今回の記事はカルシウムリアクターというマリンアクアリウムではニッチな存在になってしまった機材トラブル(約1か月前の出来事)を記した、自分用メモなので普段以上に読む価値ナシです。
アクセスありがとうございました!
我が水槽機材で最も長い付き合いになっているのはカルシウムリアクターで、かのKRより先輩(笑)
2012年当時と置き場所も変わらずですから。
通算12年使い続けてきたドイツ・H&SのCa-1ecoというモデル。
今となってはカルシウムリアクターを使う人は少ないそうな。
本来はサンゴ無しの海水魚だけの飼育であっても飼育水を酸性化させにくい効果があるためメリット大なのです。カルシウムリアクターが無くphが低い飼育水で飼うよりもphが8.0をし少し超えた方が魚の発色が良くなる(?)という説もあるとか。
ましてこのモデルを2024年時点で使っている人はレアでしょうねぇ。
この頃メディアが減ってきて、かつ生産水の滴下量を従来より増やしてもKHが上昇しなくなりました。
カルシウムリアクターとはそういうものなので、その事象をサインとしてメディアを追加します。
正直メディアの追加作業はリアクター上部のフタを開けて補充で、簡単なのにメンタル的にかなり億劫に感じてしまいます。
というのもメディアを追加するにはポンプを止める必要があります。
しかし一旦止めると再稼働しなくなることが近年頻発してきたからです。
ポンプのモーターブロックごとを含めインペラやゴムブッシュは数回交換しています。
再稼働しない主な原因はモーターのインペラ本体とゴムブッシュなどに入り込む微粒な砂礫となったメディアが抵抗になってしまうからです。カルシウムリアクターを知らない方に解説すると、こうなるとCo2が通らなくなり同時にリアクター内部の海水の循環も停滞していまいます。
厳密にはリアクター本体直下にポンプがあるため、送水もそのまま垂直だから構造的にそこが弱点となっています。
今のご時世DCポンプが主流ですが、この製品はドイツ製のACポンプ/アクアビーというブランドです。
基本的にメディアが減ったなら減った分の補充だけで済ませたいのに、限界まで溶け切ったメディアが微細な微粒となり礫状になってしまうことでポンプだけでなくリアクター内のメディア同士の隙間を埋める如く堆積します。
このリアクター構造には欠点がいくつかあり仕方ないです。
今回も案の定、止めたポンプが再稼働しなくなりました。
こうなると、第一段階としてはインペラを取り出しモーターブロック内部に入り込んだて砂礫を除去しないと復旧できません。
そこでカルシウムリアクター本体を取り出さず、横着してインペラだけ解放すべくサンプに手を入れ作業に取り掛かろうとしました。
サンプが狭いためリアクター本体を取り出すにはスキマーを先に出す必要があるのですが、それも面倒なので横着したくなりがちです。
今回はそれが裏目になりました。
サンプ中で手前側にあるアタッチメントをサンプ内で外し再度元に戻そうとしたら接続していたままのCo2ジョイント部が根元から丸ごと折れてしまいました。
Co2がリアクターへ供給されなくなるのは致命的です。
今度こそ完全に諦めがついたのでリアクター本体を取り出して、Co2取り込み部分をダイソーのグルーガンで固定しました。
しかし固定したはずがCo2ホースを差し込むべく押し込む方向に対しては弱かったらしくて接着できていませんでした。
そこでアロンアルファプロ.No5とホールドファストを使って直しました。
アロンアルファののりしろ部が流動して固まり、誤ってCo2が通る穴をふさいでいないかの確認は懐中電灯で照らして光が透過しているかどうかで判断。
全て元通りにし再稼働させました。
モーターは正常に動作OKとなり一安心した翌朝、phコントローラーが7.7位の数値で動かずにCo2を供給したままという不思議な現象を目視。
phコントローラの設定でCo2の供給値を6.53でON⇨6.25でOFFにしているため、6.54以上にはなり得ない。
よく見るとリアクターのバブルカウンターへCo2が来ていない。しかしCo2ボンべからは排出しているというのが不思議でした。
Co2のラインは外付け逆止弁1カ所と水草用に使っていたADAのバブルカウンターをジョイントしてリアクターのバブルカウンターへ接続しています。
