●目薬を正しい方法でさす

緑内障の治療において、同じように目薬をさしてもよく効く人とあまり効果がない人とタイプに分かれます。こういった違いはどこから出てくるかといいますと、患者さん自身が緑内障について、特に目薬の重要性と目薬のさし方をよく理解してるかどうかが、治療効果に大きな影響が出てくると思われます。

実験結果のデータで、緑内障の病気の基礎知識や治療法について、特に目薬の重要性とさし方について時間をしっかりかけて指導したグループと、軽い説明をしたグループの2つのグループに分けて治療効果の測定をした実験があります。緑内障について軽い説明をしたグループは平均で長さ0.9mmHg眼圧が低下しました。そして緑内障について、特に目薬の重要性とさし方についてしっかり指導したグループは、平均して眼圧が1.7mmHg低下したというデータがあります。

緑内障使用においては、患者さんがアドヒアランス(患者さんが治療の必要性を理解、医師と一緒に治療方法の決定に参加、治療を前向きに行う。)を持つと、治療効果が大きく出てくるのです。

 

 

●眼圧を下げる運動

有酸素運動は眼圧を下げる可能性があると、色々な研究から報告されています。

有酸素運動とは、酸素を吸収しながら比較的長時間連続して行うことができる運動で、ジョギングやウォ―キングなどの運動があります。

また無酸素運動には、筋力トレーニングなどがあります。

眼圧を下げる効果が期待できる有酸素運動としては、身体に適度の負荷がかかるという点からウォ―キングがおすすめです。1日に7000歩から1万歩程度歩くことが最も健康に良いという様々なデータも出ています。

ウォーキングが面倒、時間が取れないという人は自動車ではなくバスや電車で移動する、1つ手前の駅で降りる、階段を使用するなどの工夫もおすすめです。

日常生活に有酸素運動を上手に取り入れて眼圧低下につなげましょう。

 

 

●運動と緑内障による視野欠損の関連性

運動と緑内障による視野欠損には関連があるか、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学の研究で、1日の平均歩数、中等度以上の身体活動時間、座っていない活動時間の増加が、緑内障患者の視野欠損の進行抑制と関連している事が発表された。毎日5,000歩または座らない活動を2.6時間行うことにより、緑内障における視野欠損の平均的な割合が10%減少するという。Ophthalmology誌オンライン版2018年10月10日号掲載の報告より。

 

 

●スペルミジン含有食物と緑内障

大豆、納豆、チーズ、マッシュルームなどのキノコ類に多くスペルミジンという物質が含まれていますが、スペルミジンは強い抗酸化作用を持っています。抗酸化作用によって、緑内障の原因の活性酸素が除去されます。

緑内障を持つマウスにスペルミジンを含有した水を飲ませると、緑内障の進行が抑制された実験結果も報告されています。

また、視神経に損傷があるマウスにスペルミジンを含有した水を飲ませると、視神経の細胞死が抑制され、さらに視神経の再生がわずかながら促進されるという実験結果も報告されています。

 

 

●青菜類の摂取と緑内障の予防効果

米国の大規模調査で、青菜類の摂取により緑内障が予防された可能性があることが報告されています。

青菜類には小松菜やほうれん草などの野菜があります。

これは青菜類に含まれる硝酸(しょうさん)の影響ではないかと言われています。硝酸(しょうさん)は一酸化窒素の元になり、一酸化窒素には血管拡張作用があり、血管拡張作用により網膜や視神経が血流改善された可能性があります。

しかし、硝酸(しょうさん)の過剰摂取も問題が生じますので、適量を心がけましょう。

また、ハーバード大学の医学部による研究結果によると、1日3食のうち2食キャベツなどの葉物野菜を食べると、緑内障の発病率は低減するというデータもあります。葉物野菜で特にキャベツなどアブラナ科の野菜には、硝酸塩が多く含有されています。

