3.六妙法門
六妙法門は、六種の止観法である。智顗は六妙法門を十種に分けてる。
①歴別に諸禅に対する六妙門
②次第相生の六妙門
③便宣に随う六妙門
④対治に随う六妙門
⑤相摂の六妙門
⑥通別の六妙門
⑦旋転の六妙門
⑧観心の六妙門
⑨円観の六妙門
⑩証相の六妙門
このうち、内容からいって、次第相生の六妙法門がもっとも重要なものだとらえられている。したがって、『六妙法門』の冒頭で、智顗は「釈迦は始めて菩提樹に詣でると、その下に結跏趺坐して瞑想し意を用いて呼吸した。一に数、二に随、三に止、四に観、五に還、六に浄。こうして、万物の真理は明らかとなり、邪な意識は除かれ悟りの道を拓いたのである」と書いてある。普通六妙法門というときには、この数・随・止・観・還・浄を指している。
この六妙法門は、調心と調息を結びつけた修練方法の一つである。
数…「修数とは、行者が気息を調和するのに、滞らずまた滑らず、ゆっくりと落ち着いて数を数えていくことをいう。」修数は数呼吸にほかならない。
随…「修随とは、数法をやめて、ただただ息が自然に出入りするのに任せるのをいう」
数息に精通すると感情、意識は落ち着き、もはや呼吸を数えるまでもなくなる。そうして、ひたすらに呼息吸息の出入りのままに任せるのである。
止…「修止とは、あらゆる事象に心を動かすのをやめ、数も随も行わず、精神を集中して安静な境地にもっていくことをいう」
観…「修観とは、定心の中に在って慧を以って出息入息の相を微細に観ることである」
修観は高度に安静状態にあって自分の呼吸の様子を仔細に見極めることである。
還…修還とは、心をもって呼吸を観察すること。
浄…色(物質一般・身体)の浄(妄想の起こらないこと)なることを会得して、妄想分別を起こさないことである。