自重でやる筋トレを、谷本道哉氏がラジオで紹介していたので、それを時々やっています。このようなことを考えるようになったのは、一つは脳梗塞右半身不随になった後、その症状を回復するためには、筋肉をつけないといけないと考えたからです。本来は、筋肉の回復と脳の回路の回復とを同時に行なっていかなければならないのですが、神経の状態を直接見ることは難しいのです。

 

 神経回路のつながり方を非常に大雑把に考えてみますと、(感覚受容) → (脳での情報処理) → (情報処理に基づく筋肉の動きや各種変化)ということになります。そして、脳における情報処理自体を直接感じ取ることはできません。必ず筋肉の動きや色々な変化を通して、脳での情報処理について理解することができるわけです。

 

 そうすると、脳梗塞以降の筋肉の動き方について、次のようなことがわかります。脳梗塞によって、筋肉の動きが悪くなっていることの原因が2つあることが分かるのです。一つは、脳梗塞によって脳の回路や中継回路の細胞が死ぬことによって、末端への神経情報が伝わらなくなって筋肉が適切に動かなくなるということです。そして、もう一つは筋肉を動かしていないと急激に筋肉が痩せてしまうことから、動けなくなったり、筋肉をとても重く感じるようになったりするということです。

 

 脳梗塞の初期は、前者である脳の回路の遮断によって、筋肉の動きが制限されていることは明らかです。最初の1ヶ月くらいで回復が見られるのも、脳の炎症が次第におさまることで、神経回路が回復しているのだと思われます。しかし、3ヶ月くらい経つと、その間に動かなかった筋肉が非常に痩せてしまうということがあります。3ヶ月の間に脳の炎症は治るのですが、筋肉が痩せることによる動きの難しさが出てくると考えられます。したがって、その後の回復には神経回路を復活させることと、筋肉を復活させることの両方が大事になると思います。そして、どれだけ回復しているかは、筋肉の動きを通してしか、よくは分からないのです。仮に神経回路が復活したとしても、筋肉が完全に痩せていると、動けないということもあり得るのです。(実際には神経回路だけが復活するということはあまりないように思いますけれど…)。

 

 

 このような考察から、リハビリをする時に、神経の回路を意識しつつではありますが、筋肉を増強することを主に考えながらやっています。さらに、身体には、500~600の筋肉があるということも考えなければなりません。リハビリによって、動けるようになった後も動き方が普通ではないということがあります。一応、動けるようになっても、普通の動きに必要な小さなたくさんの動きが十分回復していない場合は、動きが不自然になるのは当然です。私は、弱いのはどのあたりの筋肉かということを、はっきり意識しながらリハビリをしなければならないと思っています。

 

 最後に、胸や腕・肩の筋トレにやっている運動を上図に示しました。身体を斜めにしながら、立位で腕立て伏せをするのです。机のへりまで胸がつくくらいの腕立て伏せを10回すると、とてもきつい筋トレとなります。私はこの筋トレを週に1回、数分程度しかやりませんが、すっかりくたびれるのですが、ちょっとずつ筋肉がついている感じがします。

 

 次回は、「生物の原理への道 その2(アミノ酸の粗視化で膜タンパク質が予測できる!)」です。