硝酸塩は、体内で血管の拡張を促進して血行に効果的と言われるNO(一酸化窒素)に変化します。硝酸塩の摂取量と緑内障の発病に関連性があると考えられています。なお、野菜に含まれる硝酸塩は、加熱しても機能がなくなる事はありません。

 

●ストレスと緑内障の関係

ストレスと緑内障の関係についてです。

明確な科学的根拠は少ないですが、ストレスが緑内障の原因の一つとも言われています。

ストレスにより交感神経が活発化して血管が収縮し、眼の網膜の毛細血管も収縮されます。その結果視神経に十分な栄養素が行かなくなり、視神経に障害が生じ、緑内障が悪化する可能性があります。

大きなストレスは緑内障以外にも健康に悪影響を与えますので、上手にストレスコントロールしましょう。

(武蔵野市の眼科 武蔵野タワーズゆかり眼科 緑内障専用ブログ)

 

 

 

●強度近視の人は緑内障になりやすい

強度近視の人は緑内障になりやすいのです。強度近視と言うのは、視力を表す単位のDがマイナス6度を超える近視の人のことを言い例えば目の前に指を縦16センチ以上離すと指がぼやけて見えなくなるような近視のことを強度近視といいます。 強度近視は悪化すると、視力が落ちるほかには、緑内障、網膜剥離、脈絡膜新生血管といった大きな病気が起こる可能性が大きいのです

人の眼球は丸い形をしていますが、近視が進行すると、丸い眼球がラグビーボールのようだ円形となります。眼球がラグビーボールのようなだ円形になると、黒目と網膜を結ぶ長さが伸びてしまい、目で見た映像が脳えと送信される視神経が変形、障害を受けることになります。そこで、近視の人は近視でない人よりも、2倍緑内障になりやすいと言うデータがあります。現在、パソコンやスマホなど近くを見ることが多い生活の中で、近視は悪化しやすいのです。1時間に1回、約1分は画面よりも遠くを見て視力低下を防ぐように心がけた方が良いでしょう。

 

 

 

●緑内障の原因の1つ酸化ストレス

緑内障治療の基本方針は眼圧を低下させることです。

しかし眼圧を低下させても、神経の数が減って、視野の狭さが進行する人もいます。日本人には眼圧が10から20の正常な値であったにもかかわらず、緑内障になる正常眼圧緑内障の方が多数います。

そこで最近、眼圧以外にも緑内障になる他の要因があるかもしれないと言うことで、研究が進んでおります。眼圧以外の緑内障の原因が、もし見つかれば、緑内障治療の新しい選択肢も増える可能性が出てくるからです。

緑内障の原因の1つとして最近注目を集めていることに、酸化ストレスと言うものがあります。

活性酸素によって、体内で引き起こされる有害な反応のことを酸化ストレスと言い、呼吸によって人は酸素を体内に取り込むのですが、その一部は細胞を傷つける活性酸素に変化してしまいます。この作用は、体内侵入したウィルスや細菌を防ぐための機能です。人の体内には、活性酸素を除去する抗酸化力が元来用意されています。しかし、活性酸素が増えすぎると、正常な遺伝子、細胞なども酸化、攻撃されてしまいます。

研究によりますと、緑内障の重症化と酸化ストレスの関係において、酸化ストレスが強い人ほど、緑内障、重症化が進むと言う研究結果があります。酸化ストレスが強力であると神経の組織を傷つけてしまうのがその理由です。そのため抗酸化力を強くし、酸化ストレスから人の体を守ることが重要になります。ですので、緑内障患者は眼圧低下を治療をメインに、それ以外のアプローチとして、日々の食事して、抗酸化力を強める食物を摂取したり、適度の運動を行うことも、緑内障を悪化することを防ぐ手段になると考えられています。抗酸化力を強くする食物としては、野菜、果物、お茶などがあげられます。

 

 

 

●緑内障のリスク要因となる病気

緑内障のリスク要因となる病気についてです。緑内障と深い因果関係があるのではと考えられる病気の中に睡眠時無呼吸症候群があります。睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中、呼吸が10秒以上連続して止まり、無呼吸発作を繰り返す病気です。睡眠時無呼吸症候群の人は緑内障になるリスクが2倍以上高いというデータがあります。

