第104代の首相に就任した高市早苗さん内閣が発足した。憲政史上初の女性首相・・・などというお決まりのキャッチフレーズは、前にも書いたが、とっとと無くしてしまった方がよい。私には姉がいて、世の多くの、お姉ちゃんを持つ弟諸氏とほぼ同様に(だと想像する)、姉には頭が上がらない(笑)というような次第で、男女同権などと正面切って叫ばれても違和感を覚えるだけなのである。実際に、高市内閣では女性閣僚を6人くらい入れるんとちゃうかと期待されていたところ、蓋を開けたら、ご本人のほかには片山さつきさんと小野田紀美さんだけだったので、辻本清美さんをはじめとする自称フェミニストからはガッカリという声が少なからずあがったが、それもどうかと思う。少ないのは確かだし、私がいくら世の中は男女半々だと言ったところで、永田町のように今なお男性優位社会・組織が部分的にしぶとく残るのは事実である。しかしだからと言ってそこで女性の社会進出を促すようなクォータ制を無理に導入するような動きには懐疑的である。例えば、首相が海外訪問や病気などで職務遂行が難しくなった時に首相臨時代理に就く5閣僚が指定され発表されたが、1位は木原稔官房長官、2位は茂木敏充外相、3位は林芳正総務相、4位は金子恭之国土交通相、5位は赤沢亮正経済産業相と、危機管理の観点からは納得の序列ではないだろうか・・・というように、永田町は今なお男性優位社会の典型であり、大事な人選であるだけに、無理に背伸びしても仕方ないので、徐々に変えて行くしかない。確実に変えて行って欲しいと思う。ただ、今は女性の比率云々よりも、自民党・挙党態勢で高市首相の政権運営を支え、国民の信頼を取り戻すことの方が重要だろう。

 こうした観点から、初閣議を終えた閣僚の集合写真に対して、「小野田紀美宇宙政策担当大臣のシルバー・ジャケットがかっこいい」「女性3人で真珠のリンクコーデ?なの、かわいい」といった投稿があったのには、そりゃそうだろうと、ニンマリ。石破前内閣が発足した際には、ヨレヨレのモーニング姿のおじさん勢揃いで「だらし内閣」などと不名誉な称号を与えられたことと比べれば、違いは一目瞭然である(女性の人数自体はさほど変わらないかも知れないが、何しろ前列中央で高市さんがニコやかに笑顔を振り撒いているのだ)。自民党のおじさんたちには、自民党の危機を自分事と捉えて、馬車馬のごとく働いて欲しいものである。

 それにしても、リベラル・メディアの論評が酷いことにかけては、日本も欧米も変わらない。今日の日経・夕刊によると、ニューヨーク・タイムズ紙は、日本でも「トランプ米大統領が率いるMAGA(米国を再び偉大に)と似たポピュリズムの波が起きている」と指摘、こうした流れに呼応して高市さんが「安倍晋三元首相のように日本をさらに右傾化させるとみられる」と論評したらしいし、仏紙ルモンドは高市氏が女性天皇や同性婚に反対する「超保守」で、首相就任は「(日本の)女性を取り巻く状況の改善にはつながらないだろう」との見方を示したらしいが、余計なお世話だ。どうせ日本のリベラル・メディアかリベラル言論人の声をわざわざ拾ってケチをつけている(あるいはケチをつけさせている)だけだろう。中国あたりは所謂影響力工作で好んで牽制させていそうだ。

 かく言う私も心配しないわけではない。首相になっても靖国神社に参拝しないのでホッとしているが、石破前首相もそうだったように、一人の議員として言いたい放題だったところから、一国の首相として国の看板を背負って発言を慎重に、君子豹変するのは当然であろう。本当は、閣僚全員と言わず国会議員全員で靖国神社に参拝して・・・というのは、首根っこを掴まれた媚中派議員がいるから難しいことは理解しつつ、中国と韓国に対して、もはや靖国神社のような国内問題に内政干渉せず、外交上も政治カード化するなと言い放ちたいくらいだ。少なくとも、ただでさえ極右のレッテルを貼りたがっているリベラル・メディアが足を引っ張ろうと虎視眈々と待ち構えているのだから、一人だけ突出せず、全員野球を隠れ蓑に、政治を前に推し進めて欲しい。

 NNNと読売新聞が行った緊急の世論調査で、高市内閣の支持率は71%だったそうだ(支持しないのは僅かに18%)。自民党の支持率は32%(先月から5ポイント上昇)、連立を組んだ日本維新の会は5%(先月から3ポイント上昇)、一方で国民民主は5%(先月から4ポイント下落)と、ご祝儀相場とは言え、上々の滑り出しである。連立政権から離脱した公明党の支持率は4%(1ポイント上昇)、公明党の離脱は「妥当だったと思う」が77%で、「思わない」12%を大きく上回ったというから、お互いに良かったではないか。自民党と日本維新の会が連立政権樹立で合意したことについて「評価する」が57%で「評価しない」が31%、今後の政権について「自民党中心の政権の継続」を望むが前回9月の調査より23ポイント上がって58%、「野党中心の政権に交代」を望むが前回より21ポイント下がって26%と、国民はしっかり見ているようだ。

 先ずは高市政権の船出を祝福したい。