そのラインを全て辿ってみたら何と供給元に近い逆止弁の手前のCo2耐圧チューブが断裂し、そこから漏れていました。
耐圧チューブはエアレーションでお馴染みのシリコンの柔らかいエアチューブと同径ですが固いデス。
若干の反発感がある程度の固さで、破断部分を触ってみるとかなり固く透明から乳半色になっていたことに気がつきました。
耐圧チューブは12年以上一度も交換したことが無かったのと極微量な塩分など気体に含まれたものが浸潤してくるんでしょう。
破断面をカットして再度ジョイントし直し正常に回復したものの、数時間後にまた同じ事象になっていました。
やはりカットした同じ場所が破断して、そこからCo2がリーク。
仕事の都合が付かず耐圧チューブをすぐに買いに行けないのでCo2を止めてリアクター本体も全て停止させました。
ボンベは耐圧検査が必須のマイタンクではなく、ビール会社(酒屋レンタル)5Kgタンク。
その間、劣化した耐圧チューブが破断した理由をよくよく考えてみると、そういえば再稼働させてから生産水の水の出る勢いが弱いと普段と違う変化を感じていました。
つまり一連の件はチューブの劣化が主原因ではないなと悟りました。
根本の話は最初に戻るのですが、砂礫がモーターブロックに限らずリアクター本体内部にあるメディアの隙間という隙間にも堆積したことで、Co2やリアクター内の循環が極めて弱くなっている所に外部からCo2が供給されて逃げ場がなくなったCo2がリターンし逆止弁につないだ最も弱っていたと思われる耐圧チューブが圧に負けたのだなと。
耐圧チューブをかねだい戸田店で購入。
リアクター内部の詰りこそ最大の原因子と考察。それを解消させないと無意味と判断。
結局またも一番やりたくないリアクターの分解作業を実施すべく本体を取り出し(笑)
電極であるエレクトロードの校正をすることにしました。
phコントローラは4.01と標準である7.00の2点校正できるのですが、7.0校正は6.8を示していたので校正液自体がすでにダメに!
前回の校正から4か月なのでそこまで乖離しないはず。
いや、すでに約4か月前に実施した校正液が同じものだから、そもそもその時の値も狂っていたと考えるべきで、校正液がすでに2年期限も過ぎていたことに気が付かず切れで校正していたという・・・
校正も大切な事ですが一旦そこは置いておくことに。
メディアは基本再利用するので砂金さらいの如くコレで(笑)
ダサいですが、過去にいろいろ100均アイテムを用いた中でコレが一番優良アイテム!
リアクター本体もメディアもすべてDI水を何度も使ってかけ流し再利用します。
全て作業を終え、鬼門であるCo2の耐圧チューブを入れ換え。
逆止弁も古いものは危ないので新品交換済み。
新品のしなやかなさと透明感に感動♪
耐圧チューブはADA製のブラックやブルーなどもラインナップがありますが、クリアーが事故防止には良いです。
万が一、水が混入するほどのトラブル発生時はその先にある電磁弁が壊れます。
逆止弁は保険的な意味合いで付けてます。
Co2解放時に電磁弁の中へ水が1滴でも入ると即壊れます。
劣化したチューブは浄水器用のハードチューブ並みの固さでした。
数日間停止した飼育水のKHは5.6まで下がっていました。
リアクターは正常稼動し、稼働12時間後での飼育水のKHは6.2に。36時間後に6.4で安定。『あれ?まだ何かがおかしいなぁ』と。
というのは普段メディアを入れ換え&補充直後のKHは10を超えるのが普通というほど上昇します。
Zeomagの(マグネシウム)メディアを少量入れている影響で初期だけ急上昇する傾向にあるはずが今回は格別低い値で上昇しませんでした。
まだ何か問題がある?と考えphコントローラーをよく観察しました。
すると普段よりもphの上昇と下落の両方のスピードが早いと感じました。
上昇が早いのは過去に経験したトラブルではO²の混入があったこと。
リアクター内部を循環しているパイプですが、ジョイント部に隙間があると飼育水とエアーを引き込むことでphが急上昇することが過去ありました。
反対にKHの下落が早いというのは経験がありません。
あるとしたらエレクトロード周辺にCo2が極端に滞留しているとか。
あるいは上昇と下落の共通点として考えられる2点校正が大幅に狂っているからだろうか。などといろいろ思いつきます。