睡眠時無呼吸症候群と緑内障の関係ですか、以前、無呼吸により眼圧が高まるのが原因ではと推測されてきました。しかし、睡眠時無呼吸症候群の人の眼圧を測定したところ、眼圧上昇がなかったばかりか、息が吸い込めないため、眼圧低下になっていたというデータがあります。以上のデータから、睡眠時無呼吸症候群の人と緑内障の関係に、眼圧は無関係で、眼圧ではなく、無呼吸による血中酸素の減少が神経に悪い影響を与えるからではと言われております。

他には低血圧も緑内障のリスクが高まるというデータがあります。低血圧の人は、神経の血流が悪いため、栄養や酸素が神経に届きにくくなるからではと言われています。

あと、高血圧の方は、動脈硬化が原因で、血流悪化が起こり、また降圧薬によって血圧低下状態になることにより緑内障になるのではと言われています。

糖尿病の方も緑内障になるリスクは高いです。糖尿病の方は緑内障よりも糖尿病網膜症がまずリスクの高い病気として考えられます。高血糖により血流障害障害が生じ、網膜の細胞に栄養や酸素が届かなくなって起こる糖尿病の症状の1つです。最悪の場合は失明に至るので注意が必要です。

糖尿病により緑内障の中で新生血管緑内障のリスクが高まると言われています。この新生血管緑内障は、心血管が黒目や、防水の排出される隅角に発生し、房水の流れを悪化し、眼圧上昇に至る目の病気です。新生血管緑内障も失明のリスクがあるので、糖尿病の方は血糖値を安定させることがとても大切です。

冷え性や偏頭痛の人も緑内障のリスクは高いと言われています。これは血流障害による体のいろんな箇所に支障が出る症状の1つであるという研究データがあります。

しかし、これらの病気が100%緑内障の悪化原因になると言うことではなく、現段階ではあくまでリスクが高いと言う研究の段階ではありますが、可能性としてリスクを排除したほうがいいと思いますので、いろんな角度から緑内障を防ぐことが大切だと思います。

 

 

●緑内障をなんとかすると言う強い前向きな気持ちが1番大切

緑内障をなんとかすると言う強い前向きな気持ちが、失明を防ぐために1番大切なことです。

緑内障は代表的な失明の病気であることに変わりはありません。しかし、最近、医療の向上により、緑内障の早期発見、医療も大きく発展することにより、かなりの割合で失明が回避できるようになりました。

現在は、緑内障が何をすれば制御されるのか、失明を防ぐためにはどうしたらいいかが、かなりわかってきています。

では、具体的にはその方法論として、科学的根拠に基づいた緑内障の対策は、眼圧を下げる事が最優先です。

治療方法としては目薬、レーザー治療、外科手術の3つがあります。日本人の緑内障は、眼圧が正常な正常眼圧緑内障が大半ですが、眼圧を1mmHg下げると、緑内障の進行リスクは10%減少することが研究のデータとして出ています。また、緑内障の治療開始後、数ヶ月以内に2割から3割の患者さんが治療を止めてしまう治療脱落になる方が多いというデータもあります。当然治療を止める事は、失明の大きな原因となりますし、逆に点眼をするだけでも、かなりの確率で緑内障による失明を下げることになるわけです。

患者さん自身が治療の必要性を理解し、医師の治療方法の決定に参加し、治療を前向きに実行することをアドヒアランスと言いますが、これは非常に大事なことです。なぜならば、患者さん自身が前向きに治療に取り込む事は、治療効果が大きくなる要因となるからです。緑内障治療は大半の人が目薬だけで眼圧が下がりますし、悪化を阻止できれば失明を避けることも可能です。

 

 

