日暮れて尚道遠し (旧:皐月十五ちばる) -33ページ目

日暮れて尚道遠し (旧:皐月十五ちばる)

断捨離と運気アップを図って残りの人生を爆走する

Dear All


フジテレビのドラマで【救命病棟24時】と言うのがあって、その第三シーズンが首都東京で地震があった設定だった。


そのとき、仲村トオルさん演じる国会議員が


「なんで3日分の食料を準備していなかったの?」


と被災された人をなじるシーンが、ずーっと頭から離れなかった。


オレにとって、地震や災害は、いつか来るものじゃなく、きっと来るものだと思ってた。


手元に多少のゆとりがあると、本やCDやゲームじゃなく【缶詰】を買った。今備えてあるのは100個くらいある。


今回の地震直後じゃなく、日頃から缶詰・調味料・燃料の【備蓄】をやってきた。多分一ヶ月くらいは買い物なしでやっていける。


それは自分が生き延びたいのもあるけど


【人の食い扶持を減らしたくない】


オレが自前で自分の食料を準備すれば、その分困った人に援助物資が回る。


仮に建物がぶっ倒れて避難所にいっても、食料持参で役に立つ。


いいか?災害は必ず来る。そのときに慌てたって遅いんだ。


今何も無いところも、自前の食料三日分は確保しろ。もうどこで地震が来るかわからんぞ。


援助を当てにするな。自分の口は自分でふさげ。偉そうなこといったって、食料も無いやつは足手まといなんだ。

Dear All


我がエリアにも、計画停電が実施されました。


16時から19時まで、夕食時だった。初めてだったから結構混乱。


明日から昼には夕食の準備が必要だと認識した。


原発は危険な状況、新宿・さいたま市で放射線の観測。


今も微震が続く、どっかで大きな地震が起こってるのかもしれない。


このような未曾有の事態に、国家非常事態宣言も出されず、いったい何を安心しろと言うのか?


ガソリンは無い・保存食もない(オレは日頃から気が付くと買ってるから大ジョブだが)冷凍食品も売り切れ、一般人の精神状態がどこまでプッツンしないか、いつ暴徒と化すか不安だよ。



航空券あげると言われたらどこへ行く? ブログネタ:航空券あげると言われたらどこへ行く? 参加中


・・・・サヨナラ あなたに 出逢えて嬉しかった

           どこかでもう一度逢えるって約束して・・・・


日暮里から【スカイライナー】に乗り込み成田へと向かう車内で、ふと懐かしい歌詞が思い浮かんだ。大林宣彦監督の【尾道三部作】のひとつ、【さびしんぼう】で流れていた、ショパンの別れの曲をモチーフにしたあの歌の歌詞だ。


一つの出逢いがあり、一つの別れがあった。ボクはその思い出を胸に旅に出る。東京の2月の空は、澄み渡るような蒼ではなく、やや白みがかった濁った蒼い空のように、ボクの心も濁っている。そんな空模様のような気分を一掃したかったから。


友人から届いたエアメール、そこに写ったフロリダの空が堪らなく見たくなった。この時期はメジャーリーグのキャンプ地でもあるタンパの辺りで、空を眺めながらのんびりと海に浮かび・・・いや、本当は海の底に沈みこんでしまいたいぐらいの傷心した自分の心を、何とか立て直したかったのかもしれない。


・・・・セピアに写真で哀しく微笑いながら・・・・


思い出はやがてセピア色に、愛しい時間として残るのだろうか?今のボクにはわからない。何が原因で、何が切欠で、なぜこうなって今のボクはこんなに悲しいのか?そんな分析もままならないまま、ただ傷ついたと自分の中で渦巻く薄暗い濁ったグレーの感情を、どうにかしたかったからだけなんだ。


たまたま、会社の同僚がメジャーのキャンプを見に行く予定をキャンセルし、無駄になりそうな航空券をあげるといわれて、たまった有給の消化にと思い立って計画を立てた。行く先は決まっているが、何をしたいのかは決まっていない。そんな成り行き任せの旅。本来のボクは予定がしっかりしていないのは嫌いだが、たまには自分に変化を・・・・。


