50代からの素敵な人生のための女性のストレスケアとからだ作りの専門家、中井です。
こんばんは。昔話続けていきます。
これまでのお話はこちら。
生後数年で、父の実家に引っ越したのは、
父に病気が発覚したからでした。
「結核」だったそうです。
結核は、今は、治る病気です。
ほとんどの場合、
症状がひどくなる前に見つかり、
長期入院することもなく
結核の特効薬をやや長期でになりますが飲み続ければ、治ります。
戦前の映画では、
これといった治療法もなく結核で療養中に
亡くなってしまうという話がよく出てきます。
第二次世界大戦中の1944年に
放線菌の培養濾液から抽出したストレプトマイシンが最初の結核の薬の発見で、
国内では１９５０年に商品化されています。
1950年年代に、新たに複数の抗結核薬が見つかり、
1961年に、画期的な抗結核薬のエサンブトールとリファンピシンが発売になりました。
それまで数年かかっていた治療が、
より効果的に、より短期間（と言っても何カ月もかかりますが）で
治療ができるようになりました。
結核の患者さんは、今は減りましたが、
命の心配はしなくなったものの、
撲滅までにはなっておらず、
エサンブトールとリファンピシンは、今でも内服薬としてよく使われています。
そういう時代背景を考えると、
1964年という時期は、ある意味、運がよかったのかもしれません。
しかし、国立病院での長い闘病生活。
一時は国民病と言われた結核は国立病院で治療が行われていました。
入院期間は聞いていませんが、少なくとも一年くらいはかかったのではないかと思います。
母は、私と姉を連れ、父の実家に、いわば居候状態ですね。
父の実感大きな農家だったので、部屋にはこまらなかったと思いますが、
農家の息子とはいえ、次男坊でサラリーマンとお見合い結婚して母にしてみれば、
いきなり、長男家族とお姑さんのいる家に、そのような状況ですむことになり、
大きなストレスだったと思います。
身体的につらいこともあり、見舞いに行っても父は機嫌が悪かったそうです。
父の実家からは、幸運にも病院までバス１本で行けるのですが、
長距離の路線バスで、小一時間かかったのではないかと思います。
いつ終わるのかわからない病院通い、
一日がかりで行っていたと思います。
今でも、車で３０分くらいかかる距離です。
母は、どんな気持ちでバスに揺られていたのでしょう。
当時の母は、どこにも泣き言を言えなかったんだと思いますが、
私は、祖母と一緒に過ごす時間が長くなり、
食事も、おそらく、兄嫁さんと祖母が用意してくれていたと思うので、
母の存在が遠く感じていたのか、
あるとき、夜おばあちゃんと一緒に寝ると言ったとき、
母がとても悲しそうな顔をしたことを覚えています。
決して、祖母のことが大好きだったわけではないのですが、子供心にまずかった？と思った記憶があります。
今から思えば、母にはとっても悪いことをしてしまったと思うのですが、
父の実家暮らしの記憶はあんまり残っていない中、唯一の記憶がそれです。
反面、よかったことは、父が公務員だったことで失業しなかったこと、住む家があったこと、幼い子供の面倒を見てくれる人がいたこと、農家で食べるものにはそう困らなかったことは、生活に困ることがなく、とてもラッキーだったと思います。（当時は、核家族が少なかったので、珍しいことではないのかもしれませんが）
１９６４年は、東京オリンピックの年です。
国全体が、高揚しているときに、闘病生活は、本当につらかったと思います。
しかし、父の落胆はそのせいだけではなかったんですね....
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