●最も重要な事は緑内障治療を継続すること

緑内障は、昔からあった眼の病気で、約2500年前、古代ギリシャで目が海の色のように青くなり、やがて失明状態になる病気と言う記載があります。この記載から、緑内障の名前の由来と言われ、あおそこひと言う別名もあります。しかし、緑内障で目が青くなる事は無いのです。緑内障は怖いのが実際あった話で、目の不調のため、眼科に行った患者さんが、既に失明寸前だったと言う事例もあることです。視野は視力とは全く違い、視力は物がどの程度メールかを数値化したもので、一方の視野は見える範囲のことなのです。緑内障は、目で見えた映像を神経で脳へ送りますが、その神経が障害されることにより、視野が狭くなる病気なのです。視野がなくなることに気づかない原因として、たとえ右目の視野が狭くなっていても、左眼で見えない分を見て補ってしまうため、両眼で見ると、知覚できないことや、視野と言う概念を理解していない方がいるからなのです。しかし、現在は治療法も非常に進歩し、早期からの治療で失明はほぼ回避できる時代へとなりました。最も重要な事は緑内障治療を継続することで、具体的には目薬をさし、目薬をさした後は、約3分間瞳を閉じると言うそのことが失明回避に最も重要なことなのです。

 

 

●新しい緑内障治療方法

現在,緑内障の基本的治療法はただ1つの眼圧を低下させる事です。そして眼圧低下は緑内障進行を防げるかといいますと、現段階としては9割以上は防げるといった状態です。眼圧が低下してもまれに緑内障が進行するケースもあります。現段階では、眼圧を下げる方法以外、緑内障治療の確実性は無いのが現状ではありますが、新しい緑内障治療方法の研究にも期待が寄せられています。

一例を挙げますと、カルシウム拮抗薬と言う高血圧の治療に使われる薬があります。このカルシウム拮抗薬は、視神経障害の進行を抑える可能性があると言う研究データが存在しております。カルシウム拮抗薬は血管を広げる作用があるので、治療法の新しい選択肢となる可能性は、将来的には充分あり得ますが、現段階では正確なエビデンス(医学的根拠)の確立がまだされておりません。

他には果物カシス、イチョウ葉エキスが眼の神経保護や、眼の血流改善が期待できると言うデータも出ておりますが、こちらもまだ確実なデータと言う段階には至っておりません。他にも神経の再生医療を研究している医師もいますが、この研究も確実に実用化されるまでにはまだ時間がかかると推測されます。眼圧が低くても緑内障が進行する患者さんに、カルシウム拮抗薬やサプリメントをすすめる医師も存在します。

 

 

●緑内障の人がスマホを使う際の注意点

スマホを使う場合は、あまり近づけて スマホ を使うと眼圧が上がります。 スマホ  を使うときには次のような注意点が必要です。画面の大きいスマホを使う文字のサイズを設定を大きくする。目と画面の距離を30センチ以上離す。

画面の高さは画面の上部が水平から15度下位の位置に来るようにする。

スマホを長時間使用するのは厳禁。1回につき30分まで、または1日4時間以上スマホ使用すると、眼圧は上昇したと言うデータもあります。

寝転がってのスマホの使用も良くないです。

または暗い場所でのスマホの上も眼圧が上がるという報告も出ております。

 

●急性緑内障発作に要注意!

急性緑内障発作は、何らかの理由により房水の通り道である隅角が閉塞して起こる発作の事です。睡眠薬、風邪薬などの抗コリン作用のある薬を飲む事が原因になる場合もあります。

症状としては、目の痛み、頭痛、目のかすみ、吐き気などの症状が多く、一刻も早い治療が必要です。

急性緑内障発作の治療が遅くなる程、視神経のダメージが大きく、場合によっては1日から数日で失明してしまう事もあります。上記の症状を感じたら早急に治療を受けましょう。

 

緑内障治療専門ブログ 武蔵野タワーズゆかり眼科 医療法人社団 Luce三鷹

東京都武蔵野市中町1丁目12番10号

武蔵野タワーズスカイゲートタワー5階 クリニックモール内 三鷹駅から徒歩2分