(校正液は下の画像 HORIBA製が小分けされていてオススメ)
まずは校正を直したかったのですが、校正液の持ち合わせが無いためphコントローラーの値を狂ったと推察される0.2程度と仮定しph6.3でON⇨6.0でOFF 生産水の滴下速度を1秒あたり5滴ほどのハイスピードに変更。
しかし24時間経過した時点の飼育水のKHは6.6程度とほぼ変化ナシ。
phの上昇と下落が普段よりも早い理由の一因として考えられる他の候補はメディアのつまりであった砂礫を取り除いたものの、スポンジにも経年経過を感じスポンジ劣化によりCo2がメディア内を通水がしにくくなったのではないかと考察。
そこで新しい校正液の入手とカルシウムリアクターのスポンジの調達。
本来はHORIBA製が欲しいところですが、今回はアクアショップ&アクア通販で入手性が良いアクアギークの校正液で。
そしてスポンジですが、これはどこにも在庫はなく校正液を入手したナチュラルさんでお願いしました。
ところがこちらの都合ですぐ欲しかったので、ナチュラルさんに行ったその足でリアクターメーカーH&Sの国内正規代理店であるmmc企画さん(東京/板橋)へ即時訪問しました(笑)
これは先にナチュラルさんで支払いを済ませ、品物だけミスズがmmc企画さん(東京・板橋)に取り行きました。
以前スポンジを購入したときは1000円でしたが、現在は1800円(汗)
100均に似たようなものがありそうなスポンジですし、そもそもエーハイムの外部フィルター的なアレに似てますよね。
新品の厚みは信用できそう(笑)
上が今まで使っていた古い方で下が購入品。
スポンジといえどリアクター内部のアルカリ度によって縮んで変色するので、より目詰まりしやすくなります。
しかも衝撃のニュースを耳にしました。
H&Sは本国ドイツでアクアリウム事業を廃業するそうでH&Sブランドは継承されずに消滅するそうです。つまりどこかのメーカーが引き継ぐことはしないそうです。
2000年以前ではプロテインスキマーと言えばHSシリーズが定番でしたからね。
ちなみにH&Sブランドの添加剤もあります!
かく言うワタクシもかつてはHS-400を皮切りにHS-850も使っていました。
同社が特許を持っていた関係で他社が長期間類似品が出せなかったのですが、のちに特許切れを迎え各社から発売解禁となり、現在のDC化されたものがメジャーになった経緯があります。
H&Sが後継となる新型を出さずDC化もされなかったがゆえにシェアを奪われ寂しい結末に。mmcさんで聞いたのは、今後まとめてパーツ類など入荷予定はあるそうなので当面は供給は大丈夫そうです。
ポンプはアクアビーというメーカーで、そちらは別会社なので心配ないそうです。
というわけで古い校正液は廃棄して新しく入手した校正液で丁寧に実施。
すると、なんと7.00の標準液が示した値は6.40でした。
4回ほど液を入れ換え計測し、この値でしたので0.60も狂っていたことに!
そこでphコントローラーのPH7キャリブレーションボタンを押して合わせようとしたら、エラー表示とエラー音が!
ちなみにPH4のキャリブレーションボタンでも同様にエラーになりましたので本機の電源を何度ON/OFFしても復旧せずダメ(笑)
仕方が無いので表示された数値が0.6位差があることと目視変換して6.00でON⇨5.75でOFFとする設定値をPHコントローラ側で変更。
でも2点校正していないから正しくない可能性大ですが。
カルシウムリアクターを正しく理解している方なら、この値は無意味と感じるでしょう。PHコントローラを使わないオーソドックスなCo2を連続投与するシステムとしても、メディアの溶解度数である”閾値”を超えてしまっています。
カルシウムリアクターのメディアは概ねph6.9付近で溶けだして、閾値は6.0程度という説があります。
これは、もしかするとエレクトロードも逝かれたのか、PHコントローラーのキャリブレーションがNGなのは確定か(汗)
とりあえず、この設定でカルシウムリアクターを稼働させました。
しばらく観察しているとphの上昇速度は元に戻らず早いままということに気が付きました。
PH4.01校正をせず7.00標準だけしかしていませんが、この件とは無関係とすぐに理解しました。
それはリアクター内部を循環させているパイプのココ!
