後で明らかに変わっているので、高次機能障害ではないかと思います。
  5. 声の嫌悪: これは逆に分かりにくいです。人の声一般が嫌悪の対象になっているわけではありません。大体の人は大丈夫です。しかし、ある種の声がダメで、できるだけそういう人は避けるようにしています。退職し、さらに後期高齢者にもなっているので、他人との接触は減っているのであまり問題は起こらず、やりたいようにやっています。ただそういう人には、心の中で『すみません』と謝っています。

 

 脳の高次機能障害というのは、脳内の回路の変化によるものだと思われますが、リハビリで良くすることはなかなか難しいように思います。一番良いのは、あまり悩まないようにすることだと思っています。ただ説明ができるようになると、リハビリも可能になるかもしれませんが…。

 

 次回は、「生物の原理への道 その3(全アミノ酸をSOSUIで解析したら…!)」です。