成田空港に着き、チェックインを済ませる。【Soup Stock Tokyo】で【ジュテーム・スープ】をオーダーして待ち時間を潰す。ジュテーム・・・・愛していた。多分、恐らく・・・・愛していたと信じたい。実際はどうだったのか?この時間が数年後、いや数十年後に・・・間違った感情に流されていた無駄な時間だったと実感しないことだけを祈った。ボクは、愛していたんだ・・・と思う。



時間が過ぎていく。搭乗時刻になる。飛行機に乗り込み、手荷物をラックに押し上げる。シートにもたれゆっくりと目を瞑る。旅立つ瞬間を味わいながら、置いていくモノを惜しみながら、ボクは自分がどこに向かうのかを迷いながら・・・・。



機長のアナウンスの後、機体が飛び立つあの、ふわっとした嫌な瞬間を味わいながら、嗚呼、ボクの時間は否応なく過ぎていくことを感じる。このまま留まりたいのに・・・・。



13時間後にデトロイトでトランス・ファーしてタンパへ向かうことだけは決まっている。その先の旅路は、未だボク自身も読むことはできない。




普通の一軒家と高層マンションの高層階、どっちに住みたい? ブログネタ:普通の一軒家と高層マンションの高層階、どっちに住みたい? 参加中

私はマンションの高層階 派!



本当に欲しかったものは何だろう・・・


佃島にある【シティフロントタワー】9階の1LDKの部屋から隅田川を眺めてふと考える。このマンションは1991年に建てられたものだから、もう築21年になるこの部屋をどうしても手に入れたかった。



80㎡をやや超える広さを1LDKとしたやや贅沢な広さ、31階建てのリバーサイドは高層階では見晴らしは広く、低層階では西向きの部屋であれば隅田川を行きかう船と夕日のコンビネーションが、よくできた夕日の絵画の如く見事な風景を描き出す。10年前に一目惚れして以来、このマンションを買う事だけに人生を邁進してきた。



・・・築21年の中古が6100万円・・・



田舎であれば庭付き一戸建てを二つ買っても十分にお釣りが来る。そんな価値はあるのだろうかと聞かれれば、ボクにとってはその価値は十分にあると感じられた。だからこそ必死で働いて頭金を作り、漸くローン審査を通して購入にこぎつけた。休日にこの窓から眺める隅田川と夕日が・・・。



6100万円の価値が本当にあったのだろうか・・・



気がつけば、10年間このためだけに費やしてきた。恋も余暇の楽しみも無く、ただこのマンションの一室を手に入れるために時間を使い、この部屋の眺めを思い返しては自分の心を鼓舞した。挫けそうになった事は何十回・・・いや恐らく1000回はあった事だろう。



そんなにまで欲しかったものも、手に入れてしまえば・・・



空しかった。最初はときめきと興奮で夜寝るのも惜しかった風景が、見慣れるにつきときめきを失い、ただ単なる景色を手に入れるためだけに人生の貴重な時間を費やしてきた後悔だけが残った。



賃貸でも良かったのでは・・・・



なぜ買う事にこだわったのだろう?自分自身のモノにする事だけにこだわったのだろう。考えてみれば、数十年後には老朽化し、敷地に多少の権利が残る程度で後はまったく消え去ってしまうモノでしかないマンションの一室に・・・。



コヘレトの言葉が・・・



旧約聖書【コヘレトの言葉】が脳裏に浮かぶ。・・・何という空しさ、すべては空しい・・・



生きる事って何だろう?欲しいものを手に入れるって何だろう?ボクは欲しいと思ったものを手に入れた。手に入れた瞬間は充実したが、それはやがて空しい苦痛へと変化し、今ではその空しさが後悔を呼び込む。



恋愛も、似たようなものだろうか・・・



愛しい人を自分に引き寄せる努力の過程が楽しいのであって、結婚はゴールではなく空しさへの出発点になる。人間とはひとつを手に入れた瞬間から、ひとつを失う苦痛の時間が始まるのではないだろうか・・・。