過去にも問題発生しているのでピンときました。
このパイプはモーターブロックと接続されているのですが、ジョイント部分からほんの僅かな隙間が生じていました。概ね紙2、3枚分の厚さの隙間と推定。
モーターが稼働するとそこからも吸引してしまいます。
ph値が上昇と下降速度が速いのはエアー咬みにより高いphである飼育水が混入しているのが原因と確信。
スキマーを取り出してカルシウムリアクターのパイプにOリングが挿入されているのでグリスアップとプラネジのような固定方法なのでシールテープを上方から多めに丁寧に巻いて閉めました。
するとエアー咬みがほぼ解消したようです。
検証方法はサンプ内の海水をパイプジョイント付近まで減らし患部を空気中へ露出させると件の部位に隙間があると勢いよくエアーを吸い込むため判定できます。
インサンプで使っているので水漏れリスクがないメリットがありますが、まさにこれがデメリットでもあります。
でもカルシウムリアクターはいつか必ず100%水漏れトラブルがあるので外で使わず、サンプ内に収めた方が絶対イイです。
遠回りしましたが、とりあえず解消しました。
mmc企画へ買い求めたスポンジは今回交換しなかったので次回実施。あと4.01校正もしないとダメだなと。
それとphコントローラのキャリブレーションが効かないのは不便なので、どうしたもんか。
とにかくどうであれ、飼育水のKHが求める値になるならOKです。それがカルシウムリアクターに求める最大の役割なので。
今回の件でリアクターもスキマーも取り出したのでサンプ内も清掃しました。
どうしても機材の裏にデトリタスが溜まっていたりしますね。
雑誌マリンアクアリスト編集長円藤さん曰く、サンゴ飼育が上手い人はサンプがキレイ!と10年前の取材時に聞いた以降サンプ汚れには意識を向けるようになりました。
ちなみに、今回の耐圧チューブが破断しなかったらどうなったか? ですが、レギュレターからリークするようになってい・・・ない!?
以前使っていたレギュレターはオーバープレッシャー用の排出穴がありましたけど、今回の件で現モデルにはそれが無いということに気が付きました。
今回の経験では耐圧チューブが破断したことは、むしろ良かったのかも!
これだけ調整やメンテナンスなど多岐にわたり手を焼く一面がある機材ですから、巷で廃れるのも充分理解できます。
でも今のところカルシウムリアクターを手放す気にはならないです。
若いアクアリストは知らないでしょうがH&Sは元はレッドシージャパンという(現在のナチュラルさん店舗の隣町にあった)現mmc企画とは全くの無関係の法人が1997年頃に国内正規代理店となりました。
それ以前は個人で輸入するか、海外に強いパイプがあるアクアショップが各々輸入していたんです。
雑誌マリンアクアリストを創刊から愛読していて、その頃ワタクシはサンゴどころかオーバーフローでもなかったビギナーで、当時使っていたスキマーはスキマーとは言えないおもちゃ的なTatra社のエアリフト式WT-100(笑)
でもH&Sブランドのカルシウムリアクター製品の存在は認知していてサンゴ飼う高価かつハイエンドマニア用機材という、まさに高嶺の花的な機材でした。そんな憧れのアイテムだったわけです。
しかもプロテインスキマーとカルシウムリアクターの基本構造は自然の海と同じで理にかなった機材。
なにより我が水槽でサンゴの継続飼育が叶っているのはカルシウムリアクターの恩恵が多いに関わっていると感じています。
ということで今回の一連は起きた時系列で話を進めたので、さっぱり分からないということの同意は求めてないのでご指摘なく大丈夫ですよ。
今回の一連を一言で言えばメディア交換でポンプを止めたら完全復旧まで1週間も費やした、という話でした。まぁ最後まで読み切った人はいないでしょうけど、(笑)
ちなみにKHは目的値で安定し満足しています。
ミスズはカルシウムリアクター信者なので特にサンゴ飼育にはカルシウムリアクター運用をオススメします!