先日アップした「2022年東京一工国医の合格実績の分析」について、考察の2回目です。

 

なお、当分析の目的や前提についてはこちらをご覧ください。

 

 

本日は、サピックス偏差値60(S60)前後のグループの学校について取り上げたいと思います。

 

数が多いので、現役合格率が特に高く出ている、あるいは特に低く出ている学校中心にコメントしたいと思います。

 

まず、現役合格率が特に高く出ている(中心のラインを大きく上回っている)学校としては、浅野と都立小石川が挙げられます。

浅野は合格校を見ると、一橋(12人)や東工大(24人)が多いという特徴があり、東大だけではない東京一工国医という指標がうまくはまる学校と言えるかもしれません。一般にS60前後の学校では、東大に受かる可能性があれば東大にチャレンジしてだめなら早慶に進学というマインドが浸透している学校も多いと思いますが、浅野は進路指導がしっかりしているとも言えそうです。もちろん、実際の教育力も高いものと思います。

都立小石川は、都立中高一貫校でトップというのが大きく、都立志望の青天井組(学校の80%合格偏差値よりずっと高い学力の生徒)がそれなりにいると思われます。また、この偏差値帯の学校の中ではサピックス(や他の私立中受験塾)の合格者数が多くないこと、適性検査試験が私立中受験塾の模試の問題と大きく異なることから、80%偏差値の信頼性が私立中に比べると低いということも言えそうです。ただ、教育熱心な学校として知られ、語学研修や英検受験にも積極的に取り組んでいるようなので、そういった成果が出ているとも考えられます。

 

次に中心のラインを大きく下回っている学校としては、早稲田と雙葉が挙げられます。

早稲田は付属(正式には係属)で早稲田大学への進学が多いため、東京一工国医の合格率が低くなるのは仕方ないと思います。優秀でもエスカレーターで早稲田大学に進学する生徒も多数いるでしょうから。

雙葉は、女子校によくある国公立をガツガツ目指さない傾向の学校なのだろうと思います。詳細は確認していませんが、そういう学校は東京一工国医では実力や魅力を図り切れないのかもしれません。

 

なお、この他に注目したいのは武蔵です。よく、武蔵の大学進学実績は物足りないというような言説を目にしますが、今回の分析では中心のラインの下に位置しているものの、そこまで大きな乖離ではありません。大きな理由として2016年の偏差値が今よりかなり低くてS56だったということがあります。(6年前の偏差値まで確認して学校の大学実績の良し悪しを判断しようという人が少ないということなのかもしれません。)

足元の武蔵の偏差値はS61なので、最近入学した生徒の大学実績はそれなりに期待できるのではと思います。

 

以上、S60前後のグループの考察になります。

 

(追記)関連する分析と考察はこちら。

2022年東京一工国医の合格実績の分析

2022年東京一工国医の合格実績の考察①

2022年東京一工国医の合格実績の考察③