まぁ、いいさ、後悔なんざ爺になってからすればいい・・・



ひとつを成し遂げ、成し遂げたものへの後悔は仕舞いの時にすればいい。何をしても、何もしなくても・・・公開だけはすることになるのだから。






普通の一軒家と高層マンションの高層階、どっちに住みたい?
  • 一軒家
  • マンションの高層階

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相手のこと知りたい?自分を知ってほしい? ブログネタ:相手のこと知りたい?自分を知ってほしい? 参加中

「愛している」と言った・・・・「愛してる」と言われた・・・・。コトバはボクの心を表し、彼女の言葉は、ボクに希望と一緒に・・・・・


【そこはかとない不安を抱かせる】


ボクのことを知って欲しいと思った。ボクの心の中は知られたくはなかった。ボクが彼女を思う気持ちは知ってもらいたい。この、ボクの思いのすべてを。


でも、ボクの心の中は知られたくない。ドロドロとしたコールタールのように、真っ黒で異臭を放つボクの心の中に渦巻く醜い妬みや嫉みを・・・


【彼女には知られたくはない】


彼女の事をもっと知りたいと思った。彼女の事を深くは知りたくはなかった。彼女の、ボクを思ってくれる心情をとても知りたい。彼女がひょっとしたらボクのことを愛してはない・・・・


【他の男を愛しているかもしれない、もしくは彼女の過去は、そんなものは知りたくはない】


すぐそばに、そっと手を伸ばせばすぐに触れられるのに、相手の心はアンドロメダ星雲より遥か遠くに感じられる。なぜ、隣にいながら心は寄り添えないのか?身は触れ合っても交わる事がない心の触れ合いを求める事は、砂漠に水筒で水を注ぐように空しい行為かもしれない。


ボクも、彼女のすぐそばにいるのに、多分彼女にとってはすぐ隣にいるモンスターでしかないのかもしれない。人は分かり合える・理解しあえるなんてのは理想論だ。心は常に交わることなく、限りなく0度に近い角度で離れていくだけの二本の細い線でしかありえないのだから。


隣に居るのに、わずか数センチ、いや、ほぼ密着した状態であっても、ボクは自分の知りたい彼女の心や過去だけを望み、彼女に好かれるボクの心や過去だけを提供したい。


【自分や相手の、Darkな部分は知りたくはない】


が、やがてそんなご都合主義は破綻を兆す。自分が知りたいと思う事だけでなく、知りたくない部分もあるからこそ、相手も生きている証拠だから・・・。


【夜の闇に明るく輝く月に、ふと浮き雲がかかって闇夜に変わる】


明るい幸せな生活は、やがて闇夜の如き暗黒に包まれ、夜明けを迎えることなく終焉へと向かう。なぜ?なぜ?


【なぜ、ボクは知りたくない事を知りたいと思ってしまったのだろう】



相手の心の【闇】をのぞき、自分の心の【闇】をさらす・・・そんな事に意味はあるのだろうか?



待ち受けるのは、さらなる【闇】・・・・。





「愛している」と言った・・・・「愛してる」と言われた・・・・。コトバはボクの心を表し、彼女の言葉は、ボクに希望と一緒に・・・・・


【そこはかとない不安を抱かせる】


ボクのことを知って欲しいと思った。ボクの心の中は知られたくはなかった。ボクが彼女を思う気持ちは知ってもらいたい。この、ボクの思いのすべてを。


でも、ボクの心の中は知られたくない。ドロドロとしたコールタールのように、真っ黒で異臭を放つボクの心の中に渦巻く醜い妬みや嫉みを・・・


【彼女には知られたくはない】


彼女の事をもっと知りたいと思った。彼女の事を深くは知りたくはなかった。彼女の、ボクを思ってくれる心情をとても知りたい。彼女がひょっとしたらボクのことを愛してはない・・・・


【他の男を愛しているかもしれない、もしくは彼女の過去は、そんなものは知りたくはない】


すぐそばに、そっと手を伸ばせばすぐに触れられるのに、相手の心はアンドロメダ星雲より遥か遠くに感じられる。なぜ、隣にいながら心は寄り添えないのか?身は触れ合っても交わる事がない心の触れ合いを求める事は、砂漠に水筒で水を注ぐように空しい行為かもしれない。


