今年は、私も後期高齢者となります。先日、前期高齢者としての最後の検診を受けたのですが、聴診器による検査で「心音に雑音がありますから、循環器科のクリニックに受診してください。」とのことでした。図で示した通り、心臓には左右に心房と心室があって、その間に弁があります。一方向に血液が流れるようにするための弁ですが、心室が収縮するときは、心房へと血液が逆流しないようにしっかり閉じないといけません。しかし、その弁の閉鎖が甘いと血液が逆流することになります。どうも閉鎖不全が、私の心臓で起こっているらしいのです。

 

 

 私は医者ではないので、血流における雑音を、聴診器で聞いたことはないのですが、おそらく血液の乱流による音ではないかと思います。乱流によって起こる音としては、身近なところでは、北風などがビュービューと音を立てることがありますが、それは乱流によります。つまり、木の幹の後ろなどで起こる空気の流れによるカルマン渦が、発生させる音なのです。心臓の弁の閉鎖不全によっても起こる音も、多分独特な乱流によって聞こえるのではないかと思います。

 

 それでは何故昨年まで指摘されなかった雑音が聞こえるようになったのは、加齢によるものではないかと私は想像しています。加齢によって、動脈硬化などが起こるし、筋肉の硬化も起こってきます。心臓の弁も次第に柔軟性が失われても不思議ではありません。どの程度の閉鎖不全なのかは、超音波のエコー検査の結果を見なければなりません。最近の超音波エコー装置はとても改良されていて、色々な情報が得られるようです。

 

 昔の超音波エコー装置は、物体からの反射波を用いて、形状がわかるだけでした。しかし、最新のエコー装置では、流体の動きの方向や速度などをドプラー効果を用いて精密に調べることができるようになっています。つまり、流体の乱流における渦の状態が、ドプラー効果で分かるようになるのです。自分の心臓では、血液の渦を観測したくないですが、見えたら意外と感動するかもしれません。私は昔、自分で超音波測定装置を作ったことがあったからです。

 

 次回は、「語学と私の失語症の関係について その2(チョムスキーの普遍文法と生成AI)」です。