やっと読み終わりました。
やっぱり長かった・・・。
本の厚みといい、上下二巻の作品。長いです。
しかもそのはず、この作品は産経新聞の朝刊の連載だったんですね!二年二ヶ月以上も続けて書いていたなんて!先生すごいです。
そのせいなんでしょうが、一人称の部分では語り手が変わったり、ナポレオンのパリ帰還部分については三人称だったり、手記の部分が続いたり、構成がとにかく複雑!!
私は複雑な構成の作品は好きですが、これは本当にすごい構成でした。そして内容も、コツコツと努力をする先生ならではだなぁと感じました。
序盤はけっこう面白かったです。
ムッシュウモンデールが、田舎からパリに出てきた新聞記者で21歳。
都会のしきたりに慣れて、自分の居場所ができて、仕事に打ち込んで・・・という状態が私にはなんとなくわかるので、モンデールに感情移入して読みました。
マダムタリアンに憧れ恋してしまう感情や、恋愛状態での会話もドキドキしたし、モンデールの気持ちはわかるのだけれど、私はちょっと複雑な心境になったり・・・。(というのも、同じ年頃に、当時の彼氏をマダムタリアンのような女性に取られてしまった経験が・・・笑)
ただ、官能小説みたいな場面は一箇所か二箇所程度で良かったんじゃないかと思いました。前半で何度も出てきたので食傷気味です。
スタール婦人とのやりとりの場面はマンガチックで面白かったです。
史実に基づいた戦闘記述が多かったので、もっと他にもこういう面白い部分があったら良かったのになぁとも思いました。
史実的説明部分が続くと飽きるんですよね。とにかく長い作品ですし。
そしてこの物語を読んで、先生が以前エッセイかあとがきかなにかで「ナポレオンが嫌い」と言っていた理由がわかったような気がします。
終盤、ふたたびモンデールの一人称記述になってから読みやすくなりました。ただご都合主義な部分が多く、序盤の頃のような感情移入ができませんでした。
でも、最後の最後でどんでん返しがあったり、物語の中心になっていたモンデールの冊子が役に立ったかと思えば、次は逆の役割を果たしたり・・・そういうところがひとみ先生らしくて面白かったです。
そうそう!書き忘れていましたが、マダムタリアンとは「令嬢テレジアと華麗なる愛人たち」のテレジアです。
いつもスケスケのドレスを着ていて、どんだけ露出狂なんだ!と思いながら読んでいましたが、戦場にまでスケスケで登場したので呆れました。(笑)