ボクも、彼女のすぐそばにいるのに、多分彼女にとってはすぐ隣にいるモンスターでしかないのかもしれない。人は分かり合える・理解しあえるなんてのは理想論だ。心は常に交わることなく、限りなく0度に近い角度で離れていくだけの二本の細い線でしかありえないのだから。


隣に居るのに、わずか数センチ、いや、ほぼ密着した状態であっても、ボクは自分の知りたい彼女の心や過去だけを望み、彼女に好かれるボクの心や過去だけを提供したい。


【自分や相手の、Darkな部分は知りたくはない】


が、やがてそんなご都合主義は破綻を兆す。自分が知りたいと思う事だけでなく、知りたくない部分もあるからこそ、相手も生きている証拠だから・・・。


【夜の闇に明るく輝く月に、ふと浮き雲がかかって闇夜に変わる】


明るい幸せな生活は、やがて闇夜の如き暗黒に包まれ、夜明けを迎えることなく終焉へと向かう。なぜ?なぜ?


【なぜ、ボクは知りたくない事を知りたいと思ってしまったのだろう】


相手の心の【闇】をのぞき、自分の心の【闇】をさらす・・・そんな事に意味はあるのだろうか?


待ち受けるのは、さらなる【闇】・・・・。

フレンチと言えば、トースト?ドレッシング? ブログネタ:フレンチと言えば、トースト?ドレッシング? 参加中

【フレンチトースト】は・・・嫌いだ。味が嫌いなわけじゃない。


【フレンチトースト】を見ると、映画【クレイマー・クレイマー】の、ダスティン・ホフマンと子役の子が、母親がいなくなってからぎこちなくこれを作るのに悪戦苦闘するシーンが思い浮かび、ボクにとても切ない感情を呼び起こすから・・・・。


思い返せば、母に料理を作ってもらった記憶が少ない。【母の味】と聞かれても、手作りよりは化学調味料の味の方が馴染み深かった。だから、ボクはそんな父親にはなるまいと・・・・。


思っていても、現実と理想のギャップは埋めがたい。ボクは結婚以来、積極的に厨房に立ち、家事を手伝い・・・・休みの日には家族そろって食卓を囲む。温かい家庭を築こうと努力した。が・・・・


努力すればするほど、溝を埋めようとすればするほど、努力は報われず、溝はグランドキャニオンのように奥深く刻まれて、気がつけばすっかり家庭は冷え切っていた。


そして、妻は子供を連れて出て行った。置いて行かなかっただけ映画よりはましだったかもしれないが、ボクにとっては妻と子を一度に失った空しさだけが残った。


朝起きて、身繕いをして会社に行き、帰ってからも一人寂しくコンビニ弁当を突付く生活。何を間違えたのか・・・ボクはいったい何か罪を犯したのだろうか。


悶々とした日々が続き、やがて妻の代理人として選ばれた弁護士とのやり取りが始まり、親権の放棄や養育費の取り決めを終えて、ボクに残ったのは、かつて妻と子がいた記憶と、苦い思い出しかなくなった。


「そういえば、何度か作ったよな・・・・」


冷蔵庫にバター以外何もなかったので、コンビニで【牛乳】と【たまご】、【食パン】と【バニラエッセンス】を買いに良く。24時間溶液に漬けた【ホテルオークラ】風のフレンチトーストのレシピを引っ張り出して・・・。


  • 材料(食パン2枚分)
    • 食パン:2枚
    • 牛乳:185cc
    • 玉子:3個
    • 砂糖:31g
    • バニラエッセンス:少々
    • バター:少々
    • サラダ油:少々

    作った溶液にパンを片面12時間づつ 漬けて、片面を弱火で7分づつ焼く。バニラエッセンスと香ばしく焼けたバターとパンの香りが、ボクをいにしえの幸せだった頃に優しく誘う。


    【フレンチトースト】にナイフを入れ、手ごろな大きさにカットしてフォークで口へ運ぶ。この味だ。想い出の味は愛しさへと繋がり、帰れない時間と関係が、甘いバニラエッセンスの香りによって増幅される。



