脳梗塞右半身不随になった当初から、麻痺による筋肉の萎縮について、2つの要因があるのではないかと考えていました。一つは、動かさないことによる筋肉自体の萎縮であり、もう一つは動かさないことで、それに関係している脳の神経ネットワークが壊死するということです。『筋肉は何歳になっても鍛えることができる』と良く言われています。ですから、筋肉の萎縮自体は何とかなるかも知れません。また幸い私の大脳の運動野は生き残っています。というのは、私の右半身不随の原因は、大脳から身体への中継地点での梗塞です。だから、これを繋ぎ直せれば、筋肉を動かせることができるようになるのではないかと思いました。

 

 私は脳神経系の専門ではありません。しかし、私の断片的な知識によれば、信号を遮断された神経細胞は次第に脱落しているという研究があるようです。私の脳梗塞による右半身不随は、脳幹部の『橋』での梗塞によるものです。脳のこの部分は大脳からの信号の中継地点で、大脳の運動野自体の神経細胞は生き残っているのです。しかし、中継地点での梗塞で、私の大脳運動野の脳細胞は信号が遮断された状態になっているのです。この状態を続けていると、大脳皮質での運動野の神経細胞も次第に脱落していく可能性があると私は考えました。

 

 そういう考えに基づいて、できるだけ早期から麻痺した筋肉を刺激し、大脳と身体の様々な部位とつなぐ努力をする必要があると考えました。逆に、大脳の神経ネットワークが一旦壊死してしまうと、それを再生することはとても難しいと思われます。当初具体的にどうすれば良いかわかりませんでしたが、とにかくリハビリで動くようになれば、それは大脳と身体の筋肉との連携が取れるようになったということです。そういうわけで、動かない筋肉を強めのリハビリで、身体を動かすことを努力しました。そして、脳神経の可塑性に期待をかけたのです。色々な筋肉を動かして、大脳へ信号を送り続けることが、回復につながるのではないかと考えたわけです。

 

 

 そのために自主トレも含めて、色々なリハビリしてきました。そして、1年前にステッピングマシンが通所リハビリに導入されたので、一所懸命やった結果が上図です。一部考察が必要な変化はありますが、とにかく1年間続けてきた結果、太ももの筋肉は増加していることは確かです。麻痺側の右足は、周囲が50cmから53cmへ大きくなっています。筋肉量としては、最近1年間で10%くらいは増えたことになります。その間、健常側の左足も52cmから54cmへと増えているので、身体全体の力が増強されたということになり、大いに効果はあるのだと思います。

 

 ただし、コメントしておかねばならないのは、5ヶ月後で一見うんと大きくなっていることです。その時期は真夏で、足の状態は、ちょっと浮腫んでいて、ふわふわした感じで足が太くなっていました。しかし、最近は筋肉質になっていて、確かに筋肉がついたな!というふうに感じています。

 

 ただ筋肉にも、アウターマッスルとインナーマッスルがあります。リハビリとそれらの筋肉についての考察もあるのですが、それはまた後ほど考えてみたいと思います。

 

次回は、「リハビリとしての料理 その16(ちょっとだけ新しい試みをしました)」です。