    なぜこのような結果になってしまったのだろうか?レシピ通りの材料と手順に従えば、ほぼ同じ味は再現できるのに、人生は同じ分量の愛情と手順を踏んでも、必ずしも幸せになることはない。



    ボクは、なぜこんな結果を引いてしまったのだろうか・・・・フレンチトーストに零れ落ちた涙が、ボクの心に摺りこまれた塩のように痛みを広げていく。



    クレイマー・クレイマーのように、曖昧な結果ではなく、明らかに破局した結果だけがボクに・・・残された。

  • 恋人は年上がいい?年下がいい? ブログネタ:恋人は年上がいい?年下がいい? 参加中

    私は年上 派!


    ・・・姉さん・・・


    ボクは、彼女をそう慕っていた。ボクの彼女は・・・6歳年上だったから・・・。


    23歳まで女性とは無縁だった。確かに中学を卒業するまでは女性とは机を並べる機会は在った。が、男子校に進み、勉学に励み、大学受験まで女性と接する機会がなかった。


    思春期の一番良い時期を男だけの世界で過ごしたのが悪かったのか、大学に入学後も女性とどう接して良いのか距離感が計れなかった。法学部ということもあって、女性は少なかった。サークルにも入らず、バイトはコンビニの夜勤をしていたので、ますます女性と接する機会がなかった。


    大学を卒業して、会社に入社して、今の職場に配属された。ボクは、地味で目立たなく、大人しい性格だったので野暮ったく思われたようで、同じ職場の女性にもあまり関心を持たれる事はなかった。


    「この契約書の作成お願いします」


    事務職員の中では比較的年配で、地味で黒ぶちメガネをかけ、髪を後ろのまとめた地味な女性に、いつも事務的な事をお願いしていた。ただの同僚だった。女性として関心をもって接したわけではなかった。


    が、ボクが仕事で下手を打った。上司に猛烈に怒られた。もう、こんな仕事辞めようかと思うくらいに落ち込んで給湯室で俯いていた。あとから給湯室に来た彼女が言った。


    「何で怒られたか判る?期待されているから・・・。貴方は見込まれてるから・・・」

    言葉少なく、囁くようにつぶやいて彼女は立ち去った。そのさりげない励ましが・・・嬉しかった。


    それから、彼女の事を意識し始めた。最初は姉のように慕いながら、それはやがて憧れになり、愛情へと変貌を遂げた。思い切って・・・・。


    「今度、映画に一緒に行きませんか・・・」


    ベタな台詞が口からこぼれ、顔が真っ赤に上気するのが自分でも判った。女性を映画に誘うのは初めてだった。勇気は底まで振り絞られ、断られたら全身がバラバラになるような恐怖感を持ちながら、ボクは彼女の返事を待った。


    「・・・・いいよ」


    何を観たかはもう憶えてはいない。隣同士のシートに座って映画を観るだけで、心は喩えようもなくどきどきとときめいて、気がつけば映画館を後にし、彼女にいざなわれるまま新宿の花園神社近くの、煤けたビル地下のビストロで食卓を囲んでいた。


    切欠(キッカケ)さえつかめば、ボクも当たり前のように恋愛はできる。休日毎に彼女との時間を持ち、職場ではそんな素振りも見せず、逆に【姉さん】と呼びかけてあたかも先輩を敬うように振舞った。


    そして付き合いを続け、いつしか普通に男女の関係に進み、やがてプロポーズをして・・・・



    ・・・・・・・


    「もたもたしないで、早くご飯食べて会社行きなさいよ!!」


    過去の思い出にトリップしていたようだ。意識を取り戻して、茶碗を持ち上げご飯を掻きこむ。時計は6時50分、急がないと遅刻だ。


    「あ、ちゃんと燃えるゴミ出しといてね、忘れないでよ」


    あの頃は、甘い毎日だった。結婚してしまえば、目の前に広がっていくのは苦い毎日・・・甘い生活は過去にしかありえないのかもしれない。


    「はいはい、出しておきますよ・・・姉さん」


    「なに昔の呼び方してるのよ・・・もう結婚して3年も経つのに」


    この3年ですっかり馴染んだ二人になったが、そういえば・・・6歳上のはずだったのに、婚姻届の生年月日は10歳上であると書かれていた。小さな嘘、そんな可愛いところもあったんだ。


    「そうそう、歳4つもサバよまれてたんだったよな・・・」


    「貴方だって、初めてのとき、ブルブル震えて【優しくして下さい】って、すがり付いてきたくせに・・・」


    そんな時代もあったんだ。過去の甘い思いでは、今となってはこっ恥ずかしいだけだ。


    ボクは、ゴミ袋を持って玄関を出た。こんな当たり前の生活が、ひょっとしたら幸せというものかもしれない。


    ボクは・・・・・満たされてないような、曖昧な感情しか抱いていない・・・・けれど・・・・・。





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    浮気性?一筋系? ブログネタ:浮気性?一筋系? 参加中

    私は一筋系 派!



    病院のベットに横たわり、点滴が一滴、また一滴と落ちるのをぼんやりと眺めた。まるで自分の生命力が一粒毎に減っていくかのように。



    「君はそこで、ボクが逝くのを待ってるのか・・・・」



    口元に笑みを浮かべ、冷え切った眼差しの妻が、そっと俯いた。ボクはこの10年、妻一筋に人生を捧げてきた。妻は、他の男との逢瀬を楽しんだ。まるでボクの想いをするりとかわし、恰もボクをあざ笑うかのように。



    結婚するまでは、こんなに綺麗で、優しく、そして一途にボクを愛してくれる女は居ないと思っていた。入籍をして式を挙げてから、態度が一変した。妻の座に収まってからはボクの想いを踏みにじり、他の男のところにばかり入り浸るようになった。



    「ボクは、君にとってんだったの?」



    相変わらず冷笑を浮かべながら、妻は何も答えない。ボクはもともとからだが弱かった。だからついに寿命を迎えたのかと思っていたが、幾つかの疑問も感じていた。



    「最後に教えてくれよ。君がボクに盛ったのかい?」



    「そうよ。調味料、食材、いろんなものに混ぜておいたの。10年もかかっちゃった」



    古典的な方法だが、少しずつ【砒素】を盛ることは、自然の食品から摂取する場合も有るので、明らかに殺人を目的としているか区別が付きにくい。



    「あたしも、実は一筋だったのよ・・・貴方ではなく、貴方の財産にだけど・・・フフフ」



    ボクの個人資産は約5億円、一生遊んで暮らすには足りないが、目の前にぶら下がっていれば、容易に取れるようなら、見逃すには惜しいかもしれない。10年で5億、1年あたり5千万円の契約妻か・・・高い買い物だったか・・・。



    しかし、女性が、と言うよりも、寿命と言う名の終点を持つ生物が、一番輝く25歳から35歳までの間をボクに捧げた・・・と言うよりも利用したとしたら、彼女にとってもリスクはあったのだ。彼女の為なら、惜しくは・・・



    無いわけは無い!!ふざけるなよ・・・・



    「君にとってボクはボクの背後にあるモノの管理人程度だったのか・・・でもね・・・」



    「なあに?」



    「最後に一枚、カードを切っておいたよ・・・」



    「あら?貴方に何ができたのかしら?」



    「3ヶ月前に、【離婚届】を出しておいた・・・詰めが甘かったね」



    「え・・・・」



    「役所に【離婚届不受理】の申し出をしとかなきゃダメじゃないか・・・あっさり受理されてしまったよ」



    「なんですって・・・」



    他の男のところに入り浸って、家にほとんど居なかったから、しかも健康で保険証もろくに使わなかったから、気が付くはずは無かったんだよ・・・ボクのささやかな復讐に・・・。



    妻は眉間に三本のたてジワを浮かべ、眉を吊り上げ、ベットに横たわるボクの首をその白い手で・・・愛すべき細い指でぐいぐいと締め上げてくる・・・てめぇ、ふざけんなよ!!・・・と奇声をあげて。



    ボクは意識が遠のきながら、最後の幸福感に包まれる。もう他の男になんか抱かせるものか・・・ボクはあの世に逝くが、君も塀の内側につれて・・・いく・・・よ。




    浮気性?一筋系?
    • 浮気性
    • 一筋系

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    欲しかった兄弟姉妹 ブログネタ:欲しかった兄弟姉妹 参加中

    私は 派!


    「寒っ・・・こんな寒かったんだ」


    13年ぶりの帰国、3月だというのに東京はまだ寒い。稀に5月並の暖かい日もあれば、真冬の寒さに戻る。そんな東京の寒さを舐めていた。


    「といっても、オーランドでこの時期暖かいコートは手に入らないし・・・」


    13年前に日本を飛び出し、U.S.A.の南東部フロリダ州オーランドに居を構えていた。今ではちょっとした事業を展開し、そこそこな生活は営めるようになった。日本に帰ってくるつもりは無かったが、突然の事故がオレを帰国に踏み切らせた。


    「まさか・・・事故で逝ってしまうなんて・・・」


    15年前に母が他界していた。その後残ったのはオレと、姉と、父の三人。オレの家庭にはオレの知らない秘密があった。オレと姉は、血が繋がっていなかったのだ。


    母の葬儀の後、何気なく取った戸籍謄本。そこに書かれていたのは、父の連れ子が5歳上の姉、オレが2歳のときに母はオレを連れて父と再婚し、まだ物心が付く前のオレは、父も姉も血の繋がった肉親だと思っていた。


    父も姉も、オレに優しかった。特に5歳上の姉は、清楚ではにかんだ表情がとても愛らしく、オレの自慢だった。こんな彼女が欲しいと、ある意味憧れも抱いていた。そう・・・・血が繋がってなかったんだもの、憧れは何時しか愛情に変わっていたのかもしれない。


    母が他界して二年後、つまり13年前にオレは大学を卒業して、思い切って姉に思いを打ち明けた。ずっと、姉さんの事を・・・。血は繋がっていないのだから、結婚もできるんだと・・・。


    「ゴメンね・・・・」


    姉はオレの思いを拒絶した。・・・ずっと可愛い弟としか思っていなかったし、今もその思いに変わりは無い・・・と。オレは拒絶されたショックから、溜め込んでいた貯金を胸に家を出て、アメリカに渡った。


    満足に英語をしゃべれないオレが、右往左往しながらも、何とかオーランドで事業を興すまでになり、永住権も取得してこのままこの地に根を下ろそうとした矢先に、父が・・・と言っても戸籍だけの父であったのだが、事故で他界したと連絡があった。


    「13年ぶりの再会がこんな形になるとは・・・・」


    父とは、母の他界後段々と気まずくなっていた。家を出てからはクリスマスカードを送るぐらいの付き合いだった。こんな事になるなら、もっと話し合っておけばよかったかな・・・。


    それよりも、13年ぶりに再会する姉のことが気になる。まだ、姉に多少の未練があるのかもしれない。だから、この歳になってもまだ結婚する気にもならない。



    13年ぶりに訪れた実家は、すっかり薄汚れた感じになっていた。外壁の手入れも放っておかれたように、建物はすっかりすすけて、多分妻を失い、子供たちが出て行ったその場所で一人住んでいた父の心境を表していたのではないかと思われるほどに。



    呼び鈴を押す。ドアには【喪中】の文字。ドアが開き、やや疲れた、日本では【アラフォー】とか言われている世代の女が、そこに立っていた。



    「・・・・ちゃん?まぁ、すっかり立派になって・・・」



    馬鹿だな・・・13年前の姉は、人生で一番輝いている年代だったのだ。それから13年も経てばすっかりと所帯窶れした、くたびれた感じが漂ってもおかしくは無い。



    「この度は、ご愁傷様で・・・」



    そう、ボクの初恋は今終わったのだ。何を期待していたんだ。目の前の現実がオレをRealへと連れ戻す。



    新しくやり直すのに歳は関係ない。止まっていた時間が今・・・静かに動き出したよう・・・だ。




    欲しかった兄弟姉妹はいる?

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